市役所が生じさせた不良債権に対し住民ができること

整骨院による診療報酬の不正請求に関するニュースは時折目にしますが、3年前(平成25年)に盛岡市の整骨院が診療報酬の架空請求をして支払を受けた後で自己破産をしたため、市などに8000万円を超える不良債権が生じたとの報道を見たことがあります。

当時の盛岡市は、この件や平川食品(地元の大手豆腐業者)の倒産などで市に巨額の不良債権が発生したとのニュースがよく出ており、4年前(平成24年)には市の発注工事で業者と市の担当者が詐欺・贈収賄で逮捕された事件もありましたが、それについても市に生じた損害が填補されたという報道は無かったと思います。

当時も今も、それらの問題について市の担当者などの責任を問う住民訴訟が起こされたとの報道もなく、昨年(平成27年)の盛岡市長選でもそうしたこと(具体的な予防策などを含め)が論点になることもなく、残念に感じています。

まあ、市長さんなどへの賠償請求を求めても、主導的な関わりをしていたのでもない限り判決を待たずに市議会の放棄議決で終了となってしまうかもしれませんが。

ですので、紛争をたきつける趣旨ではないのですが、市当局も、回収できませんでした、だけで終わってしまうのはあまりにも情けないというか、住民側が市政運営を監視し場合によっては関係者の責任を問うような、何らかの具体的な営みがあればと残念に感じてしまいます(市議会にその役割を求めるというのは無い物ねだりでしょうか?)。

行政の責任という点ではオンブズマンなどを称する市民団体の方により訴訟がなされる例も国内ではそれなりにありますが、現職・与党への糾弾を強く意識する政治色の強いものは私が関わることはないでしょうから、できれば「第二オンブズマン」とでもいうか、政治色の薄い「ノンポリ無党派の立場でも、これはいかがかという問題があれば、役所に物申したい(そうした形で市政参加ができる)」といった文化が形成されてくれれば、私にもお役に立てる場面が増えるのではと思われ、そうした萌芽が何らかの形であればと願っています。

「地方自治体の運営に対する監視」という点では、訴訟だけではなく、このブログでも以前から触れている包括外部監査制度もありますが、これも我が国(特に東日本)ではほとんど活用されておらず、可能なら、包括外部監査(専門家)と良識ある住民の双方による建設的な監視・関与の制度・文化が形成されてくれればと残念に思っています。

ジョークの類で恐縮ですが、新聞に入っている市民講座のチラシを見ていると、市役所が住民の法的素養を涵養するとの見地から、「初めての監査請求」「住民訴訟にチャレンジ」などという講座を開いていただいてもよいのではと思わないでもありません(弁護士も余ってきてますので、講師のなり手はいくらでもいますし。ただ、県内では住民訴訟の経験が豊富な人は恐らくごく僅かというのが玉にキズですが)。

私も、昔、本人訴訟で別な自治体を提訴していた方から法律的な論点について簡易な書面作成のご依頼を受けたことがありましたが、それ以外で住民訴訟に従事した記憶がなく、いずれの立場であれ関わる機会を与えていただければと感じています(ただ、行政が当事者となる訴訟は、いずれの立場でも大赤字になりやすく、なるべくボランティアではなく持続可能な程度の対価はいただければ幸いですが・・)。

余談ながら、当家は生協の共同購買を利用しているため、当時、平川食品さんの倒産で、これまで購入していた豆腐が入荷されなくなったというお知らせを見たときは、ちょっとしたショックというか寂しさを感じました。

(本稿は、平成25年6月に旧ブログに投稿した文章を微修正し再掲したものです)