思想や情念が対立する社会の中で、君たちはどう生きるか
大学2~3年頃の私は、浅羽通明氏の「ニセ学生マニュアル」シリーズを片手に、同書が薦める膨大な書籍群を古本屋に探しに行くような日々を送っていました。
そのリスト群に「君たちはどう生きるか」も含まれており、当時購入していましたが、後回しにしたまま現在に至っています。
ただ、昨年頃、久しぶりに浅羽氏の著作が読みたくなり、
なる本を見つけたので、購入して一気に読んでしまいました。
私は数年前に一世を風靡した「君たちは~」の漫画版も読んでおらず(子供に見せようと思って買ったものの誰も読んでない、がっかり家族・・・)、プレイ前に攻略本ばかり買いたがる、駄目ゲーマーのような人生というほかありません。
ともあれ、浅羽氏の本は、
「このマンガは、主人公には色々な意味で萌え~になる、原作の憧れのヒロインを登場させなかった、ろくでなしのク○本だ!」
との一喝から始まり、諸々の理由から、
「君たちはどう生きるか」とは、子供のいじめや悔恨だけをテーマとするような、底の浅い(説教じみた)物語なんかじゃない、
ロマン溢れる革命思想(皇帝推戴を到達点とするボナパルティズム?)≒ナチス等に悪用される以前の善良?なファシズムの代弁者としてのヒロインと、人類社会全体の調和を目指す理性的な合理主義=ソ連等のインチキ共産主義ではない、本物のマルクス主義?の担い手としてのおじさんの二人が、主人公コペル君(戦前日本の進路)を取り合って争う、天才達の壮大な恋愛頭脳戦・・・もとい、思想対決の物語だ
(そして、それは、たぶん、今も形を変えて続いている)
という、独自?の解釈を展開したものとなっています。
このような話を聞いて興奮する人はどこにもおらず、大半はドン引きするか、珍獣として面白がるか、というのが世の常かとは思いますが。
ともあれ、先般公開された巨匠制作の同名タイトルの映画を今後ご覧になる方々も本書を一読されてみてはと思い、田舎の珍獣のはしくれとして、紹介させていただきました。