平成26年の業務実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から、毎年1回、前年度の業務実績の概要をブログで公表しています。昨年(平成26年)の業務実績は、顧問先には1月頃にお送りしたのですが、多忙等を言い訳に、ブログに掲載するのが遅れてしまいました。

長文ということもあり、今回は、3回に分けて掲載します。分類については、当事務所HPの「取扱業務」に基づいています。

(1) 全体的な傾向など

平成26年も、①交通事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚相続など家族・親族間の紛争、③企業・団体の商取引や内部事務に関する紛争の3点が、受任業務の中心を占めました。特に、家族・親族間の紛争や権利関係の処理に関する業務が増加傾向にあります。

反面、本年も債務整理・倒産等の業務は、全国的な傾向と同様、数年前と比べて大幅に減少しています。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

食品製造委託取引を受注した企業Xが、発注者だと認識するY1社に代金請求したところ、Y1が「発注者はY1ではなく(XにY1社を紹介後、事業停止となった)Y2社だ」と主張してきたため、Y1が発注者(債務者)だと主張して支払を求めた事件で、無事に当方の主張が認められ、Y1から支払を受けたという例がありました。

複数の企業が発注側に介在する場合には、「誰が代金債務を負担するか(誰が発注者か)を巡る争い(支払責任をなすりつけ合う紛争)」は頻繁に生じますので、そのような取引に関与される際は、責任の所在を明らかにさせるよう、強くご留意いただきたいところです。

また、経営者が交替した法人で新経営陣が旧経営者に不正行為があると主張して訴えた事件で、旧経営者の依頼で役員欄に押印(名義貸し)した法人とは無関係の方が巻き添え的に提訴され、ご依頼を受けた事件があり、事実経過や相手方の主張の問題点を詳細に主張したところ、相手方(原告)が当方に責任がないことを認めて和解で終了したという事件もありました。

当方の主張が認められたとはいえ、名義貸しは多くのリスクを伴いますので、名義貸しの要請を受けた場合には、極力、拒否いただき、一定の形が不可避といことであれば、後難を避けるための適切な措置を講ずるなど(弁護士に相談いただくべきでしょう)、ご留意願います。

その他、特殊な工事の代金請求に関する紛争(当方は受注者側。相手方が、当方の責任で工事が頓挫したと主張し支払拒否しているため、責任の所在が争われているもの)、採用後ほどなく退職した元従業員の方が申し立てた労働審判(企業側代理人として担当)、協同組合の内部で問題を起こした組合員の処分の当否を巡る訴訟(組合側代理人として担当)などを手掛けています。

中小企業庁が行っている「下請かけこみ寺」事業に基づき、小規模な下請業者の方から発注者の支払拒否や取引中止への対応などの相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は僅かなものとなっていますが、企業倒産に関しては、かつて多数を占めた建設業界に代わって、福祉やITなど広義のサービス業に携わる企業の方からご依頼がありました。

個人の債務整理については、昨年同様、「完済後の過払金請求」のご相談が若干あったほか、かつての「多数の高利業者から数百万円の借入がある多重債務事案」に代わり、債務額・件数は多くはないものの、生活保護ないしそれに準じる低所得の方や、住宅ローンの支払が諸事情で頓挫し破産等を余儀なくされた方からのご依頼が増加傾向にあります。

破産管財人を担当した方で、多数の農地等を有するものの市場性が乏しく売却に困難を来したり(様々な手法をとることで、一定の農地を売却できたこともあります)、保険契約などで名義貸し(実際の保険料を親族が支払っている事案)が関係する例(原則として名義人の財産として換価対象となりますので、ご家族の名義でご自身が保険料を支払って契約をなさっている方はご留意下さい)などがありました。

管財手続が終了した後の会社の権利関係の処理(放棄された不動産の売買など)に従事することも何度かありました。

(以下、次号)