取扱業務実績
事案の内容は、守秘義務の観点から一定の抽象化又は改変をしています。
下記は平成22年までの実績に基づきます。平成23年以後の実績はブログの「カテゴリ」でご確認下さい。
中小企業・団体の経営に関する法的サービス
地元に根付いた中小企業・団体の多くは、企業の維持や発展のため、時には様々な困難と闘いながら、雇用をはじめ様々な形で地域の社会、経済を支えています。
私は実家が小さな会社を経営しており、そうした光景を垣間見て育ったこともあって、誠実な地域企業・団体の方々をサポートする仕事には、特に力を入れています。
訴訟事件の取扱例
取引先に対する売掛金請求など、原告として提訴する事件、労働事件をはじめ被告の立場で応訴する事件、企業同士の紛争から内部の紛争(株主間、会社vs役員等)など、様々な紛争を法的に解決する(決着させる)ための業務を取り扱っています。
- 見積ミスが生じた受注工事に関する適正代金の請求事件
A社がB社に発注した工事で、A社が提供した資料に問題があり、B社の担当者が工事数量を誤解し、2億円で受注すべき案件を1億2000万円と見積もり、受注してしまった。A社が差額8000万円の請求に応じないため、B社がその支払を求めて提訴。
→B社代理人として受任し、1審で敗訴したものの2審で裁判所から1審破棄の心証が示され相手方に強力な和解勧告があり、相当額の和解金の支払を得ました。
- 継続的取引の不当停止に対する賠償請求
消費者向けに全国展開しているA社が、製品の一部を発注していたB社との取引を突如、全面停止した。取引停止はA社内の紛争が関係していたが、B社はA社に売上を全面的に依存しており、取引停止は違法だと主張して賠償請求。
→B社代理人として受任し、取引の不当停止の主張が認められ、A社に対する数ヶ月分の逸失利益の賠償請求が認められました。
- 個人企業の経営者の死去と新体制の発足に伴う労働紛争
多数の従業員を擁する個人企業の事業主が急逝し、新たな事業主のもとで新体制を発足させたが、新事業主は、旧事業主と従業員との雇用関係の承継を希望せず、独自に募集、選考して採用者を定めた。
すると、応募し不採用となった旧事業主の従業員らが、「新事業主は法的には旧企業の雇用関係を全面的に承継したものと認定すべきだ」と主張して、新事業主に対し雇用契約(従業員たる地位)の確認や給与支払請求の訴えを起こした。
→新事業主の代理人として受任し、不採用側の主張に対する反論等を詳細に行い、1審で全面勝訴の判決を受けました。相手方が控訴したものの、相手方の請求額を大きく下回る解決金と、相手方と新事業主との間に雇用関係は存在しない旨を確認する勝訴的な和解を成立させて解決しました。
- 同族企業の経営権を巡る経営者同士の紛争
企業グループを共同経営してきたA氏とB氏が、後継者の選定方法などを定めた合意書を作成していたものの、B氏がそれを守らずA氏側を排除する行為に及んだ。
そのため、A氏側が、B氏の責任を追及し合意に基づき経営者への復帰や救済を求めて、株主総会決議の取消や損害賠償請求などを起こした事件。
→東京時代に勤務先で従事した事件であり、A氏側で対応しています。株主間契約をはじめ、企業の内部紛争に関わる論点が多数生じ、同族間が泥沼の抗争状態に陥った場合、どのような訴訟等が起き、どのようにして決着するのか、こうした紛争に対する裁判所の姿勢など、参考になる事柄の多い事件でした。
紛争の予防や交渉支援に関する業務
上記の同族紛争のように、ビジネスのパートナー同士が口約束や自作の文章で物事を決めたとしても、内容の曖昧さや解釈の相違などから、後日に紛争が生じることは非常に多くあります。
特に、事業が失敗した場合に、損失の分担を巡って争いになり易いです。
このようなときは、予測される事態に備えて損益の分担を文書化しておけば、損失を回避できる可能性が高いと言えます。次のような例が典型です。
以前、ある顧問先から、商品の販売促進用の景品を配布するキャンペーン事業に関する契約書(提携相手が用意してきたもの)の調査を要請されました。
担当の方からは「相手方の勧誘を上司が断れずに応じたが、キャンペーンが不発に終わり景品の在庫が大量に余る可能性が高く、当社が景品の費用を負担する事態を危惧している」との説明を受けました。
契約書(相手方提示案)では、顧問先が無条件で商品を購入し在庫の処理も負担する旨の内容になっており、契約書案のままでは、顧問先が損失を強いられることが危惧されました。
