岩手弁護士会・公害環境委員会の景観アンケート調査②

前回の景観アンケート調査に関する投稿の2回目です。そもそも、この調査は、昨年、「盛岡まち並み塾」などを通じ盛岡町家(鉈屋町界隈)の保護・活用に従事されている建築家の渡辺敏男氏より、活動内容や今後の課題などについてお話を伺ったことを踏まえ、当委員会として何ができるか、すべきか考えたものの、よい智恵も浮かばずということで、他会の動を参考にさせていただきたいとの理由で行ったものです。

ただ、本格的な回答をいただいた京都会や東弁などのシンポや意見書などの活動の濃さは、現在の我々のレベルではおよそ咀嚼し切れないものと思われ、結局は何もできずに終わってしまうのかと溜め息ばかりというのが正直なところです。

ところで、昨年11月に、近畿弁護士会連合会が、歴史的建造物やそれを取り巻く景観の保護などをテーマにしたシンポジウムをしており、その中で、歴史的建造物を所有者が解体する際には、事前にその旨を公表して当否を公に検討できるようにすべきだという趣旨の提言がなされているのを知りました。
http://kinbenren.jp/symposium/index.html
http://kinbenren.jp/declare/2014/2014_11_28-2.pdf

この点、盛岡では、2年ほど前、長年に亘り市民に親しまれた著名な料亭がマンション開発業者に売却され、盛岡市から保護指定を受けていた庭園と共に解体・撤去されてしまうという出来事がありました。

その件に関し、売却の話は事前に当事者以外にはほとんど知られておらず、仮に、事前に把握できていれば、現在の建物の有効活用を前提とする購入案を所有者の方に提案して保存を図りたかったとのお話を伺ったこともあります。

ですので、仮に、その建物・敷地(庭園)の所有者の方が、売却を決意した際に、「指定された物件(公共性の認定を受けたもの)を解体(現状変更)目的で売却する場合には、事前に届出させて公表し、既存建物等の保護活用を目的とする他者にも購入申出の機会を広く与える制度(言うなれば、株式の公開買付制度のようなもの)」が設けられていれば、上記の料亭の建物・敷地等が存続した可能性もあるのではないかと思います。

当委員会は恥ずかしながら色々と活動の限界が大きく、さほどのことはできそうにありませんが、そうした制度の可能性まで視野に入れた議論が喚起されるような活動ができればと思っています。