町弁が久慈に来たりて じぇじぇ歌人
昨年末頃から業務と私用で一杯一杯の状態が続き、とりわけ2月になって書面の締切が続いたことから、ブログの投稿が困難となっています。
久しぶりに少し一息ついたので、1月下旬に弁護士会の企画で久慈商工会議所での相談会を担当したときのことについて載せることにします。
午後1時から午後3時まで2時間(30分ごと計4人)の枠が設けられていたのですが、前日の昼の時点で予約ゼロと報告されたので、応募するんじゃなかったと後悔したのですが、夕方になって1件予約ありとの連絡があったので、エア宅急便だけは免れたと思いつつ、久慈に向かいました。
この日は東京は大寒波に見舞われていましたが往路は順調そのもので、想定より1時間近く前に到着したので、思い切って小袖海岸に向かうことにしました。
小袖海岸のシンボルの一つである「つりがね洞」は昔から存在だけは知っているのですが、これまで訪れるたびに通行止め(工事)やら時間切れやらで赴くことができず、今回こそはと思って行くことにしたものです。
で、最初の「行けなかった日」である修習生のときから数えて足かけ20年ほどを経て、ついに、つりがね洞に辿り着きました。
昔は「洞」の内部に岩が鐘のようにぶら下がっていたそうですが、今は鐘を無くした空洞がその名称と共に欠落を強調するかのように存在感を訴えているように見受けられます。
そんな光景を眺めつつ自分の心にも開いた穴があるのだろうかなどと思って一首。
人生の峠を越えて見る海は 夢の隙間を埋める旅路か
小袖海岸の海女センター周辺は、1~2年前に大手生保会社さんのご依頼で相続セミナーを久慈で行った際に山側ルートでチラ見だけしましたが、折角なのでそこまでは行くことにしました。途中の海岸線は、内陸部とは違った冬の厳しさ、美しさを感じさせる見応えのある光景になっていました。
荒磯の波と雨雪 あのひとの涙と思い寒さかみしむ
なんだか短歌というより演歌みたいな感じですが、ともあれ、ゴールの夫婦岩まで到着し、去り際にまた一句。
おらおらで じぇじぇじぇの浜に ひとりいぐ
商工会議所に到着した際は目の前のお寿司屋さんにも行きたかったですが、悲願?の小袖海岸を優先したため、昼食は、泣く泣く寿司を諦めてコンビニサンドで済ませました。
で、会場に戻ったところ予約の1件のほか新たにもう1件追加申込があり、2件分の相談対応をしてきました。
双方とも弁護士への相談が必要相当な案件で、うち1件は訴訟受任などの可能性を含めた会社業務に関する様々なご相談があり、1時間近くも要するものでしたので、結果として久慈まで往復した甲斐はあったと思います。
午後3時過ぎに終了となり、道の駅でウルイやサメの切り身など「自分用の土産」を買い込んで久慈を出発しました。九戸ICまでの北上高地は降雪で白一色に染まった森を微かな陽光が照らす幻想的な姿に包まれており、その光景に溶けてしまいたいと思いながら、快適に走行することができました。
銀世界 白に消えんと願う身の 胸の残り火 そを妨げる
ところが、なんということでしょう。
浄法寺ICに辿り着くと通行止めを理由に強制退場を余儀なくされました。盛岡では大雪状態という情報は得ていましたが、浄法寺の空は何の問題もない薄曇りの晴天で、これで通行止めと言われても納得できません。
ただ、どうせ安比~安代周辺=奥羽山脈の吹雪が原因だろう、松尾ICに着けば高速に戻れるだろう、吹雪が終わったのなら安代ICで復帰できるかもと淡い期待を抱いて、4号線に戻らず、そのまま安代=高速沿いに県道を南下することにしました。
すると、少し調べたところ、滝沢ICまで通行止めになっているとのことで、これでは途中で高速に戻ることもできず、並行路(国道282号)は同じ境遇の車両で大渋滞は不可避と思い、いっそ一戸に戻り国道4号線で南下する方が賢明かとも思いましたが、すでに安代IC近くまで来てしまったので、今更と思い、やむなくそのまま南下を続けました。
やはり、安比が近づくにつれ国道は混雑気味になり、これでは1時間で足る帰路が3時間以上になるかも、と意気消沈せざるを得ません。そんなわけで、安比の温泉地帯を横目に峠道を上り下りしながら一首。
高速が止まりまさかの大迂回 雪見温泉 寄る金もなく
結局、安比(竜ヶ森)の峠を越えて松尾八幡平ICの手前に辿り着いた時点で、ちょうど通行止めが解除され、無事に高速で盛岡に戻ることができ、通常の1時間遅れで済みました。
帰宅後、朝には晴天だったとはいえ、こんな日に洗濯物を外に干した我が身の愚かさを呪ったことは申すまでもありません。