そこで、相手方も受諾できるように、想定される幾つかの事態に場合分けをした上で、「○○というケースでは、在庫が余れば相手方が損失を負担する(顧問先は買い取らない)」という趣旨の文言を挿入して相手方の了承を得ました。
結局、ご担当が予測したとおり、実際にはその条項に当てはまる事態となり、無事に余剰在庫の損失の負担を顧問先が免れることができました。
債務整理(過払金請求を含む)と再建援助
個人に関する任意整理、破産、民事個人再生
貸金業者の過酷な取立てに苦しんだ方には「弁護士による受任通知」で業者の督促をストップさせ、落ち着いた環境のもとで生活の再建を図ることは、非常に大切なことと言えます。
個人の方に関する債務整理は、多重債務問題の解決に関する需要の大きさもあり、当事務所では、開設以来、最も多く手がけた業務の一つです。
債務問題を抱えた方については、引直後の債務残高とご自身の収入などのバランスから、任意整理(分割返済など)、破産、個人再生のいずれの選択肢が賢明か悩む案件も少なくありません。
そうした案件でも、ご本人のご希望や客観的な諸事情を総合的に検討し、ベストな方針の選択ができるよう、丁寧な対応を心がけています。
企業に関する任意整理、破産、民事再生、事業再生など
企業倒産も、当事務所が多数手がけてきた類型の一つです。
特に、破産事件については、申立代理人や破産管財人として、多数の県内の企業の法的整理を手がけています。
業種も、建設業者、部品製造工場、縫製工場、GS等を展開していた多角経営企業、冠婚葬祭業者など、多岐に亘っており、規模も様々です。
法律上のルールを遵守しつつ、誠実な経営者やご家族が不当な不利益を被ることがないように配慮して申立等を行うべく、研鑽を重ねています。早期に着手することで破産よりも多めの資産を手元に残せる制度(経営者保証ガイドライン)を活用した事案も手がけています。
民事再生(企業再生)は取扱件数は少ないですが、企業再生や事業再生の支援に関わる業務は特に熱意を持って取り組みたい分野の一つですので、ぜひご依頼いただければと思っています。
法的手続を利用しない形で事業を整理等する場合でも、法律関係が入り組んでいる問題の処理など、お役に立てることがありますので、まずはご相談下さい。
破産も民事再生も、申立の希望時期(各種の返済予定日)の直前にご相談をいただくことがありますが、相当規模の企業であれば、急なご依頼に対応するのは至難となります。
企業規模の大小を問わず、申立や企業閉鎖が見込まれる時期の1、2ヶ月前からご相談をスタートいただく方が賢明ですので、倒産等を回避すべく八方手を尽くしている経営者の方も、念のため、前もってご相談いただくようお願いいたします。
事故被害や社会生活上のトラブルに関する法的解決
交通事故、労働災害、医療過誤、学校事故
私は、東京での勤務先が交通事故に関する賠償責任共済の顧問事務所であり、訴訟案件を中心に、加害者側の立場で多数の事件を手がけてきました。
被害者側でも、若年の方が重度の後遺障害を伴う深刻な被害を負い、介護費用などを含む億単位の賠償請求を行う訴訟事件を手がけたこともあります。
岩手に移転した後は、公的団体の交通事故に関する相談員を務めるなどしており、被害者・加害者の方から多数のご相談、ご依頼をいただいています。
受任した事件では、事案ごとの争点に関して必要な主張・立証を行い、現在の実務水準に照らして相当と言えるだけの解決(被害者側代理人であれば相当な賠償金の獲得、加害者側代理人であれば不当・過大な請求の阻止)を図ってきました。
交通事故では、加害者側の保険会社の提示する慰謝料などは、裁判所の基準よりも相当に低い額となることが多く、それ以外の論点(休業損害、逸失利益など)でも加害者に過度に有利な解釈のもとに提示する例が多々あります。
特に、死亡や重度障害事例では、慰謝料だけで裁判の基準より数百万円も下回ることがあり、被害者側にとって、その部分の増額交渉だけでも十分に意義があります。
加害者の保険会社の提示を受けられた場合、それを受諾するかどうか判断される前に、内容の適正や裁判等を行った場合との比較などについてご相談いただくことを強くお勧めします。
また、被害者の方が、ご自身の任意保険に付されている弁護士費用特約をもとにご相談いただければ、基本的に費用はすべて保険でカバーできることになりますので、積極的にご活用下さい。
