区画整理の対象となった土地の売買に関し瑕疵担保責任の成否が問われた判例

区画整理事業施行地区内の土地を購入した買主が、売買当時には賦課金の支払義務がなかったのに、売買後に組合から賦課金を課された場合に、当該義務の可能性を伴うことが土地の「瑕疵」にあたると主張し売主に賠償請求したものの、瑕疵とは言えないとして、請求を棄却した例(最判H25.3.22判タ1389-91)です。

判決では、区画整理組合の総代会が賦課金を課す決議をしたのは、本件売買後に開始された保留地の分譲が芳しくなかったためで、売買当時に組合において組合員に賦課金を課すことが具体的に予定されていたとは全く窺われないこと、決議が売買から数年も経過後であることから、売買当時に賦課金が課される可能性は一般的・抽象的なものに止まっており、それは当該土地の売買には常に存在していることに照らし、「売買当時、賦課金を課される可能性があったこと」は、土地の「瑕疵」にあたらないとしています。

私の知る限り、岩手の被災地では、まだ区画整理に絡んで訴訟が起きておらず、被災地以外の土地でも区画整理に関する訴訟というものをほとんど聞くことがありませんが、少なくとも被災地絡みでは、今後の成り行き次第で紛争が多発する可能性もあり、その際に改めて参照する必要が生じるかもしれません。

解説では、不動産の購入後に隣地に生活環境を悪化させる施設が建設された場合の瑕疵担保責任の当否に関する前例などが紹介されており、その点でも参考になりそうです。