ガーシー議員問題で関係者に責任を取らせたい人が希望する法律案について、憲法適合性を論ぜよ
NHK党のガーシー議員問題については、いよいよ参議院で謝罪文読み上げ等を求める懲罰決議がされ、恐らくは不履行→除名決議という展開が濃厚になっています。
ガーシー議員の処分 3番目に重い「議場での陳謝」で決定 参院 | NHK | 参院選
この問題を巡っては「除名だけでは不十分だ、歳費を返納等させるべきだ」「NHK党や、投票した者の責任も問われるべきだ」という声がマスコミやWeb上を賑わせていますが、「ここまでやれば再発防止に繋がるのでは」と思わせるような具体的な提案(制裁案?)は拝見していません。
私は、こんな議員が誕生すること自体、国会(立法府)の様々な機能不全や政治不信が底流にあり、その解決(究極的には政治部門の憲法改正等?)こそが必要ではと思っているので、モンダイ議員個人の制裁にはさほど関心がないというのが正直なところです。
ただ、徹底した責任追及を求めるのであれば、どのような制度が考えうるのか・憲法上どこまで許されるか、という思考実験自体は関心が湧いたので、半ば戯言感覚で、次のような法律案?を考えてみました。
どうせなら、どこかのホンモノの政党で、真面目に検討いただいても良いかもしれません。
それ以前に、この御仁への投票のような「あらぬ方向」に陥らぬよう、真っ当な方法で庶民の政治不信を受け止め政治作用や諸制度の改善に活かしていく営みが、政治家にも国民にも求められているとは思いますが・・
【次年度司法試験・憲法予想問題集より】
国会への欠席を続けるG議員問題に対する国民の非難を受けて、国会に以下の内容を含む法律案が提出され、可決の見込みとなっている。以下の法律案に関する憲法上の問題について論じなさい。
(1) 各議院は、懲罰の対象となった議員を除名(憲法58条2項)する際、併せて、過去に支給した歳費の全部又は一部の返納を求めると共に、相当額の過料(秩序罰)の支払を命ずることができる。これらの金員には年利14.6%の延滞税を付すものとする。
(2) 対象議員が比例代表制により選出されているときは、前項の決議の際に、前項の支払を担保するため、選挙実施時の対象議員の所属政党及び選挙時の党代表者個人にも連帯支払責任を課すことができる。この場合、その履行がなければ今後の政党交付金から相殺できるものとする。
(3) 前項(比例代表)の場合には、各議院は第1項の決議にあたり、除名後に所属政党から繰上当選するのは不可とし、次回選挙まで欠員を続けるものとすることができる。
(4) 対象議員が除名決議に先立ち議員辞職した場合において、その議員が本条に定める処分を免れる目的で不相当な時期に辞職したと認めたときは、各議院は、対象議員及び政党などに対し、除名決議と同じ要件で本条に定めるものと同様の措置を講ずることができる。
(5) 各議院は、第1項の決議にあたり、選挙管理委員会に対し、対象議員を選出した選挙に関する各投票所での当該議員(選挙区)又は当該政党(比例代表)の得票率を公表すると共に、国に対し、特に得票率の高い地域には地方交付金の配分を減少させるなど、当該地域への施策に一定の考慮を行うよう求めることができる。
なお、本項については、附帯決議に「除名対象になることが当初から見込まれる候補者について投票した者の責任も問うべきだとの国民の強い声が寄せられたこと、他方、投票者を調査・特定し個人に不利益を課す制度が憲法では認められないことも踏まえ、許容される限界的な制度として、得票率の多い地域への一定の不利益措置を講ずるのが相当と判断したことに基づく」と記載されている。
***
参考答案は、オボ塾刊行の「受験虚報」次回号に掲載予定・・・かも。