対立する両当事者の相談が同じ弁護士に行われた例
先日、相談にいらした方(A氏)から、「以前、弁護士会?の相談でC弁護士に相談した。その後、相手方のB氏が、自分もC弁護士に相談して同じ見解を聞いたと説明してきた」というお話を伺いました。
どうやら、C弁護士は、A氏から相談を受けた後、紛争の相手方のB氏からも同じ事項で相談を受けていたようです。
しかし、同一の弁護士が紛争の対立当事者双方から相談を受けることは(双方の同意等がない限り)禁じられていますし、私を含め、弁護士であれば、対立当事者からの相談依頼だと判明した時点でお断りするのが通例です(しなければならない職業上の義務があります)。
もちろん、C弁護士がどのような認識、判断のもとで相手方からの相談にも応じたのか分かりかねる上(私も、相談が開始してから利益相反に気づいて中止をお願いしたことはあります)、その件では、あまり問題が生じなかったようです(C弁護士は、A氏も聞いた「A氏の希望に沿う判断」をB氏にも説明したとのこと)。
ただ、このような話を聞くと、「相手方からの相談受付を防止する仕組み」の欠如について、考えずにはいられないものがあります。
当事務所では、電話で相談依頼を受け付ける際には、相談テーマや対立当事者のお名前もお聞きし、過去に入力した一覧表で対立当事者から相談依頼を受けていないか確認するようにしています。
ただ、事務所に対立当事者から相談依頼の電話がかかってきた記憶がなく、対立する相手方当事者(相談者)の方とは弁護士会や役所相談などでお会いするのが通例になっているので、それについては事前に相談者リストを入手する以外に予防策がありません。
最近では、相談担当日の前日に、リストの送信を受けて確認するようにしていますが、弁護士会から励行されているわけではなく、当方の自主的取組みに止まっており、この点に関する関係者の議論が進んでいない印象を受けるため、残念に感じています。