万引と弁償を繰り返すお爺さんとカレーメシ
先日、盛岡のランチパスポート期間が終わり、優雅な生活を望むべくもない身は、あっという間にカップラ昼食に墜ちています。
夏の「端境期」にもfacebook上で同じようなことを書いたら、友人に「カレーメシが上手いよ!」と勧められたのですが、その日の晩に接見した「スーパーで万引きをしたお爺さん」から被害弁償(万引品の代金全額)を届けて欲しいと頼まれたので、そのお店に支払に伺ったついでにお店に1個だけ残っていたカレーメシを買って帰りました。
で、12月になっても食べそびれていたので、先日、それなりに美味しくいただきました。
ちなみに、お爺さんは「被害弁償で不起訴になるはずだ」と強く述べていたのですが、前科多数の方で、残念ながら実刑判決で終了しました。過去の事件でも、同じように逮捕→すぐに弁償→でも前科あるので実刑、というパターンが繰り返されていたことを、起訴後の開示記録で知りました。
本件では、前刑出所後に貸室に入居し収入はもちろん家具も満足にないため出費を惜しんで、というのがご本人の言い分で、発覚時に弁償を申し出たもののお店が応じず通報され、前科などに照らして逮捕されるという経過を辿っていますが、ご本人の体調がよくなく、社会復帰できずに天寿を全うすることもあるかもしれません。
こうした事案に対しては、弁護人が不要だと感じる方もおられるようですが、私自身は、国選弁護制度(憲法37条3項後段)の目的は刑事処罰の法的適正に関する担保(審査・確認)であり、そのような理由から、罪に争いがなく示談などが困難な事案などでも弁護士が関与する意義があるものと理解しています。
もちろん、当事者ご本人がそうした法の趣旨・目的を理解しているか、或いは弁護人などに制度を逸脱する無理な要求をしていないかなどということは別問題で、時にはげんなりする思いを余儀なくされながら本人その他の関係者とのコミュニケーションをせざるを得ないこともそれなりにありますが、私がまだ修行が足りないから、そうした機会が訪れるのだろうと前向きに考え、今後もつとめたいと思っています。