北奥法律事務所

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2022年

多重債務を巡る「不毛な任意整理の費用負担被害」の問題について

長期に亘りブログの更新ができなかったので、最近は、半年ほど前にFBに投稿したものを掲載しています。

今回の投稿も、当時、受任した個人再生事件に関するものですが、この方のケースも、以前に書いた

都会の同業者(弁護士・司法書士)に『最初から無理のある任意整理(リスケ)』を依頼して多額のお金を払った直後に、支払ができない+彼らがアフターケアをしないため、当方に依頼がなされた=ご本人にとっては費用の事実上の二重払いになった事案

でした。少し具体的に述べると、依頼主は、

都会の同業者(今回は、かの東京ミネルバ法律事務所→倒産により都市圏の司法書士事務所に再委任)に、リスケのみを目的とする=元本減額は伴わない任意整理を依頼し、25万円以上を支払

→和解書を取り交わした=支払が終わった直後(半年程度?)に、支払困難

→受任者(司法書士側)に相談したが、ウチでは破産・再生は取り扱わないので地元の弁護士に依頼してと言われ、ご自身で探して当方に相談・依頼、

というパターンです。このような、

都会?の一部の弁護士・司法書士が、できもしない不毛なリスケ対応を受任し、半年程度、督促を止めて和解書を取り交わしただけで20~30万円を支払わせ、債権者への支払開始から間もなく『やっぱ無理』となって本人を放り出す

→その結果、本人は破産再生を受任する後任代理人への費用を含めた二重の費用負担を余儀なくされるので、前者=当初のリスケ依頼のカネは、ほとんど成果のない、ドブに捨てたも同然の結果になる

という問題については、5年以上前から何度も経験しており、以前にも、引用ブログのとおり投稿したことがあります

実感として、法テラス対応事案(最初からその種の依頼が困難な低所得者層)を除けば、ここ数年は、当方で受任した破産・再生の半分以上が、そのような「不毛経由事案」となっています。

率直に言って、それも一つの消費者被害ではないのかと思い続けていますが、日弁連云々であれ他であれ、誰もそうした問題提起を行う光景にお目にかからないことを残念に思っています。

まあ、その種の問題意識を持つような方は、当方のように、膨大な不採算案件の対応(受任)と零細事務所の資金繰りに追われるばかりで、そんな話に関わる(社会に問題提起し改善を促す運動?をする)だけの余裕がないのかもしれませんが・・

 

不動産の登記名義を理由とする課税制度の理不尽と解決策~相続放棄制度との不整合という問題~

先日、知人の司法書士の方が、Web上で表題の件に関する投稿をなさっていました。具体的には、以下のような内容でした。

「相談者A氏は、先般、自身が全く知らない土地甲につき、α市から固定資産税の課税通知を受けた。甲地はAの亡親Zが所有しているが、Aは、事情によりZとは断絶関係にあったが、自身の知らぬところで、相続人の一人として遺産共有の法定相続登記がなされたため、登記名義を理由に固資税の請求が来たものである。

Aは、Zの相続の意思がなく直ちに相続放棄の手続を行いαに固資税は支払えない旨を申し出たが、αは『登記名義人に課税するのが地方税法343条1項で決まっているので、Aの申出には応じられない(請求どおり支払え)』との対応を繰り返すばかりである。

Web上の記事を見ると、役所の取扱は一般的なもので、それを支持した裁決例が多々あるようである。

Zの共同相続人として甲地に登記された他の兄弟姉妹Bらは(Aの調査では)全員死去しており、その子など(第二次相続人)CらがBらの相続をしたのかは不明。

Aは「甲地の競売等には何の異存もないが、以上の理由から自分の個人資産(固有資産)への差押はしないで欲しい」と希望している。

Aは、固資税の負担を免れることができるか、そのための方法如何。」

***

税法は(行政法も)実質専門外ですが、それだけに?興味深いと思って少し調べたことを次のとおりご返事しました(文献を調べずに書いていますので、半分は戯言と思って聞いて下さい)。

