平成26年の業務実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか
前回に引き続き、平成26年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を簡単ながらまとめました。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。
(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決
相続分野では、「死亡危急者遺言」(危篤時に第三者(証人)が作成し、後日に裁判所の確認を受ける制度)が作成され、被相続人の友人に多額の財産が遺贈されたという事案で、ご遺族から、遺言者の意思に反するとのご相談を受け、昨年から遺言無効等を求めていた訴訟について、当方の主張を認める旨の和解勧告があり、勝訴的和解が成立して終了したという例があります。
この件では遺言者(被相続人)の方に認知症がなく、遺言無効の主張が認められない可能性も否定できない事案でした(依頼者の方によれば、以前に他の弁護士に相談して勝訴は困難と断られたのだそうです)。
当職も、立証に課題があるとは感じつつ、事案固有の様々な事情から、遺言無効が認められるべきだと考えて、依頼主と共に膨大な作業時間を投入して様々な主張立証を展開したところ、全面勝訴に匹敵すると言ってよい、満足いく成果が得ることができました。
昨年は、相続放棄やご家族(妻子・両親・兄弟姉妹等)の死去等により相続人が不存在となった方について、利害関係者のご依頼で相続財産管理人の申立を行ったり、私自身が管理人に就任して権利関係の処理を行うという事案が幾つかありました。
以前に「無縁社会」などと呼ばれ、現在もその状態が解消されていない中、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ないケースは増えていくと思われますが、なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について、遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので、ご留意いただければと思います。
また、遺言に関し、自筆遺言証書の文言などに問題があり、あるべき対処(遺言の解釈など)についてご相談を受けたことが複数あり、中には、相続人間で訴訟を行っている例もあります。
お一人で遺言を作成するのは、内容が明確(財産全部を特定の相続人一人に相続させるようなもの)であればまだしも、解釈による紛争のリスクが否定できませんので、公正証書遺言に依っていただくか、どうしても自筆を希望される場合には、文言の当否についてご相談いただくなどの対処をご検討いただきたいと考えます。
離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)についても、法テラスの無料相談制度(震災当時、岩手県などに在住の方は、資力などに関係なく一律ご利用できるもの)などを通じて多数のご相談を受けており、訴訟や家裁の調停等を受任した例も少なくありません。
昨年は、夫婦間の子の引渡を巡る紛争(母が子を連れて別居した直後に、父が子を連れ戻した挙げ句、母との接触を拒否したため、母が父に対し、子の引渡と引渡までの面会交流を求めたもの)を受任しており、逆の立場で受任した事件もあります。
子を巡る紛争は、面会交流を含めて、近時は著しく増加しており、裁判所は、子の福祉のための環境のあり方を重視しますので、お子さんのことを深く考えて柔軟な対応が求められることも多いと感じています。
成年後見に関しても、裁判所の委託で後見人に選任されている例が複数あります。
(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務
行政を当事者とする紛争では、長年に亘って区画整理の問題を抱えていた事業者の方から、区画整理の一環として自治体が行った行政処分に対する取消請求訴訟や執行停止申立を行った例があります。
刑事弁護については、幾つかの国選事件のほか、若干の私選弁護(相当期間内で終了しタイムチャージ形式で清算するもの)が幾つかありました。詳細は伏せますが、ある団体について業務上横領罪で起訴された方が嫌疑を否認し、有罪の当否が激しく争われた事件を担当した例もあります。
その他の業務としては、昨年に引き続き、被災者支援の一環として、弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています。大船渡の法テラス気仙に月1回の頻度で通っているほか、原発事故に起因する賠償問題なども扱いますので、必要に応じお問い合わせ下さい。