滝桜に向き合う「ここにしか咲かない一つだけの花」
1年前の話で恐縮ですが、昨年のGWは、いわき方面に2泊で旅行しました。いわき市は(磐越道や常磐道も)今回が初訪問になります。
東北自動車道を南下した後、最初に二本松ICで下りて二本松城を訪問し、その後、田村市の「あぶくま洞」に向かいました。
二本松城は、安達太良山などの眺望が素晴らしく、平山城の広大な敷地内を散策したかったのですが、時間不足のため裏口から本丸周辺を拝見したほか、大手門(三の丸)の入口をチラ見しただけで終わってしまいました。
その後、二本松市内で移転(避難)営業をなさっている「浪江やきそば」の名店に来てみたのですが、大行列で泣く泣く諦め、あぶくま洞に向かいました。
あぶくま洞は、龍泉洞と違って地下水脈が通っていないため、龍泉洞を何度も見ている岩手県民としては、少し物足りない面もありましたが、鍾乳石の造形美という点では、龍泉洞よりも多様で大規模な光景を楽しむことができたほか、入口の大岩壁に見応えがあるように思いました。
若干の追加料金で探検コースに立ち入ることができるのですが、かなり狭い空間を辿らなければならず、肥満の方には無理があるほか、汚れても構わない格好で入った方がよいのではと思いました。
その後、この日の宿を予約した三春町に向かいましたが、途中で、田村市にある「小沢の桜」という名所に立ち寄りました。「はつ恋」という映画のロケ地だそうで、すでに大半は散っていたものの、十分に見応えがありました。
そして、宿に着く前に、三春といえばということで、滝桜にも立ち寄ってきました。満開から3週間を過ぎていましたので完全に葉桜でしたが、周辺もよく整備され、日本有数の銘木としての風格を感じました。
幸い、町内の山桜などは散りきっておらず、ちょうど滝桜と丘の坂を挟んで向かい合っている名もない山桜は、まだ美しい姿を見せていました。
そうした光景を見ていると、ここ数年、かつて司法研修所で一緒に勉強した方々の多くが、著名な事件を手掛けて大きな成果をあげたり司法の重要な部門で活躍されているとのニュースなどに接し、彼らが滝桜のように咲き誇っているのに比べ、私自身は震災前後から何年もぱっとしない停滞状態が続いている、そんな光景を感じずにはいられないところはあります。
ただ、私がそうした華々しい方々に遠く及ばないにせよ、滝桜の後に咲く目立たない山桜のように、いつの日か地域社会で地味でも意義や価値のある役割を果たすことができるよう、その機会が与えられる日まで地道に研鑽を積んでいこうと思います。
と、そんなことを考えつつ一首。
そびえ立つ国の誉れの散る頃に 遅咲きの花 愛でる神あり
この日は夕方に訪れたこともあり、写真映えのしない薄暗い状態でしたが、翌朝にもう一度訪れた際は、快晴の空に滝桜も周辺の山桜も、共に美しい姿を見せていました。