債務整理費用を巡る「ぼったくり」の光景と、岩手弁護士会良心価格基準の残念な終焉(後編その1)

個人の債務整理(自己破産)を巡り、担当管財人として偶然知った申立代理人(依頼先弁護士。著名事務所)の費用(60万円?)について「これは幾ら何でもぼったくりなのでは」と感じた案件に関する投稿の後編であり、岩手弁護士会内でのやりとりを書きます(長文になったので2回に分けました)。

ここまで、このテーマに関する私の昨年の経験(前編)と、岩手弁護士会が平成17年に定めた「良心価格ルール」(中編)について書いてきました。

ただ、前出の岩手弁護士会消費者委員会の報酬基準(東京の弁護士の6~7割で受任するよう会員(岩手の弁護士。委員のみ?)に勧告するもの)を策定された当時の消費者委員会の主要メンバーの方々が、いかに

いい仕事を良心価格で提供するのが貧乏県たる岩手の弁護士の役割だ

との志を掲げていても、そうした熱意や努力は、さほど県民その他には伝わっていないので、今も、Webその他で、我々が設定する費用よりも遙かに高額(ぼったくり?)な費用を提示する東京云々の弁護士・司法書士に対し、多くの県民等が、

「相場観なんて知らないので、そちらがその額だというなら、そういうものなんだろう」(岩手の弁護士に頼めば同等のサービスを遙かに安価で済むなんて、聞いたことないよ)

と感じて(信じて)、言われるがままの金額を支払い続けてきた(今もそうしている)、ということなのだと思います。

それもまた、二割司法というべきなのかもしれません。

もし、この20年間、我々=岩弁消費者委などが、「債務整理費用は、この金額が正しい=この水準を著しく超えるカネを要求している奴らは、ぼったくりだ」と県内ひいては世間一般に、広くメッセージを届けて、県民等が「そんなところに頼んではいけない」との広く認識することができていれば、事態は全然違ったものになっていたのだろうと、大変残念に思いますし、私自身も忸怩たる思いがあります。

昨年は、いわゆる不適切債務整理(無理筋=受任費用収奪型の任意整理)に関する弁護士会の相談会もなされていますが、利用者数は低調だったと聞いています。

これも、「債務整理って、どういうものであるべきなのか」の認識が世間に共有されていないという点では、同根のものと理解しています。

この点は、当方ブログで何度か投稿したことがありますが、Webの片隅に埋没するだけで、世論喚起の力は全くありません。
CMやネット広告で「任意整理」を宣伝する都会の弁護士等の仕事に接して感じた疑問について | 北奥法律事務所
多重債務を巡る「不毛な任意整理の費用負担被害」の問題について | 北奥法律事務所
インチキ任意整理に注意喚起し続けて幾年月、今更?の報道と弁護士会 | 北奥法律事務所

結論として、岩手弁護士会(消費者委)が、県民ないし世間に向けて、

平成17年基準が原則的な適正額であり、それを著しく超える金額は「ぼったくり」=頼んではいけない、

などと呼びかけると共に、日弁連に対しても、価格統制(過大請求禁止)の策定を求める(できれば、各地弁護士会や司法書士会にも賛同を求める)といったことができれば良いのでしょうが、私には過ぎたる望みなのでしょうね・・

(以下、次号)