論点1 固資税の課税を争えるか

この点は、残念ながら無理のようです。

紹介記事で引用された大阪地裁昭和51年8月10日判決は、(判例秘書で見たところ)不当利得返還請求という(この種の訴訟としては)不適切な請求原因となっているので、前例価値は疑問です。

が、同種の争点に関する処分取消請求訴訟である横浜地裁平成12年2月21日判決は、このようなケースの課税処分の適法性(名義人が相続放棄をした場合でも、登記名義人である以上は課税を行うべきであること)について、相応の理由を付した説示がなされており(私の勘違いでなければ、控訴・上告も退けられた模様)、恐らく、現在の裁判所がこれを否定する判断をすることは期待し難いと思われます。

論点2 課税を争えない場合の対処手段

相談者A氏は、実体上の所有権者(共有者)Bら(全員死亡とのことですので、その相続人Cら)に登記名義引取請求を行い、任意の対応が得られなければ、判決に基づき名義変更手続を行うほかないでしょう。

また、Aが支払を余儀なくされた固資税は、上記判決が指摘するとおり、B=Cらに求償請求するほかないでしょう(引取請求と併合)。

CらがBらの相続を放棄した場合には、相続財産管理人の選任申立を要するなど、さらに重い負担を要することになるかもしれません。

甲地は、恐らく、そうした費用や労力を投ずる価値の乏しい少額の土地だとお察ししますし、自治体に事情を説明して、A氏の個人資産への差押を保留するよう要請すること自体は、あってしかるべきかとは思います。

が、建前論として、彼らが「はい」と言うことはないでしょう(そのように聞いています)。

杓子定規に仕事をする担当者なら、個人資産への差押に及ぶ危険は否定できないかもしれず、その場合は、「税務の簡便迅速」の旗印のもとにA氏がこのような理不尽を強いられていること(第1)の当否も含めて、マスコミや司法書士政治連盟さんの出番(立法論)かもしれません(弁政連は期待できないので・・以下略)。

論点3 来年以後の固資税

既述のとおり、登記名義人になっている限り、固資税の納税通知(請求)を受けることは避けがたいと思われますが、相続放棄済みであることを資料と共に自治体に説明し、来年からはBらの相続放棄をしていない他の相続人Cらに請求書を送付してもらうことは、交渉次第で、可能ではないでしょうか?CらはAには按分請求できないでしょうし。

(この点は、関わったことがないので、分かりません。期待混じりのコメントです)

これが上手くいけば、今年限りの負担で済むのでしょうし、巨額の不動産で多額の請求を受けているというのでなければ、許容範囲の出費で済むかもしれません。

これが無理なら、あとは、論点2末尾のとおりというほかなく、立法的解決が待たれます。

函館で輝く?タレント司法書士さんと田舎の町弁の野望

先般、所用で函館に行きましたが、現在この街では、各所で

シホシホシヨシ シホ~ショシ
シホシホシヨシ シホ~ショシ

という呪文のようなCM?が流れています。

ショコショコ感と言ったら怒られるかもしれませんが、一度聞いただけで忘れられない中毒性があり、Web上でも同じような感想が述べられているのを見つけました。

で、当事務所もこれに対抗(模倣)して

ベンベンベベベン ベンゴシガ~
ベンベンベベベン オタスケス~

などというCMを、盛岡駅前や大通などで延々と流してみたい・・

との誘惑にかられましたが、同行者から

品位を欠く非行になるので却下

と、ダメ出しを喰らいました。

このCM、Web上でも公開され、話題になっているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=BnyFFyn4Isc

東京のクレサラ司法書士法人あたりの仕業なのだろうかと思って調べたところ、地元の司法書士さんが制作されたもののようです。

ご本人は大阪のご出身とのことで、かのラッキーピエロのように、大阪と函館は何か相性がよいのかもしれません。
https://ebi-hakodate.com/profile/

