ピアニート公爵vs異議アルルカン軍曹、そして芸術は太古の杜の深くから
家族から、「ピアニート公爵」と称されているピアニスト・森下唯氏の演奏会のため仙台に連れて行けとの出動命令が下ったため、やむなく丸一日を潰して仙台まで行きました。
http://sencla.com/artist/3160
http://www.morishitayui.jp/
本人は、森下氏の演奏が聴ければ後は用なしという感じで、出発も遅くなりましたが、それだけのため仙台に行って帰るのは私が納得できませんので、会場近くの「地底の森ミュージアム」に立ち寄ることにしました。
この施設は、仙台市太白区の長町小学校を建設する際の地盤調査で発見された、2万年前の森のあと(枯木)が膨大な水と土砂で封じ込められたため(缶詰のようなものだそうです)、そのままの状態で保存、発見されたもので、世界的にも唯一といって良いものだそうです。
施設内では、当時(2万年前)の現地が、北海道の大雪山系にある湿地帯と気候・風土がよく似ているとの紹介があり、その場所を舞台に「旧石器時代の人間が、この地を訪れ、焚き火をして去って行く姿」を撮影したミニ映像が写され、その姿を今に残しているのがこの場所なんです、とスタッフの方の説明を受けることができますので、旧石器時代の日本(人の暮らし)に関心のある方にはぜひ訪れていただきたいところです。
ところで、私は、「日本の文化・社会は、縄文と弥生の混血(基本的に後者が優勢)で、それが現代にも多大な影響を及ぼしている」と感じており、このブログでも度々触れているのですが、縄文以前=旧石器時代(先土器時代)については、私自身の知識・理解の希薄さもさることながら、その時代の精神文化(メンタリティ=当時の人々が何に価値を感じ、敬い、畏れ、時に侮るなど、喜怒哀楽の対象をどのように形成してきたのか)がほとんど知られていない(解明されていない?)こともあり、「その時代の魂、精神が現代まで息づいていること」を全くといって良いほど意識することができていません。
しかし、一般的には、この時代(の日本人)が縄文時代(の日本人)と連続性がある(絶滅や人種の交代などの事情はない)と考えられているでしょうから、日本人のメンタリティというものを考える上で、旧石器時代とは人々にどのような精神性が形成された時代だったのかという視点は、持っておくべきではないかと思います。
そうしたことも考えつつ、公爵こと森下氏の演奏会場に向かい、演奏を拝聴してきたのですが、今回の企画は様々な奏者(プログラム)の組み合わせになっているせいか、演奏曲数はアンコールを含めて4曲のみ、時間も1時間弱という感じでしたので、あっという間に終わりました。
家族が「4月は君の嘘」という漫画・アニメ作品を気に入り、アニメ番組の最終回でのピアノ演奏(ショパンの「バラード第1番」)を自宅で繰り返し聞かせられていたため、その曲の演奏は一番楽しめたと思います。
あと、この公爵さんですが、演奏の合間のトークの際(正面)はさほど風采があがらない方との印象(ニートかはともかく、ちょっとオタクっぽい感じ)を受けたのですが、演奏中(横顔)は表情がガラッと変わり、誰かに似ていると思って思い返したところ、私の純個人的なランキングで「男の色気のある弁護士・堂々の全国1位」であるK野君(52期の盛岡修習仲間)に表情がよく似ている感じ(K野君と堺雅人氏を足して2で割った印象。ちなみに私を含めて3人とも同い年です)がしたので、その点は(K野君をはじめ)一流の人は横顔にも通じるものがあるのだろうと、妙に感心しました。
ところで、3曲目に取り上げられた「ガンバスター幻想曲」は、庵野監督が20年以上も前に制作した「トップをねらえ」というアニメ作品で使われた楽曲群をアレンジしたもので、「公爵」の代表作なのだそうです。
このアニメ作品は、私も15年以上前にビデオで借りて見たことがありますが、制作責任者が「おたく」文化の巨頭である岡田斗司夫氏(ガイナックス社)のせいか、作品中にも若干ながら「おたく」好みの描写もあった(ので、見たことを人様に公言できる作品とは言い難い面もあった)ような気もします。
が、森下氏の会場でのトークやWeb上での発言などを拝見すると、作品の物語に強い感銘を受け、相応の理念と誇りをもって、こうした作品を題材とする二次創作(アレンジ)に真摯に取り組んでおられるものとお見受けしましたので、そうであれば、前回の投稿のように人知れず替え歌づくりを趣味?にしている根暗な私とも通じるところがあるのではないかと、勝手なことを思わないでもありませんでした。
そんなわけで、いっそ、私も対抗して「覆面ブロガー弁護士・異議アルルカン軍曹」などと称して、「妖怪ウォッチ」の替え歌など、実名では投稿できない文章を密かに投稿してみたいなどと思ったりもします(ちなみに、「アルルカン」とは、フランス語で即興喜劇に登場する仮面の道化役者(トリックスター)を指す言葉で、ピカソやセザンヌの絵にも描かれたことがあります)。
ただ、うかうかしていると、私の預かり知らぬところで、お笑い芸人「売れない覆面弁護士こと異議アルルカン軍曹」と称する芸能人が出現しないとも限りませんので?今のうちに商標登録した方が賢明かもしれません。
日本ではまだ見つかっていないかもしれませんが、旧石器時代と言えば、人類が世界中で壁画など芸術的な営みを表現していたことがよく知られており、そうした意味で、芸術の発祥というべき石器時代の太古の森が残されていた「杜の都」仙台・長町の地で行われた演奏会を拝聴したことには、時間と空間、二つの観点から魂の底にあるものに心を向ける契機とするという点で、大いに意義があったのではと思います。
余談ながら、演奏会のあと、夕方ギリギリに「仙台うみの杜水族館」を初めて訪れて駆け足で拝見し、帰宅時には折角の機会なので、数年ぶりに塩竃市に行き、地元の寿司を美味しくいただいて帰りました。