惜しい!志摩スペイン村

今年の夏休みこと家族接待は、思い切って伊勢・志摩地方に遠征しました。初日に志摩スペイン村に行き、2日目には鳥羽水族館と鳥羽湾巡りなどを行い、3日目には伊勢神宮(外宮・内宮)を巡って、鳥羽からフェリーで帰りました。

往路は、初日に某県を出発して高速道路を進みましたが、途中で玉突き事故による大渋滞が発生し、到着が大幅に遅れました。それがなければ、四日市あたりのSAでトンテキを賞味できたかと思うと悔やまれます。

ただ、巨大な高架と橋が連続する伊勢湾岸道路は見応え十分で、走っているだけで楽しく感じました。高速から見る御在所岳方面も、深田久弥の日本百名山で、「名山なのにロープウェイで遊園地化して残念」と書いてありましたが、ぜひ行ってみたいと思いました。

志摩スペイン村は、お店と建物群が並んだ入口の雰囲気や夜のパレード、「キャスト」などの言葉遣い、周囲から隔絶されており外の風景がごく一部しか見えない点など、東京ディズニーランドやディズニーシーを相当に意識した作りになっているように思いました。
http://www.parque-net.com/parque_espana/index.html

反面、3Dシアターの通路(出入り口から会場までの通路)が、何の装飾等も施されておらず、その辺に転がっている県民ホールなどと全く同じの無機的・無味乾燥な通路になっており、その点は、ディズニーの爪の垢を煎じて飲んで欲しいというか、残念に感じました。

他にも、遊園地そのものという感じの左側のエリアと、ハビエル城(フランシスコ・ザビエルが生まれた城を模したもので、内部が博物館になっている)のように、ディズニーシーに負けないくらいスペインの建物や街並みを表現している右側のエリアが混在している点は、大人も子供も楽しめるという点では良いのかもしれませんが、統一感の無さという意味では評価が分かれるところではないかと思いました。

個人的には、熟年夫婦など遊園地には興味のない旅行者なら、左側エリアに立ち寄らず、右側の建物エリアを散策して施設内の風景を生かしたレストランでワインと質の高いスペイン料理だけを楽しみたいと思うのではないかと思われます。そうした意味では、遊園地エリアと街並みエリアを分けて、共通パスポートのほか、一方だけの入園もできる方式も考えてよいのではと感じました。

私自身は、街並み群や風景など(右側エリア)はとても好ましく感じましたが(但し、宝探しコーナーには異議ありですが)、夏休み時期の割りにさほど混雑していないようにも感じましたので、HISや星のやグループなどに相談して、センスや集客のための工夫・リニューアルを考えた方がよいのではと感じました。

すでになさっているのかもしれませんが、例えば、パレードなども、世界遺産のTV番組に出てきた、バレンシアの巨大人形(それと似たものがハビエル城内にも展示されていました)を生かした火祭りなど(可能なら、一般客の参加的要素も導入したもの)も取り入れることができれば、ディズニーと差別化した、「ここだけの本物の魅力」を伝えられるのではと思いました。

また、ドンキホーテ物語が元になっているらしい、私自身は見たことのないオリジナルキャラクター群(ミッキーマウス達のようなもの)が色々と存在感を主張していましたが、「本家」ディズニーが成功している一番の理由は、自ら次々に新たな映像作品などを世に送り出して、施設の改装などに生かすことで、リピーターなどの集客に繋げているという点にあると思われ、この点(メディアミックス戦略やそれを前提とする知名度獲得のための全国的、世界的な努力の欠如)は、このパークの最大の課題ではないかと感じました。

この日の宿泊は、志摩を代表する「的矢かき」の料理旅館という、「いかだ荘山上」さんにお世話になりました。私自身は牡蠣にさほど関心がありませんが、同行者が牡蠣に執着する御仁のため、岩ガキのコース料理には十分に満足していたようです。

また、この宿はスペイン村からほど近くにあるため、スペイン村を一旦切り上げて4時到着→風呂と夕食→スペイン村に送迎(パレードと花火鑑賞)という有り難いサービスを受けることができます。我々の宿泊日にはこのサービスの利用者は多くなかったので、この点は、もっと認識・活用されてよいのではと感じました。

お店の資料によれば、海上の筏から吊して牡蠣の養殖を行う方式を世界?で初めて行ったのが的矢湾で、その方式を開発したのが東北帝大の出身の方であり、「いかだ荘」は、その方の勧めで開業したのだそうです。
http://ikadasou.jp/

三陸も言わずと知れた牡蠣の名産地ですが、牡蠣の養殖文化のルーツを知るという点でも、東北人にとっては、志摩地方・的矢湾に足を運ぶ意義は大いにありそうです。

ただ、志摩は温泉が湧出する場所が限られているようで(或いは、温泉排水による漁業権との利害衝突が絡んでいるのかもしれません)、こちらの旅館も、温泉付きでないため、その点は実に惜しいと思いました。また、私は海産物(生もの)はなるべく端麗辛口の大吟醸で頂戴したいので、その点もご検討いただければ(或いは、南部美人をはじめ岩手の酒造メーカーも、牡蠣つながりなどと銘打って、営業活動を行っていただけば)と思っています。