震災から半年後(H23.8)の被災地相談~釜石編~
震災の年(5年前)に沿岸被災地に赴き無料相談に従事した件に関する投稿(旧ブログ)の最後として、平成23年8月に釜石で従事した「多士業連携相談」に関する件を再掲します。
他にも、陸前高田の学校や山田町の公共施設などに赴いたり、秋頃?から陸前高田の高台に弁護士会が設置した臨時相談所の担当などにも従事しましたが、今となっては良くも悪くも懐かしい思い出になってしまいました。
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多士業なんでも相談会と政策災害
この日、釜石市内で行われた「被災者向けの専門家合同相談会」に参加してきました。これは、被災者支援の一環として、県内の各士業や金融、FP(フィナンシャルプランナー)などの業界団体が連携し、複数業種に跨る相談に対応する「ワンストップ相談事業」として7月頃から開始した相談会です。
私は東京時代(8年ほど前)に、東京の士業が連携して行っていた「10士業よろず相談会」に参加したことがあり、ワンストップ型相談の有意性を感じていましたので、ぜひ参加したいということで行ってきた次第です。
実際、会場でも、相続関連の相談の方に関して、最初に担当した私が対象となるご家族の相続スキームや各種留意事項などを説明し、その後、司法書士の方が相続登記の手続等を説明し受任態勢を整え、最後に税理士の方が相続税などについて説明等するという流れを辿ったケースがありました(紛争性のないご相談だったので、私の出番はさしてありませんでしたが)。
ただ、東京の10士業相談の際は、一人の相談者に相談内容に応じて複数の士業が相対して相談に応じる形をとり、相談事項に応じて各士業がそれぞれ質問・説明などを適宜行っていたのに対し、今回は、別々に相談に応じる形になっているので、相談者の方にとっては二度手間になったものもあるかもしれません。
反面、直ちに受任を前提とした相談になる場合などは、受任をする士業者が一人で対応した方が賢明になることもあり、その辺は設営者等に工夫が求められるところかとは思います。
結局、これまでの例と同様、周知不足か供給過多か、最初の3組ほど(1時間)程度で相談者は打ち止めになり、あとは時間を持て余して他の先生と雑談するなどしているうちに終わってしまいました。
岩手に戻った頃は、どの相談会に参加しても定員一杯というのが当たり前でしたが、現在は完全にその逆になっています。今年は震災の影響もあり相談会の種類も量も飛躍的に増えているように感じますが、いずれの企画も効果的な集客の工夫をしていると感じたことはなく、このまま漫然と参加し続けて良いのか、疑問を感じないわけではありません。
相談会の場所が被災を免れた釜石駅付近であったため、帰りの際は釜石市の中心部から警察署まで行き、若干ながら被災状況を視察しました。4月3日以来4ヶ月ぶりの釜石でしたが、中心商店街が多少片づいてきたほかは復旧という言葉にはほど遠く、瓦礫やスクラップ状態の車両などが多く散乱していました。
往路では国道396号ルートを通ったので、帰路は東和から高速道路で盛岡に戻ることにしましたが、恐れていたとおり、盛岡南IC出口で「被災証明書渋滞」の長蛇の列に遭いました。その上、私の前方で渋滞待ちの車両が追突事故を起こし、当事者が車外に出て警察官らとやりとりしていました。
ETCを活用せず人力の書類確認を強いるなどという、大渋滞の発生が容易に見込まれる無料化政策さえ採られなければ、この人達も追突事故を起こしたり被害に遭うこともなかったんだろうな・・と思わずにはいられませんでした。
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最後のネタは、菅内閣が震災対策?として導入した「被災県の高速無料化」のことを指していますが、今思い出しても、どうしてETCを使用させずに人力の書類確認を強いるなどという方法を採用したのか、本当に不思議です。
大渋滞→導入者(菅内閣)への失望の声という展開が容易に予測されたはずなのにその程度のことも分からなかったというのか、それとも菅内閣の倒閣作業の一貫としてわざと諫言せずに行わせていたのか、今も訳が分からないと感じてしまいます。
同様に「多士業相談」も、その後は沿岸であれ内陸であれ県内ではほとんど行われておらず、その点も残念に感じます。