盛岡町家に梅の花を

この土日に、盛岡市鉈屋町で「旧暦の雛まつり」が開催されていました。去年は仙北町の町家群の雛祭りが同時開催され、私は両方とも見に行きましたが、今年は鉈屋町のみの開催になったようです。
http://machijuku.org/event/

1月ほど前に鉈屋町に新しく出来た「もりおか町家物語館」にお邪魔する機会があったこともあり、今年の訪問は遠慮させていただきましたが、日曜はよく晴れたので、今年も盛況だったのではないかと思います。

ところで、鉈屋町に行くたびに思うのは、この界隈(通り沿い)には草木があまり見あたらないなぁということです。元来、狭い街道沿いだからなのか町人街だからなのか、理由は分かりませんが、少なくとも街路樹の類はほとんどありません。

この点、規模・知名度では比較の対象にはならないかもしれませんが、隣の秋田・角館の武家屋敷街は、ご存知のとおり秋田随一とされる桜の名所であり、やはり、古い街並みには、花や樹木が彩りを添えて欲しいと思わずにはいられません。

とりわけ、鉈屋町では、毎年この時期に「旧暦の雛祭り」を開催しているので、この時期に彩りを添える植物があれば、来場者に喜ばれるだけでなく、雛祭りや建物群にさほど関心のない層も呼び込むことができ、観光面の策としても意義があるのではないかと思います。

そして、この時期(4月第2週)は、盛岡は例年、まだ桜は咲かず(盛岡の見頃は例年は4月の第3週)、その代わりに、梅が概ね満開期にあたるのではないかと思います。

そこで、盛岡市であれ有志(町内会とか町並み塾とかJCとかロータリーとか?)であれ、どなたか、鉈屋町界隈に梅の木を沢山植えて、雛祭りの際は界隈を闊歩する来場者が梅の花を楽しむことができるようにしてはと思うのですが、いかがでしょう。

もともと、盛岡に限らず東北には梅の名所はあまり聞きませんので希少価値がありますし(岩手公園は桜のイメージが強すぎ、梅の名所という感覚がありません。ネット情報でも、東北は他地域と比べて梅の名所が少ないようです)、伝統的な和の町並みには、桜以上に梅が似合うと言ってよいのではないかと思います。

また、ネットでチラ見した限りでは、梅の花のイメージは、「凛としたいじらしさ」というものだそうで、「雛まつり」に添える花としては、ぴったりという感じがします。

さらに言えば、盛岡を本拠地にしていた安倍貞任の弟・宗任は、梅の花に関して「わが国の梅の花とはみつれども 大宮人はいかがいふらむ」という有名な一首を残しており、その点でも、盛岡に梅の名所がないというのは、郷土にゆかりの故事を顕彰し言い伝えるものを欠いている点で、残念なことと言うべきではないかと思っています。

というわけで、「盛岡町家に梅の花を」というキャンペーン(鉈屋町に限らず、仙北町など、この時期に旧暦の雛まつりを行うところがあれば、そちらも含めて)を行っていただきたいと思っていますので、賛同いただける方は、ご尽力をお願いいたします。

最後に、安倍宗任に敬意を表して?次の一句で締めくくりたいと思います。

【懐かしき 春を待ちやと 梅の花】

大意:北国の長い冬が終わり、待ち遠しかった春が戻ってきた。その喜びを、長い間、その価値が忘れ去られて再評価されるのを待ち続け、ようやくその時を迎えた、盛岡町家の「旧暦の雛祭り」の中で感じたいものだが、その街並みに、同じ時期に花を咲かせる梅の木が添えられていれば、なお一層喜ばしいことだと思いませんか?