3年前に自民大乱を予言した男と、変わらぬフニャコな日々

菅首相が退陣し次の自民党総裁を巡り岸田もと外相と河野行革相が争っていた令和3年9月に、「岸田首相になれば、宏池会の大先輩たる宮澤首相の前例に倣って、いつかは政界大乱になるかも」と書いたことがあります。

それから3年。第1幕というべき9月の自民党総裁選を経て、総選挙後には、本格的な政界大乱の可能性が見えてきたような気もします。

私の知る限り、3年前にこのような予言をしていた人がいるのか存じません。

今度から、私を街で見かけたら、自称・政界予言者あるいは甘口政治評論家などと呼んでいただければ幸いです。

岸田首相は(安倍首相時代の頼りなさ?からは信じられないほど)宮澤首相より遙かに党内権力の掌握や遊泳に長けるようになり、(諸政策の当否はさておき)不人気による退陣を余儀なくされたとはいえ、ご自身の代では本格的な政争が生じず、事実上の後継者となった石破氏が「権力闘争が苦手そうな宮澤首相の再来」という形で、これを引き継ぐことになりました。

もちろん、現在の政争や混迷の原因となった諸事情(いわゆる裏金云々や統一教会ひいては安倍首相の銃撃事件、物価高など)と宮澤首相時代の社会状況とは全く異なりますが、長く続いた一つの時代(竹下派支配であれ安倍首相時代であれ)に区切りをつけたいとの社会的機運が生じていることは、共通しているように思います。

野党がアテにならなそう=自民が分裂でもしないと何も変わらなそうという点も似ているのかもしれませんが・・・

また、宮澤政権末期と比較すると、かつて隆盛を極めた竹下派(経世会)が金丸氏逮捕を機に大抗争に突入して分裂(小沢氏らの大量離党)した光景と今回の一連の展開は、多少とも似ているものがあるような気もします。

安倍首相時代に隆盛を極めた安倍派が分裂したわけではないとはいえ、政権を支えていたもう一つの主要勢力である菅氏勢力が安倍派と袂を分かち、最後に岸田首相の支援を得たとはいえ、曲がりなりにも(進次郎氏の敗退に伴って)石破氏を担いで勝利した光景は、「かつての主流派が、大事件を機に分裂して抗争した」という点で類似性があると言ってよいかもしれません。

ただ、自民党を割って野党と連立政権を組み元同僚達を追い落とすだけの豪腕のある御仁が今の自民にいるようには思えず、総選挙後の抗争第2幕は、30年前と全く違う様相を辿ることだけは間違いないのでしょう。

個人的には、友達が少なそうな石破首相には相応に親近感がありますので、総選挙の結果がどうあれ、しばらくは政権を維持して頑張っていただきたいと思っていますが、それ以上に、政治云々にご縁のない野次馬ないしノンポリ無党派層としては、千両役者と言えるだけの立派な政治家の方々による見応えのある光景をもっと拝見できればというのが正直なところです。

数年前に「万物の尊厳」を掲げる憲法改正(13条の2新設)を思い立った際は、いつの日か書籍を出版して世間に問いたい、その手段として選挙もありうるかも・・などと一瞬考えたりもしましたが、「そんな暇があったらさっさと仕事(納品)しろ」と、依頼者・関係者から厳しいお叱りを受けるほかないフニャコフニャオ状態を一刻も早く解決するのが先、というのがお恥ずかしい実情です。