そういえば、函館には「東大卒業後、思うところあって山籠もり?をしていたものの、一念発起して2年だけの勉強で司法試験に合格し、縁もゆかりもない函館に第一志望で修習し、今も函館法曹界の要として活躍されている九州出身の弁護士さん」もおられます(司法研修所の同じクラスの方で、私のすぐそばに座っていました)。

函館は、ぶっとんだ東大生の方とも相性がいいのかもしれません。

メガソーラーの廃墟化(運営放棄・倒産等)による大規模不法投棄の危惧と対策

ごく一部の方にしか知られていませんが、こう見えて、4年ほど前に日弁連公害対策環境保全委員会・廃棄物部会の部会長を2年だけつとめていました(モチ名ばかり)。その際、

「今、日本各地の辺境に大規模メガソーラーが作られているが、運営企業の中には、実体が不明瞭なものも珍しくなく、災害で大規模な破損が生じたり、耐用年数が切れたときなどに、責任をもって廃棄等の対処をせず、放置=大規模不法投棄を全国各地で生じさせる(≒県境不法投棄事件の拡大再生産になる)危惧があるのでは。今のうちに日弁連として何かできることはないか」

と考え、部会内で議論したり、環境省・総務省や太陽光発電の関係協会の方からお話を伺うなどしたことがあったのですが、ほどなくしてプラスチック海洋汚染の話で世論が沸騰したため、まだ顕在化していない太陽光よりそちらに取り組むべきとなって部会の取り組みは一旦終了し、今に至っています。

先日、太陽光発電の廃棄問題について触れたWeb記事を拝見しましたが、私自身は、当時から、この記事の学者さんが仰っている

太陽光パネルも発電事業者がリサイクルを進めるように促す法律を整えること」に加え、

事実上の不法投棄(使用済み・破損等パネルの大規模放置)の未然防止や、地元自治体(住民)に事実上の処理負担が押しつけられないようにするための費用担保(保険等)の制度

を主張する意見書を作成できればと思っていました。

が、肝心の私自身が当時も今も本業で首が廻らず、具体的なことは何もできていない状態が続いていることに、懐かしいというか、力及ばずお恥ずかしい限りです。

記事では岩手県(奥州市)の事業者さんが取り上げられているので、できることなら、そちらの視察(見学)にも行ってみたいものですが、多数の締切に終われる現状では、夢のまた夢というトホホな有様です。

今年の石割桜の裏側と、春を惜しむ白鳥

今年の盛岡も4月中旬に次々と桜が開花し、現在はすでに葉桜が舞い散る状態となっています。

当事務所の近所には桜城小学校では様々な種類の桜が植栽され、この時期に華やかな姿を見せてくれます。

桜城小の名称は、敷地となった南部藩の乗馬訓練場が桜の名所だったことに由来するそうですが、「人は城、人は石垣」の格言のように、桜を愛でる人々の心を束ねて社会を守る礎とせんと宣言しているかのような、美しい響きを感じます。

ここから巣立ち、受験戦争など様々な困難に立ち向かうであろう若者たちも、戦場でも花を愛でる心を失うことなく、努力を重ねてよりよい社会を築いていただければと願っています。

数日前には仕事のついでに石割桜も見てきました。

例年、この時期は遠方から来盛した相手方代理人に「今日、期日で良かったですね」と心温まるトークをお贈りしています。

が、今年は裁判所が厳戒態勢を敷いたガチガチの債権者集会しか期日がなく、破産会社に敵意や不信を抱いている方々に向かって、申立代理人が「いやぁ~良かったですね」などとニコニコできるはずもありません。

というわけで、マトリックス風の黒衣を纏った強面の某氏が繰り出す質問に粛々と回答するのが精一杯、というのが「今年の石割桜の裏側で繰り広げられた一幕」となりました。

まあ、東京の企業法務専門の強面弁護士さんに「お前は何を言っているんだ」と言わんばかりに黙殺されたこともありますので、それよりはマシかもですが・・

週末(つい先日)は、土曜が弁護士会の相談担当で、昼に岩手公園に行ってきました。盛岡城の石垣の上はもう葉桜ですが、麓の枝垂れ桜は十分見応えがありました。

日曜は、高松の池に赴いたところ、驚いたことに、まだ白鳥が悠悠と池にたたずんでいました。

というわけで、久しぶりの一首。

この花を見ずに卒業できぬぞと
春の別れを惜しむ白鳥(しらとり)