交通事故以外の事故(介護事故、労災事故、医療過誤、学校などでの事故、公園事故、スポーツ事故、製品の利用に伴う事故など)でも、相談や交渉、訴訟を手掛けているものがあります。
これらの事故も、過失=賠償責任の成立が確実視される案件なら損害額の算定だけが論点となり交通事故と質的に大きな差はありません。
他方、過失の成否や過失相殺に大きな争いがあり、医療過誤のように法律以外の分野の専門的知見が強く要求される場合には、相当な準備・検討が必要になります。
当事務所でも、実務書等を取り揃えると共に判例等の研究を積んでおり、また、交通事故で培ったノウハウを生かせる場面が多々あります。
不動産等取引、建築紛争、近隣紛争など
不動産の売買や建築に関する紛争では、次のケースなどを取り扱いました。
- 土地建物を購入した買主に、契約時に説明のなかった不測の損害が生じたため、買主が売主と仲介先の不動産業者に損害賠償請求をした事件
- 建築士が高齢者から事業用建物の建築設計監理を受注したとして、高額な費用を請求してきたが、認知症等の問題から契約締結自体に問題があるとして支払を拒否した事件
- 建設業者が高齢者から事業用建物の建築を受注したとして、高額な前渡金を受領したが、後日に家族がそのことを知り、契約内容に問題があるとして本人を説得し契約を取り止め、業者に既払金の返還を求めた事件
- 欠陥住宅を理由に業者に賠償請求する訴訟など
近隣住民間のトラブルに関する紛争では、土地の境界争いに関わる事件(境界確定訴訟や筆界特定手続)や私有地の通行権に関する訴訟(隣人の通行妨害に対して通行権を主張し、認められた事件)などを取り扱いました。
借地借家紛争、労働問題
借地借家に関わる紛争では、転居等に伴い借地の借主側から貸主に対して解約申入と建物買取請求を行い、貸主と円満に和解したケースなどがあります。
また、貸主側代理人として、滞納者への賃料や建物や土地の明渡請求等の訴訟のほか、明渡の実現のための執行手続なども手がけています。
労働問題では、未払残業代の請求事件を手がけたほか、団体交渉の対応などを含め、労使それぞれの立場からご相談を受け、交渉支援などの業務を行っています。
金融取引被害、悪徳商法被害などの消費者問題
先物取引の勧誘が盛んだった時代、被害者代理人として業者側と闘い、相当な和解金を得るなどの成果を挙げたことがあります。
先物取引に限らずハイリスクの金融取引は、「そのような取引を行うに相応しくない、未経験の方(特に高齢者など)」であれば、賠償請求が認められる例が少なくありませんが、特殊な事案を除き、過失相殺等により一定の減額がされることが大半であり、そもそも、そのような取引や投資等の勧誘に関わるべきではありません。
悪徳商法などに絡んだ被害については、岩手弁護士会消費者問題対策委員会の委員として、弁護士会などが主催する消費者向けの相談事業に参加し、クーリングオフや消費者契約法等の違反を理由とする契約取消など、被害者保護に多数取り組んでいます。
悪徳商法は言うに及ばず、訪問販売などの取引は、適切な内容を記載した内容証明郵便を送付すれば解決する(多額の不当な支払義務を免れる)ことができるケースが少なくありません。
クーリングオフなどの文面の作成をご自身で行うことに不安を感じる方(とりわけ、事件の内容がある程度込み入った方)は、当方で速やかに書面を作成して業者に通知することもできます。
家庭生活上生じるトラブルに関する法的解決
離婚や不貞慰謝料問題などを筆頭に、ここ数年、受任事件が急増している分野です。
長年にわたり多数のご相談が寄せられ、様々な論点について研鑽を積んでいます。
離婚、離縁など親族関係に関わる紛争
離婚など家庭関係の紛争は、離婚原因の有無などを巡り両当事者が何年も争った事件や、離婚には争いがないが親権や慰謝料などで争いが生じた事件など、長年に亘り、多くの事件を手がけています。
非監護親の生活環境の変化等に伴う養育費の減免請求なども複数取り扱いました。
また、お子さんの育児環境を巡り親族間でトラブルが生じ、ご両親の代理人として人身保護請求(子の引渡請求)を行った例や、親子関係の確認などを巡る紛争なども担当しています。
相続に関わる紛争(遺言、遺産分割、遺留分減殺請求、限定承認など)
遺言に関する紛争では、次のケースなどを取り扱いました。
