特攻隊員からの自由主義のバトン
平成25年の夏休みに、松本・安曇野方面に旅行したことがあります(今回の投稿は基本的にその際の旧ブログ投稿の再掲です)。
その際は、大所帯の旅行となったため50分待ちの松本城内入りを断念せざるを得ないなどやむを得ざる制約がありましたが、それでも色々と新しい発見があり、訪ねた甲斐がありました。書きたいことは沢山ありますが、さしあたり1点だけ。
松本城内に入れなかった悔し紛れ?で城に隣接する市立博物館に入ったところ、たまたま特攻隊をテーマとする特別展をやっていました。
恥ずかしながら「きけわだつみのこえ」を読んだこともなく(どこかで見ているのかもしれませんが)、特攻隊の具体的な知識はほとんどない不勉強の身でしたので、初めて知ることが多く、色々と考えさせられました。
館内では、安曇野出身の上原良司という学徒動員された慶応の学生さんが大きく取り上げられており、その方の手記(展示されていた文章)が心に強く残りましたが、帰宅後に調べたところ、「きけわだつみのこえ」の冒頭に収録されていて、特攻隊の悲話を象徴する人物の一人として位置づけられているようです。
ここでは書きませんが、彼の手記(とりわけ、下記の石碑でも引用されている象徴的な一節)は今も微塵も色褪せることなく、国民一人一人に渡されたバトンとして、受け止めていかなければならないと思います。
帰宅後に知りましたが、安曇野地区の随一の観光スポット「大王わさび農場」の近くにある公園に彼を偲ぶ石碑があるそうで、旅行中に知ることが出来れば、こちらにも立ち寄りたかったと思いました。
http://www.ikedamachi.net/pages/1_meiyo.html
ところで、毎年8月15日は終戦記念日である以上に、靖国参拝を巡る報道が過熱する日という印象が強くなってしまっているように感じますが、彼を取り上げたあるサイトによれば、上原良司は自分は愛する者のために死ぬので天国に行くから靖国には行かないよ、と語ったのだそうです(知らない方のサイトかと思いきや、平成24年に岩手弁護士会の憲法委員会の企画で講演をされた、いわゆる護憲派の憲法学者の方のサイトでした)。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2009/0810.html
私自身は、身内(直系の尊属)に出征者がいないせいか靖国にはニュートラルなスタンスのつもりですが、靖国を大切にしている方々も、こうした方の存在や思いは知っておいてよいと思いますし、逆の立場を鮮明にされている方々も、当時の若者達が、戦争や当時の社会の誤りを十分に理解しつつ敢えて体制の中で自らが新しい社会を作るための犠牲になることを潔く引き受ける道を選んだことの重みを、考えていただきたいところだと思っています。