余勢を駆って、もう一句。

花吹雪 勘違いして発ちそびれ

写真をご覧になりたい方は、facebookでどうぞ。

裁判所による手続的虐待?の光景とマチ弁の愚痴(後)

前回、表題の内容で仕事の愚痴(家裁で酷い目に遭っている話)を延々と書かせていただきました。

恥ずかしながら、この件をfacebookに投稿したとき、家裁から「こんな事件で、なんでそんなことまで延々と要求されるのか」という理不尽感が積もり積もって軽い適応障害(鬱気味)を起こしており、誰かに話を聞いていただかないと身が持たないと感じ、恥ずかしながら投稿した次第でした。

幸い、ご覧になった方から暖かい反応をいただいたほか、家裁実務に精通されている本職筋の方からも、私が「こうあるべき」と考える方針を概ね支持する(それが家裁の通常の取扱である)とのアドバイスを著名文献の引用付きでいただき、どうにか回復できました。

数十年放置された厄介案件に可能な限り適正な形で決着を付けるため、改めて、理不尽に屈することなく、できる限りのことをするつもりです。

世間ではほとんど知られていませんが、相手方が何ら争っておらず、事件の内実や法の趣旨に照らして実益もないとしか思われない案件で、裁判官が、手続的に非常に重たい作業や理不尽としか言いようのない無理難題を強いてくることがある(しかも、それが、実務の大勢と異なる判断を前提としていたりする)ことは、弁護士等なら多少はご存知かと思います。

もともと裁判所には、救済=権力発動を求めてくる人間に対し、あれこれと注文を付け、とことん虐め抜いて、その上で裁判官が満足できた(これ以上、ケチを付けようが無いと判断した)場合に限って、ようやく救済を認めるというような「完璧を期すという名の下の、陰湿ないじめ体質」のようなものがあるように感じています。

その背後にある「司法消極主義」は、もしかすると、司法の謙抑性などという綺麗事ではなく、「江藤新平(司法の頭目)が大久保利通(行政の頭目)に斬首される」という形で、日本の司法部門が発足時に酷い目にあったことなども根底にあるのかもしれません。自分達が虐待されたから国民も・・などと、つまらないことを言いたいわけではありませんが。

もちろん、争いのある本格的な刑事事件の立証責任のように、裁判所が厳しい姿勢で臨むからこそ社会の適正が保たれる場面も多くあることは確かでしょうから、結局は、厳しく対応すべき場面と緩やかに対応するのが望ましい場面を適切に使い分ける姿勢を、もっと裁判所に持っていただきたいという点に尽きるのでしょう。

ともあれ、一部の裁判所・裁判官が、法や制度の趣旨に照らして疑義のある過大・不相当な負担を強いてくる「手続的虐待」とも呼ぶべき光景については、現代社会における司法部門のあり方がそれでよいのかという観点から、もっと広く知られたり、議論があってよいことではないかと思っています。

また、裁判所が行う特定の取扱自体は正しい(やむを得ない)のだとしても、その取扱(考え方)が世間はおろか業界一般にも事前に告知されておらず、従前に認められていた方法で提出したところ、不意打ち的に「そのやり方は認めない」という取扱を裁判所が平然と行ってくることにも、強い疑義を感じます。

まるで、一部の権力者が「現在、通じる手法」の知識ないし決定権を独占し、限られた人間(自身に靡く者?)だけに提供しているような印象すら受けますが、そのような光景は、国民主権や法の支配の理念に悖るものというほかありません。

