憲法記念日と日本国憲法の活かし方

5月3日は憲法記念日ですが、この日に憲法について取り上げられるニュースといえば、決まって、1番目が、いわゆる護憲運動を旗印にする左派勢力の集会で、2番目が、国家主義的な見地からの改憲を旗印にする右派勢力の集会というパターンだと思います。

取り上げられる発言も、それぞれの立場のアピール的なものに止まり、いずれも積極的に支持していない「無党派」の第三者にとっては、示威行動的な空しさばかり感じてしまいます。せめて、双方が対話、議論するような集会でも行ってくれればと思わずにはいられません。

私にとって5月3日は個人的な思い出がある日でもありますが、それはさておき、法律家の端くれとして、各自が日本国憲法とそのあり方、活かし方について考える日であって欲しいと思います。

私が日常的に拝見している他の弁護士さん方のブログを拝見したところ、憲法について触れているものは多くはありませんでしたが、淡路の蔭山文夫先生のブログでは、憲法の存在意義について、我が国の法律実務家(司法試験等で憲法学をきちんと勉強した人)にとってスタンダードな感覚、認識が述べられており、大いに参考になると思います。

その上で、落合洋司先生のブログで書かれているように、社会の変化・進展に応じて憲法のあり方を考えていく(その前提として、日本国憲法の制定過程と現代社会の有り様の双方をよく学び、感じ取る)必要もあると感じています。

なお、憲法のあり方、活かし方を考える上では、小林正啓先生が仰るように、「日本国憲法が時代にそぐわないのではなく、現代の社会がようやく日本国憲法に追いついてきた(が、昔の価値観のまま放置された法令が残っているので、それらは時代が「追いついた」時点で違憲判決を受けている」という視点も、欠かすべきでないと思います。

私にはこの方々のような見識を示す力はありませんが、法に関わる人々の真摯な営みの積み重ねの上に、現行憲法の理念を実現する道が開けるものと思いますので、時に自省を深めつつ、実務の一端を地道に担っていければと思っています。