最後の福祉弁護人とドタバタ劇

先日受任した被疑者国選事件が、自宅に障害のあるお子さん(成人)が一人残されているとか、猫がいるものの面倒を見る人がいないとか、本題(被疑事実)とは関係のないところで色々と問題があり、保健所・医療施設・動物愛護団体など様々な関係先の方々と延々と電話でやりとりする等の作業に追われました。

幸い、猫やお子さんの保護に関する実働は関係機関に担っていただき、猫も残念な展開にならずに済んでおり、「猫の餌をやってきてくれ」などという国選の著名ジョークのような有様には至っていませんが、先日は迷路のような道路の先にあるご本人の自宅を訪ねて内部の残念な状況を五感で思い知るという出来事もありました。

最近は、後見絡みの受任が増えているほか、ご家族の障害などの問題を抱えた高齢の方からの財産管理などに関するご依頼(地域包括支援センターを介したもの)もあり、次第に「最後の福祉弁護人」といった感じになってきています。

10年以上前は、ヤミ金などの従事者と不毛な怒鳴り合いに勤しむ「最後のクレサラ弁護人」だったこともありますが、時代の流れを感じざるを得ません。

で、保健所のAさんや医療施設のBさんとのやりとりの一コマから。

A:お子さんが所持金がなく困っている。解決のため、被疑者に○○を聞いて貰えないか。
私:昨日も接見に行ったばかりなので、何とか他の方法で対応できませんかね・・
B:無理です。これがどうにかならないと、お子さんが食べていけません。
私:仕方ないですね・・今夜も行きますよ。

~で、接見して○○を聞いてきた次の日~

A:何とかなりました。○○の点が分からなくとも、大丈夫でした!
私:そうですか。昨日のうちに仰っていただきたかったですが、良かったですね・・
(こうした話の連続で急ぎの重い仕事が延々遅れており、内心ピギャー)

で、心の余裕がなくなるとロクなことが起きないというか、11時の法廷を勘違いして10時半に裁判所に行き、到着後に愕然としながら無為に30分を過ごす羽目になりましたとさ・・

どんとはれ。

ともあれ、この件では、当事者(特にお子さん)が悩ましい問題を抱えた状態が今も続いており、現在、関係者に検討・準備いただいているものを含め、様々な福祉的支援が必要であることは間違いありません。

現在生じている幾つかの看過すべきでない問題を解消するには一定の経費を要しますが、この件では特殊な手法を用いれば一定の費用回収ができることも間違いないと思われるものの、現在の法制度では簡単にできることではないことも確かです。

この場では具体的に書けなくてすいませんが、そうした問題について担保的な手法により最後に回収する目処を付けた上で、行政などが介入し問題の除去を図るという仕組みがあってもよいのではと残念に感じています。