金色がお好きな「日米の二人のトップ」に関する共通点と未来
トランプ大統領が就任と同時に行ったのは、TPP離脱宣言だけでなくホワイトハウスの執務室のカーテンを金色のものに取り替えたことだった・・という趣旨の記事が出ていました。
http://www.asahi.com/articles/ASK1Q4QN8K1QUHBI00W.html?iref=comtop_8_01
金色を身にまとうのがお好きな公権力の代表者という話を聞くと、現代日本人が連想するのは「いつも金色ネクタイ」のイメージが強い鳩山由紀夫首相でしょうか。それだけに、素直に考えれば「日本を代表する反トランプメディア」になりそうな朝日新聞の記事だけに、そのイメージを狙った報道かもしれないなどと思わないこともありません。
そういえば、このお二人ですが、キャラ(片や傲慢・豪腕、片や優しそうな異星人)や政治家としての出自(片や政治経験の全くない不動産王、片や首相の孫にして日本有数の政界のサラブレッド)は全く異なるように感じられるものの、共に「大金持ち」であるだけでなく、「公権力の代表者になった経緯」という点で見れば、看過すべきでない共通点もあるような気もします。
というのは、トランプ氏のような御仁を大統領に押し上げた原動力が、オバマ大統領の美しい言葉の影で広がる米国の格差社会で置き去りにされた貧困層や没落中間層の現状(米国経済)への不満や怒りの心情であることは、広く言われていることですが、鳩山政権誕生(民主党への政権交代)の原動力も、それに近い面がないわけではありません。
民主党の政権交代の原因については、第一次安倍内閣で閣僚不祥事が頻発して首相の対応が後手に回って信頼を失ったとか、当時の民主党の主要メンバー(陥落までの主要閣僚陣)がそれなりに政治家としての知名度やブランド力を得ていて、一度は政権を任せてみたいという機運があったこと、小泉政権の郵政解散の反動などなどが挙げられるかもしれませんが、現在との大きな違いとして、倒産が非常に多く、不況と呼ばれた時代だったことは軽視できないと思います(当時は我々「町弁」たちは、クレサラから企業倒産まで多くの債務整理事件に従事していましたが、今は見る影もありません)。
そういえば、鳩山内閣の実質的な意味での「前政権」というべき小泉内閣は、最後まで国民の高い人気を得ていた一方で、自由経済至上主義の印象の強い竹中平蔵経財相の重用など、見方によっては「華々しい光景の陰で、その後に顕在化した格差社会の素地を作った」という批判も当てはまる余地があるような気もします。
だからこそ前哨戦となった参院選で小沢代表(当時)が大勝した際のキャッチフレーズが「国民の生活が第一」だったわけで、小沢氏が西松建設事件や陸山会事件で失脚しなければ、その後も、小沢氏が同様の言葉を掲げて衆院選で大勝し首相となっていた可能性は極めて高いのではないでしょうか。
言い換えれば、「ワシントンのエリート達から政治を普通の国民に取り戻す」と叫ぶトランプ氏と、「自民党の一党支配(及びそれに寄生する官民の各種利権)から日本の政治を取り戻す」と叫んでいた当時の民主党(鳩山政権)は、その支持層も含めて、かなり似ている面があるように思います。
そういえば、民主党の支持層は中年の男性の方が多い(女性に人気が無い)と聞いたことがありますし、逆に、民主党=インテリの支持が多いというイメージがありますが(少なくとも、当時、自民党を引きずり下ろしたかった朝日新聞はじめ?左派色のあるメディアの支持を集めていました)、トランプ候補も意外にインテリ層の支持もそれなりにあったという趣旨の記事を目にした記憶があります。
また、双方(鳩山氏、トランプ氏)とも、親ロシアのスタンスであり(鳩山氏は祖父の鳩山一郎首相が日ソ共同宣言=国交回復を樹立し対米自立志向が強かったことなどに由来)、「米軍による沖縄の防衛(駐留)」を重視していない(ように見える)点も似ています(その政策の当否はさておき)。
決定的な違いは双方の政権発足時の支持率の差でしょうか(鳩山内閣の発足時の支持率は70%以上で、世間の大きな期待を集めていたことは覚えている方も多いでしょう)。
そんなわけで、トランプ政権が「反面教師として参考にすべき存在」があるとすれば、鳩山(由紀夫)政権ではないかと感じているのですが、だからこそ、IT革命とグローバリズムをはじめとする社会経済の大変動により没落を余儀なくされた中間層の健全な復活に寄与する政策を目に見える形で推進できれば、優れた政治家として支持を集めるでしょうし、民主党政権時代の日本のように社会内に不況や政争による閉塞の印象を与えたり、世界を不安と混乱に陥れ、既存中間層のさらなる没落を招くような行動に及べば、彼を相応しくない立場から追い出そうとする力が何らかの形で働くのではないかと思われます。
トランプ政権の閣僚のニュースを聞くと軍人関係者の話が多く、まるで戦争をしたいのか(そのための人材シフトなのか)と不安に感じざるを得ませんが、政治や社会に無用の混乱が蔓延しないよう、何より、暴力(他者の尊厳を蔑ろにする手法)による物事の解決を志向する勢力が跋扈することのないよう、強く願いたいものです。
と、ここまで書いた後、グーグルで両氏のお名前を入力したところ、ここまで延々と書くかどうかはさておき、同じようなことを感じる方が多くおられることがよく分かりました。