フランチャイズ制度の現状と課題
今月(平成26年3月)の日弁連機関誌(自由と正義)に、フランチャイズ制度の特集記事が載っていました。大雑把な内容(項立て)としては、以下のようになっています。
①フランチャイズ制度に関する基本的な視点(学者の先生の講義)
②公正取引委員会のアンケート結果やフランチャイズ内部=本部と加盟店との各種紛争(本部の事前開示情報と実際との相違、本部の経営指導義務違反、加盟店の会計に対する拘束等、中途解約等、同一加盟店の近隣出店、違約金や保証人)の紹介と立法提言(加盟事業法)
③業界団体(本部側の団体である日本フランチャイズチェーン協会)の取組(相談センター等)と本部側からの加盟店紛争(諸論点)に対する考え方
④米国(フランチャイズ制度の発祥国)・韓国(日本に匹敵する普及国)の法制度や実情等
岩手でも、大規模店舗やロードサイドなどを中心に、私をはじめ一般住民が現に消費対象として利用する店舗の多くが、地元系列を含むフランチャイズ関連の店舗になっていますが、私個人に関しては、残念ながら、フランチャイズ・ビジネスに関する紛争(本部と加盟店との紛争)に関する相談や事件依頼等を受けたことはなく、加盟店や統括支部(サブフランチャイザー)をなさっている方から、業務等に絡んで何からの相談を受けた程度です。
私の「FB友達」にも、フランチャイズ・ビジネスに携わっている方は少なからずおられますが(JC関係者など。大半は加盟店側だと思います)、この種の記事をチラ見すると、訴訟までするかどうはか別としても、何らかの形で本部側に「過去の裁判例や現在の議論などを踏まえた待遇改善」を訴えてもよいのに、そのような論点等があること自体を知らず、不遇な待遇に甘んじている人もいるのではないか?と思わないこともありません。
労働者の場合、ご自身の所属企業と闘わなければならない事情がある場合には、企業内に労働組合がなくとも、いわゆる合同労組に加盟し、その支援を受けて企業に団交要求するなどの方法があるのですが、私の知る限り、フランチャイズ・ビジネスにはそのような制度等はないと思います。
少し調べたところ、加盟店側にも「全国FC加盟店協会」という、コンビニ経営者などを中心とする団体があるようですが、HPを見る限り、岩手支部は結成されていないようです(他に、同種の団体等があるかは分かりません)。
http://www.fcajapan.gr.jp/
合同労組のような強力な制度はまだしも、一定の地域内でフランチャイズ・ビジネスをしている方々(加盟店や小規模な統括支部など)が、勉強会や親睦会など緩やかな横のつながりを作って業務等の質を向上させる営みをなさってもよいのではと思いますし、そうしたものであれば、冒頭の論文などをネタ本にした簡単な勉強会等の形で、「フランチャイズ専門」などとはお世辞にも言えない地元の弁護士も、少しは物のお役に立てるのかもしれません。