債務整理費用を巡る「ぼったくり」の光景と、岩手弁護士会良心価格基準の残念な終焉(後編その2)
債務整理費用に関する著名事務所による過大請求?と、それに対する弁護士会の残念な対応の光景を述べた投稿の最終回です。
数ヶ月前、ここまで(前3回)述べたような投稿を岩手弁護士会の消費者問題対策委員会のMLに事例報告として投稿し、弁護士会として何らかの対処を考えていただけないかと陳情しました。
1年前も、盛岡以外の他の先生から、今回取り上げた著名事務所αに関し、依頼者を食い物にするような対応があった(が管財人の立場ではどうしようもない)との報告があり、そのことも、私の経験も報告すべきではと感じたきっかけになっていました。
しかし、残念ながら他の方々には取り上げていただけず、そのばかりか、投稿直後の委員会で、平成17年基準は既に形骸化した?として、廃止する(ので各自の判断で自由に金額を決めるように)との説明が役員の方からなされていました。
そのように仰った先生のサイト上は従前の金額(H17基準)のままとなっていますので、ご自身の都合云々ではなく、弁護士会として受注額の統制は困難と判断されたのだろうと思います(カルテルの類とは真逆の上限規制型の統制ですが)。
何の発言権もない万年下っ端幽霊委員の身では、意思決定権を持つ方々の光景を拝見することしかできませんでしたが、現状では、弁護士会が
利用者の実情に照らし、一部の弁護士の報酬額は高すぎる、(大量の需要があり定型処理が一定程度可能な個人の債務整理では)このような業務を行うこと(業務基準)を前提に、この金額を標準額とすべきだ(それを著しく上回る金額は、特段の事情がない限り不相当に過大というべきだ)
という指針を示さない限り、冒頭のような「ぼったくり(としか思えない)事案」で委任者(顧客)側が「払いすぎた委任費用の一部を返せ」と求める(裁判所がそれ=不当利得返還請求を認める)ことは困難と思われ、私としては、大変残念に思いました。
債務整理を巡る弁護士業務の適正を巡っては、20年以上前から現在に至るまで様々なモンダイ事案があり、世間で話題になるものもあれば闇に埋もれている(話題にならない)ものもありますが、現時点の「公式見解(規制)」は、10年ほど前にできた面談規制(面談しないと不可というもの)など「かゆいところに手が届かない程度のもの」しか設けられていないと思われます。
或いは、当時も価格規制も議論されて潰されたのかもしれませんが、総本山(日弁連)に期待するのは(世論の突き上げでも生じない限り)夢のまた夢なのかもしれません。
それで弁護士業界等の信用が落ちたとしても、お偉いさんには知ったことか(成仏理論?)ということかもしれませんが・・
Web広告の片隅に埋没しているせいか、当事務所も近年は債務整理のご依頼を受けることがほとんどなくなってしまい、法テラス相談会などを通じて生活困窮者の方の自己破産など限られた事案のみを受任しているのが実情となっているのが残念な実情です(途中で音信不通になるなど残念な展開になる方も少なくありません)。
ともあれ、当方は引き続き、めげることなく、債務整理分野に限らず様々な事案で今後も長年の経験と知見を生かし、良心価格で適切な対応を地道に続けていきたいと思っています。