坂の街・大船渡の景観を考える
現在も、法テラス気仙の担当の一人として、月1回のペースで大船渡に通っています。宮守ICの開通後は、交通状況次第では2時間弱で大船渡に到着でき、渋滞問題もほとんどありませんので、気持ちの上では宮古市よりも近い(移動時間という点では、沿岸では盛岡から最もアクセスがよいのでは)と感じるところがあります。
先日は、再建した大船渡魚市場の食堂がオープンして大盛況になっているとのニュースを見ていたので、是非と思って行ってみたのですが、30分待ちということで時間的に断念し、テラスの眺望だけ拝見して帰りました。場所柄、大船渡湾が一望できますので、この景色を見るだけでも十分に立ち寄る価値はあると思います。
ところで、大船渡市の中心部(主に盛~大船渡地区)は、大船渡湾を囲むようにして坂の街が形成されており、対岸(赤崎地区など)から見れば、坂に沿って建物が林立している景観を楽しむことができます。
このような「港に沿って形成された坂の街」は、瀬戸内海や地中海、或いは長江中流域(重慶~三峡ダム。平成11年の夏に行ったことがあります)などでは珍しくないと思いますが、岩手ではとても珍しく、それ自体、景観としての価値があると言ってよいのではないかと思います。
小規模な港町を別とすれば、岩手の他の沿岸都市は、いずれも北上高地から各地の沢水を集めて流れてくる河川の河口付近に出来上がった細長い平野部(扇状地)に形成されており(宮古、釜石が典型で、ご無沙汰していますが久慈も同じような感じだったと思いますし、陸前高田も細長くはありませんが気仙川河口の扇状地という点は同じでしょう)、街の景観(地勢)という点では、大船渡は岩手的には異彩を放っているように感じます。
その点は、大船渡湾が外洋から深く入り込んだ形状をしており、湾内が比較的穏やかな海になっていることも関係しているのではないかと思われます。
ともあれ、大船渡を訪れて中心部周辺を周遊していると、この街は、もっと坂の街としてのアイデンティティを押し出し、その景観を市街地形成や観光等に活かすべきではないかと感じられます。
例えば、対岸=赤崎地区に、景観を楽しめる南欧・地中海料理の飲食店など出店してはいかがかと思うのですが、どうでしょう。この地区は、中心部からは若干離れているものの、質が高ければ客が殺到するのは、同じく中心部からは離れていると言って良い魚市場食堂が証明していると思います。
岩手弁護士会の公害対策環境保全委員会では、地元の景観資源に関し地元の弁護士として何らかの貢献ができないか模索しており、法規制や運用などを通じ、こうした事柄にも関わりを持てればと思っているのですが、何のツテもスキルもなく、どうしたものやらです。