公的機関の相談事業で生ずる利益相反の問題について
先日、盛岡市役所の無料相談を担当したのですが、10名の相談者(来訪者)の方のうち2名の方が、利益相反のため、ご相談をお断りせざるを得ないものでした。
利益相反とは、事件又は相談事項に関する相手方当事者から、その事件等の相談等を受けたことがあるため、弁護士業務の性質上、相談等をお断りせざるを得ないものを指し、これまでも何度か経験しています。
ただ、滅多に生じない話であるせいか、私の知る限り、行政機関であれ弁護士会であれ法テラスであれ、弁護士による相談事業を行っている団体等が相談希望者の方を受け付ける際、利益相反による相談謝絶を防ぐための措置を講じているという話は聞いた(見た)ことがありません。
せめて、主催者側で相談希望を受け付ける際に、相談者のお名前やご相談のテーマ(差し支えがあれば空欄という前提で)を確認して一覧表を作成し、前日の夕方までに、担当弁護士(事務所)宛てにFAXかメールで連絡していただければ、そうした事態を防ぐことが容易になると思います。
漏洩ミス云々を気にするのであればパスワード付のメールにする等の方法が可能ではないかと思います。
少なくとも、当事務所に相談希望のお電話をいただいた際には、極力、受付時にご相談の概要や相手方のお名前等もご説明いただき、上記のような当日の相談謝絶にならないよう留意したり、事前に予習が必要なテーマか確認するなどの対応をしています。
その程度のことは、町弁であば皆しているのではないかとは思いますが。
利益相反の問題があると、どうしても、瞬時に打ち切りにせざるを得ず、来場者にとっては何の落ち度もないのに門前払い扱いになってしまうので、とても申し訳ないという感じになってしまいます。
この場合、せめてものということで、翌週のご来場や法テラス、弁護士会などをご説明することにしています。
現在のところ、岩手では個人の方のご相談事項の大半に無料相談が可能になっていますので、市役所などの相談事業にはそのような弊害があることをご理解いただき、なるべく事務所でのご相談をご利用いただければと思っています。