- 遺言により亡夫から財産の一切を相続した妻(夫婦間に子がない)が、父と不仲で義絶状態であった義理の子(亡夫の実子)から遺言無効確認請求訴訟を起こされ、これを退けた例
- 血縁関係はないが特殊な事情で相続財産を遺贈された方が、義絶状態であった被相続人の実子より遺言無効確認請求訴訟を起こされ、これを退けた例
- 子のいない未亡人の法定相続人となった姉が、妹の生前に、自分に財産を包括遺贈する遺言書を交付されたと主張する妹の知人に遺言無効確認請求訴訟を起こし、遺言の無効を前提とする和解を成立させた例
①や②の例では、遺言無効の主張を退けても、法定相続権を有する方は、遺留分減殺請求権を行使することができます。
その場合、裁判手続内で遺産内容を調査、確認し、遺留分の算定に関するルールなどに沿って双方の利害を調整し、適正な内容の和解を成立させています。
遺産分割でも複雑な事案がありますが、とりわけ遺留分減殺請求については、法律の制度設計(判例理論に基づく計算手法)が非常に複雑で、論点も多く、一般の方には太刀打ちできない(間違った計算になる可能性が高い)ものとなっています。
当事者間で協議を進める場合でも、遺産の内容等を整理し、遺留分などの計算に誤りがないか、ご相談いただければと思います。
また、相当な財産を有する方が死去し多額の負債が判明しているが債権者に一定の配当をしなければならない事情がある場合などに、相続人の方が裁判所に限定承認を申し立て、債権調査や財産換価を行って配当を実施したこともあります。
限定承認は、「被相続人の方に一定の財産があることは分かっているが、債務の全貌が分からないため、単純承認をすることに躊躇する場合」に慎重を期して行う価値が大きく、そのようなご相談を受けて、手続を行ったこともあります。
成年後見など高齢者・障害者の支援業務
私自身が、幼少時より左耳が難聴で全く聞こえない障害を持っていることもあり、生活機能に支障が生じている高齢者、障害者の方やそのご家族の支援に関わる業務は、熱意を持って取り組んでいきたいと考えています。
これまで、成年後見の申立を何度か行ったほか、裁判所の委嘱で成年後見人も務めていますが、任意後見や財産管理など、取扱業務の幅を拡げたいと思っています。
行政事件
不当な行政処分を受けた方や違法な公権力の被害を受けた方が、処分取消を求める訴訟や国家賠償請求訴訟を起こした事件を担当しています。
行政側・住民側を問わず、行政や議会などを適切に機能させるため法律家として支援できる業務には、熱意を持って取り組んでいます。
行政処分の取消請求訴訟
岩手青森県境の沖合にあるタラの好漁場で操業していた岩手県の漁業者に対し、青森県知事が、当該漁場が同県の管轄内であるとして、同県海区委員会が定めた操業規制に従うよう命じてきたため、岩手県漁業者が、「この漁場は青森県ではなく岩手県(の海区委員会)の管轄であるから青森県は操業規制ができない」などと主張し、青森県知事が発した命令の取消を求めて提訴した事件を受任しています。
この事件では、海区委員会の指示のあり方のほか「本件漁場の管轄権が青森県と岩手県のいずれの海区に属するのか」という論点が生じたため、岩手県庁や漁協の支援を得て、青森県との間で激しい主張立証の応酬を重ねました。
最終的には、裁判所の勧告を踏まえて関係者が協議を行い、管轄権の問題は保留しつつ、漁場での岩手県漁業者のタラ漁を保障(岩手県の指導のもとで操業し青森県は干渉しない)する趣旨の合意が成立し、漁業者の方々が満足できる結果となりました(訴訟外の和解により訴訟は取下で終了)。
他にも、平成30年前後には、岩手県庁の代理人として、県の漁業規制(サケ刺網漁禁止)を争う漁業者の方々と争った事件(サケ刺網訴訟)なども担当したほか、県内の自治体の代理人などの形で、行政庁を当事者とする訴訟を幾つか受任しています。
税務訴訟(賦課決定処分取消請求訴訟など)
土地取引に絡んで偽装行為(代金の過少申告や仮装経費の計上)を行ったとして、重加算税を賦課された高齢者の方が、「当時、友達づきあいしていた人間が、自分の与り知らぬところで勝手に偽装行為を行ったもので、自分が仮装隠蔽行為をしたのではない」と主張し、処分の取消を求めて提訴した事件を手がけたことがあります。
実際、仮装行為により生じた利益の大半が、その人物に流れていたようです。
その事件は争点に関する立証の壁が厚く敗訴になってしまいましたが、重加算税の賦課決定処分を争う訴訟に関係する論点について色々と検討を重ねました。