他ならぬ裁判所で、そうした光景が当たり前のように繰り広げられていることに暗澹たる気持ちを抱かざるを得ませんが、努力と執念で乗り越えていく以外に、そうした実現する方法も存在しないというのが、現実なのかもしれません。

**

ところで、私の個人的な趣味である「替え歌」をしばらく投稿していませんが、近日中に、渾身の大作の発表を予定しています。

可能であれば、原著作権者の許諾をお願いし、相応の経費を投じてでも世に問うてみたい(その価値がある)と思っている作品です。

いっそ、弁護士を辞めて、芸能界に打って出てもよいかもしれません(笑)。

ただ、私には、そうした作品を世に送り出すためのノウハウ等が全くありませんので、ご覧になった方で賛同いただける方がありましたら、その際に、業界筋の方にもお声がけいただければ?幸いに思っています。

ともあれ、乞うご期待!?

裁判所による手続的虐待?の光景とマチ弁の愚痴(前)

裁判所と書いて「べんごしぎゃくたいじょ」或いは「こくみんぎゃくたいじょ」と読む、或いは、少なくとも、そのような顔も彼らが持っている、というのは、弁護士なら自明かと思います。

かくいう私も、半年以上前に某家裁に申し立てた事件で、裁判官(と調停委員?)から壮絶ないじめ被害?に延々と遭っており、一体いつになったら収束するのやら、という有様です。

詳細は差し控えますが、膨大な関係者がいる相続事件(内容自体、受任弁護士には大赤字にしかならないものの、ここで決着させないと困る人が非常に多くいるため、公的観点からも受任せざるをえない事案)で、協力を得られず、手紙・電話にも一切応答しない(ので、希望内容すら分からない)方が1名だけおり、その方との権利関係を決着させるため、やむなく遺産分割の申立を行いました。

で、従前の経過(や限られた費用で膨大な負担を余儀なくされていること)を説明し、そうした事案で先方に異議がなければすぐに決着させる手続である「調停に代わる審判」により、なるべく簡便に処理いただけないかと要請しました。

が、真逆の展開というか、裁判所からは、すでに了解済みの方々との関係も含め、無理難題や常識感覚からは不合理と感じる膨大な作業(明文や一般的な文献に記載のないものを含む)ばかり突きつけられ、「あんたがそれらをこなさないと、自分(裁判所)は何もしないよ(調停に代わる審判等はしない=相続登記など決着ができない)」と延々言われ続けています。

先日、ようやく先方の要求水準を満たすものを揃えたと思ったものの、あれこれケチがつき、また膨大な作業や多数の関係者への連絡が必要になり・・と辟易しているところで、まだ夜明けは一向に見えません。

相応の事情で当事者間に利害対立がある事案なら、諦めもつくというか、げんなりすることはないのですが、数十年前に死去した被相続人と何の関係もない方々ばかりの膨大な現相続人のうち、放置を続けているだけの、たった1人のせいで、どうしてこんなに延々と形式ばかりの作業を要求するのかと、期日のたびに嘔吐感を強いられながら、依頼者や解決に協力して下さる多数の方々の顔を思い浮かべて、どうにか踏みとどまっています。

この仕事をしていれば、裁判所に無理難題を突きつけられることは掃いて捨てるほど経験しますので、自分の力量不足と肚を括り対応し続けるほかないのですが、依頼者・関係者にも不合理な負担や長期化を延々強いることになり、申し訳なく思うばかりです。

せめて、家事事件手続法に欠席判決類似の「無気力当事者への簡便対処措置」の明文規定を定めていただければ、この種の話の改善につながるのではと思いますが、弁政連云々などが力になってくれるはずもなく、実務の片隅でぢっと手を見続けるほかないのでしょうね・・

この仕事をしていると、裁判ないし裁判所を蛇蝎の如く嫌悪・恐怖し不信感を表明する方にしばしばお目にかかりますが、その方々には、こうした光景や「それが嫌なら法律作ればぁ?まあ、できるかどうかは知らないけどね。アハハ・・」という底意地の悪い密林の毒蜘蛛のような、誰かの笑みが見えているのかもしれません。

