東北を代表する大河・北上川。
岩手県北に端を発し、盛岡を経て岩手県南の主要都市を全て貫き宮城県石巻にて太平洋に注ぐこの川は、かつては奥州水運の大動脈であると共に、幾度も巨大な水害をもたらしてきた、慈母でもあり厳父でもある、この地の象徴の一つと呼ぶに相応しい存在です。
その源流と聞けば、深山幽谷の果てに辿り着く神々しい光景が待っているのではという思いを掻き立てる人もいるかもしれません。
が。
北上川源流と称される、この「弓弭の泉」は、国道4号線からチョロッと入ってすぐ、あまり手の行き届いてない小さなお堂の敷地内の鬱蒼とした森の中にあり、これが源流だと言われても、「ハァ?」という感覚しか起きません。
というわけで、認定します!
ここは、岩手がっかり名所・堂々たる第一位である、と。
いや、泉自体には、罪はないと思うんですよ。源氏云々の由緒や価値も否定したいわけじゃありません。
でも、ここを北上川源流(源泉)だなんて言わなくてもいいじゃないですか。
源流って言ったら、黒部川源頭部のように、大山脈の森林限界の先のような光景をイメージするのが当然じゃないかと思うんですよ。
まして、巨大ブランド・北上川の源流ですよ。
それが、国道4号線のすぐそば、小集落や農地から入ってすぐのところなんて、そんなのアリか・・
この「名称と実際のギャップの激しさ」こそが、がっかり名所たる所以に他なりません。
というわけで岩手がっかり名所ランキングも選定すべく、皆さんからの推薦募集中。
暫定案ですが、ダム建設等により全く見ることができなくなった「イギリス海岸」が第2位、沿岸からも1箇所ということで、景観自体は全然がっかりではないものの、名称のビックマウスぶりから「八戸穴」が第3位の候補になるかもしれません?
その上で、提唱しようじゃありませんか。
今流行りの何とかツーリズムに対抗し、敢えて、がっかり名所群を巡って、あるべき振興策を語り合う「がっかりツーリズム」を。
或いは、今は亡き「タモリ倶楽部」に企画書を出せば、全国のがっかり名所を面白おかしく紹介してくれ、日本がっかりツーリズム学会もできあがったのかもしれません。
ちなみに、その前日には、新・日本三大がっかり名所に選ばれるべき、自称・聖人の墓に行ってきました。
その件については、また後ほど。
(追伸)
弓弭の泉は御堂観音の敷地内にありますが、山門など観音堂の施設自体は、がっかり名所ではなく十分に見応えのあるものだと思います。
山門の直下にある親水公園も、見たことのなさそうなヤンマ類が飛び交い、癒やされる場所です。ただ、「川の駅」なる名称(と閑散とした光景の乖離)のがっかり感は否めず、いっそヤンマの駅と改名した方がよいかもしれません。