函館の屋台村放浪記~函館R1.10往訪編①~
3年前の話ですが、とある所用で函館に行きました。不本意ながら前日入りせざるを得ず、夜の到着後、折角だからということで風呂上がりに大門横丁(屋台村)に晩酌に行きました。
もともと軽く一杯だけで宿に戻りすぐに寝ようとしか考えていなかった上、目当てのお店が満席だったため、投げやり気分で、店員女性(若いおねえさん)が客引きしていたお店(屋台)に入りました。
すると、コの字型のカウンターのど真ん中に、ホスト風?の威勢の良いあんちゃんが陣取っており、私が入店するまで客引きしていた店員と大声で延々と軽口トークを繰り広げていました。
屋台は延々とその喧騒に包まれ、温泉上がりにしみじみしようとしていたのが台無しとなり、「こんなあんちゃんが占拠する店に入るんじゃなかった・・」と憤慨していたところ、あんちゃんは店員との薄口トークに飽きたのか、こちらにしきりに話しかけてきました。
私も若い頃に夜の山小屋で見知らぬ健脚の方と熱い山トークを繰り広げたことはあるものの、人里の盛り場に出入りするのはほぼ皆無で、上記の経緯からも酔っ払いには関わりたくないと思って、半ば聞こえないふりをしていました。
が、あんちゃんのお世辞トークに屈したのか、同行者が会話を始めたので、やむなくお付き合いすることにしました。
あんちゃん(自称29歳)は、ホストではなく全国規模の専門商社の営業マンで、函館には出張で週末だけ時々来ているとのことでしたが、そんな御仁が、どうしてこの屋台の主のように振る舞っているのだろう・・と思いつつ、あんちゃんトークを聞き流していました。
すると、同行者の対応に気をよくしたあんちゃんは、突如、「どうすれば結婚できるんですか」などと、直球トークを繰り出してきました。
結局、あんちゃんトークを適当にやり過ごしているうちに盛会となり、ほどなく解散しました。
両親にも私自身にも、良くも悪くも様々な物語があり、この年まで生きながらえると、「歴史は繰り返す」という言葉を否応なく体感せずにいられないことは何度もあり、今もそうした日々を良くも悪くも余儀なくされています。
数年前、父が亡くなり私が駆けつけた直後、病院から戻ってきた父の枕元に来た母が「おつかれさまでした」と深く一礼したのを見ましたが、果たして、そうした光景もまた繰り返されるのか、あれこれ考えされられた夜になりました。