(追記)
以上の話をfacebookに投稿したところ、ある司法書士の方からも「無気力当事者への簡便対処措置の規定が欲しい」とのコメントをいただきました。司法書士さんも相続関係で家裁と関わりを持つことが多いようですが、同じような苦労をなさっているのかもしれません。

子供達を想う唄はロシア軍の兵士に届くか

若い頃によく聴いたスティングの名曲「Russians」が現下の情勢のもと話題になっているそうです。

ユーチューブの公式サイト?は下記のとおりですが、和訳付きでCMなしに拝聴できる2段目のサイトなどの方が、実際は見やすいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=wHylQRVN2Qs
およげ!対訳くん: Russians スティング (Sting) (oyogetaiyakukun.blogspot.com)

現在、多数のロシア軍が同族・身内というべきウクライナの子供達を殺戮している光景と、数十年前に作られた歌詞で繰り返し強調される「子供達への想い」の落差に目眩を感じずにはいられません。

かつて反ゴルバチョフ派の重鎮達がクーデターを起こしたとき、軍部の大半は民意の帰趨を見てこれに与せず、民意を味方に付けたエリツィンが勝利し、政治体制としてのソ連は幕引きとなりました。

今回の戦争も、ロシア軍の現地部隊などが「殺すのも殺されるのも嫌だ」と思って自ら軍事行動を止めることができれば、恐らく終了するのでしょう(現在の軍事侵攻の短期的な帰趨はともかく、長期的に見て属国化にウクライナ国民が甘んじるとは到底思えません)。

その際、プーチン政権やロシアの政治状況がどうなるのかは、今の私には予測できませんが。

日本は自ら武器をとってウクライナの自衛戦争に与することはできないのかもしれませんが、例えば、誰かがこの曲を軍人達やその家族に聴かせることができれば、露軍や露国人民の厭戦意識を高めることに役立つのかもしれません。

日本の歌謡界の方々が、スティングのようにロシアの曲をもとに新たな反戦ソングを作ってもよいと思いますし、日本なりのやり方で、戦争を終息させるための貢献を色々と模索していただければと思っています。

ウクライナ侵攻の先にある台湾と日本にも迫る戦争の影

1ヶ月ほど前から風雲急を告げる状態が続いていたウクライナ紛争が、いよいよロシア軍の全面侵攻など、最悪の展開の危惧を強く抱かせる形で進んでいます。

ロシアのプーチン大統領は「この地域の住民は自分達と同じ民族で、もともと一つの大きな国である。その中で、敵国側に同調する奴らが自分達に与する仲間を虐げている。だから、地域内の困った奴らを掣肘して仲間を護るのだ」という主張を一連の行動の根拠に据えているように見受けられます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220224/k10013498841000.html

東アジアにも、これとほとんど同じ論理で、政治体制・価値観を全く異にする隣接小国への軍事行動を望んでいる巨大国家があることは、申すまでもありません。

ですので、ウクライナ紛争がロシアの思惑どおりになることを一番期待しているのは中国でしょうし、そうなれば、そうでない場合と比べて「次は台湾」になる危険が強く高まることも、間違いないだろうと思います。

そして、その先には、第一列島線などに象徴される中国の軍事的拡張と日本との対決という展開もありうるのかもしれません。

或いは、かつての「中国から事実上独立した状態にあった香港」を台湾と一括りにできるのであれば、中国の方が、クリミアやウクライナ東端地域よりも先に「旧領回復と従属化」を現代で成し遂げた先輩にあたるのかもしれません。

この十数年、香港が高圧的に中国化させられた光景を、日本を含む「自由主義」諸国は、口先では非難を繰り返すものの、中国との対決も辞さない実効性ある措置は執らなかったと思います。その光景も、ロシアに影響を与えた面があるかもしれません(ウイグル問題も同様でしょうか)。

