24年ぶりの函館と、あの日みた景色

今年のGWは、前半に1泊2日で函館に行きました。私は平成元年4月から3年間、函館ラ・サール高校の生徒として函館に住んでいましたが、卒業以来ご無沙汰になっており、訪れるのは24年ぶりになります。

家族は初めての来函ですので、函館駅に到着後、朝市→ベイエリア→元町界隈や函館山、五稜郭など観光客向けの典型コースばかりを巡って帰宅しました。

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今の函館のB級グルメと言えば、ラッキーピエロのチャイニーズチキンバーガーということになるでしょうし、昭和62年創業とのことで、私の高校時代から存在していたのでしょうが、恥ずかしながら当時は全く知らず、今回はじめて食べました。

五稜郭も、中学の修学旅行で行ったせいかもしれませんが、高校時代はどういうわけか敢えて行きたいという気になれず(GWに帰省していたせいもあるでしょうが)、今回、修学旅行以来はじめて五稜郭に行きました。

函館は中韓などからの観光客も非常に多く、函館随一のデパートというべき「丸井今井」(盛岡の川徳に相当。なお、函館駅前の「棒二森屋」はフェザンと中三を一つにしたようなものでしょうか)にも、中国語の広告が大々的に掲載されていました。

五稜郭の桜は文句なしの満開状態で、タワーも奉行所も満足して巡ることができました。

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事前にネットで調べていましたので、街並みの変化にさほど心揺さぶられるところはありませんでしたが、それでも、和光や大門商店街のアーケードが無くなっているのを見ると、思うところはありました。

また、私自身は在学中はほとんど外食はしていませんが、例外として函館山の麓にある「カール・レイモン」が当時はレストランを経営しており、落ち着いた店内でドイツソーセージのランチを年に1、2回ほど食べるのがささやかな楽しみになっていたので、同社がレストランを閉鎖し物販と軽食に特化してしまったのは、少し残念に思っています。

折角なのでラ・サールも見に行こうということになり、湯の川温泉の宿から出発し、校舎や寮、グラウンドの外観だけをチラ見して戻りました。

ラ・サールは、私の在籍時は、開校以来の「港町らしい?ピンクに塗装した木造校舎(でもって、網走刑務所のように建物が放射状。冬は石炭ストーブ)」というアヴァンギャルドな建物でしたが、私が卒業した直後に現在の立派な校舎に全面建替となり、寮も現在は立派なものに建て替えられていますので(高校の寮は函館山からも確認できます)、良くも悪くも郷愁をそそられる要素は微塵もありません。

ただ、グラウンド(体育館も?)は概ね昔のままであるほか、旧校舎の一部が移築されており、その点はさすがに懐かしさを禁じ得ませんでした。

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在学中は函館山に登ることはほとんどありませんでしたが、高1か高2の晩秋の頃、夕方に学校から北側に片道30分か40分ほど、住宅街から荒地のような丘の上まで走って、いわゆる「函館の裏夜景」を見に行ったことがあります。

当時は、「裏夜景」を観光名所として口にする人はほとんどなく、それだけに、黒色の函館山と夕闇を背にした街並みの裏夜景は心に染みる眩しさがあり、そこに吹く海からの強風と共に、よく覚えています。

高校では「勉強もできず運動もできず、あやとりや射撃のような特技もない、のび太以下の田舎者」でしたので(日本史の成績だけが救いでした)、心中は身の置き場もなく鬱々とした日々を送っていたように思いますが、それだけに、一人だけでも特別な時間、光景を持てることを心の命綱にしていたのかもしれません。

そんなわけで、当事務所の近所で短い新婚生活を送った石川啄木に敬意を表しつつ?その時のことを懐かしんで一首。

黄昏の裏夜景こそかなしけれ 十六の胸 癒やす木枯らし 

函館ラ・サールには、英国の軍歌?に由来すると言われる「It’s a long way to La Salle High School」という学生歌があり(鹿児島も同様とのこと)、校歌は出だししか覚えていないがこの歌なら今もほとんど全部歌えるという卒業生は、私だけではないと思います。

高校1年のときは「商社に入りヨーロッパの駐在員として人知れず死にたい。日本(人)と関わりたくない」という厭世願望がありましたが、やがて社会との関わりを持って生きたいという方向に気持ちが傾いてきて、高校を卒業する頃に、ようやく司法試験を意識するようになりました。

もちろん、どのような法律家になりたいか、どのように社会と関わり何を尽くしたいかということまで深く考えていたわけではありませんが、暗中模索の日々は、今もさほど変わらないのかもしれません。

そんなわけで、次に訪れるときには何か答えのようなものを持ち帰ることができればと願って、最後に一句。

旅立ちの 夢は今なお ロング・ウェイ

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