台湾侵攻が本当に現実化したときは、旧宗主国・隣接国であり長年に亘り強い友好感情・関係を築いた日本が何もしないというのは考えられず、集団的自衛権の名のもとで、米国と共に何らかの軍事的関与を模索するでしょうし、日本国民自身がそれを希望しそうな気がします。

他方、ウクライナの歴史や現状をみる限り、ロシアと全面戦争してまで同国を護りたいと考える国があるか、よく分かりません。ポーランドはかつてロシアに蹂躙された歴史を持っているので、ウクライナに強く同情的ではないかと思いますが、不思議なほど?一連の報道で何の存在感もありません(波宇両国の関係などは存じませんが、日本と同じく小国の悲哀で、次は我が身ゆえ刺激したくないのでしょうか?)。

この紛争が今後どうなるのか見通せる目は私にはありませんが、NATO勢力=欧米がウクライナの親欧米派を見捨てるような結末になったときは、中国は台湾侵攻でも同じ展開になると期待し準備を進め、日本側も上記(台湾を護れ)よりも萎縮する方向に物事が進みそうな気がします。

逆に、軍事・非軍事を問わず、欧米がウクライナを見捨てずロシアと拮抗する対決状態が長期間続くのであれば、「次は台湾だ、台湾は日本の生命線だ、日本も台湾を護る実効性ある仕組みが必要だ」という議論が高まってくるのではと推測します。

反面、長期戦となれば、中国が本格的にロシアに肩入れするのでしょうから(疲弊した占領地域などへの経済支援でしょうか)、そうなると、いよいよ米欧(とオマケ?の日韓)vs中露の実質的な世界大戦の幕開けになってしまいそうな気もします。

バルカン半島で始まった第一次世界大戦が長い目で見れば大日本帝国倒壊の原因の一端をなしたように、小手先の憲法改正論議など吹っ飛ばされそうな大きなうねりの影が、日本にも忍び寄ってきていること自体は、否定し難いと思われます。

 

年頭のご挨拶と仕事始めの嬉しい出来事たち

遅まきながら、本年もよろしくお願いいたします。

例年、前年度の業務実績をブログに掲載していますが、昨年は延々と首が廻らない状態が続き、年末年始にようやく令和2年の業務実績を掲載する有様でした。

今年は、4日に起訴された方の保釈請求書をその日のうちに裁判所に提出したのですが、まだ休業期間中ということもあり、書面を出すだけだと思ってジーンズ姿で赴いたところ、有り難くないことに、とある事情で担当裁判官に呼び止められ、ジーンズ姿で面談する羽目になりました(服装への説教ではありません)。

地裁刑事部の方々から「キムタ○みたいっスね」などと気の利いたコメントが期待できるはずもなく、そそくさと退出しました。

結果、翌5日にはご本人の保釈が認められ、幸先のよいスタートとなりました。

また、6日には、今年はじめての来客の方から、顧問契約の申込みをいただきました。

県内の著名企業にお勤めの専門職の方で、少し前まで東京の他企業に勤務しており、曰く、最近の東京では、その業界の方々が個人で顧問弁護士を頼むことが多いのだそうで、他の事情も相俟って、利用を希望されたとのことでした。

当方も、企業(法人)や個人事業者ではなく、純然たる個人(企業勤務者)の方から顧問契約をいただくのは初めてですが、当方では「月額3300円(年額4万円弱)」の顧問契約(A型)を提供していることもあって、ご利用しやすかったのかもしれません。

10年以上前にA型を作ってから、何年もの間、僅かな方から問合せをいただいた程度でしたが、近年はお申し込みをいただく機会も増えてきており、「大企業や富裕層でなくとも顧問弁護士のサービスを受けることができる仕組み」として、認知度や利便性を高めることができればと思っています。

珍しく新年当初から有り難い出来事が続いていますが、今も未済起案の山と格闘しなければならないのが偽らざる現実であり、気を引き締めていきたいと思います。

ともあれ、お時間のある方は、業務実績に関する記事もご覧いただければ幸いです。