先日、冨山和彦氏の「なぜローカル経済から日本は甦るのか」という新書本を購入したのですが(まだ未読)、今日の午前中に、BS朝日の激論クロスファイアで同氏が出演し、同じテーマで話をされていたので、途中からでしたが、興味深く拝聴しました。
冨山氏に関しては、司法試験に合格しながら事業家に進んだ先駆者という意味で、以前からちょっとしたファンのようなもので、初期の著書を拝読するなどしていました。
で、先日、上記書籍を書店で手にとった際、そこで図示されていた、「グローバル経済(G)とローカル経済(L)の特徴」とで列挙されていた要素が、以下のように、前者(G)=世界や全国規模で活躍する企業法務等(やそのカウンターパートとしての大規模消費者被害)を取り扱う弁護士さん達の世界で、後者(L)が、私のような地方の町弁の世界によくあてはまる(或いは、弁護士業界も、G側とL側の乖離がより顕著になってきているのではないか)と感じ、読書欲を駆り立てられて購入した次第です。
・Gの世界→製造業、大企業が中心でグローバル経済化での完全競争
高度な技能を持つ人材が求められ、高賃金
・Lの世界→非製造、中堅・中小企業によるローカル圏での不完全競争
平均的技能を持つ人材が求められ賃金が上がりにくい
すでに、G側(特に企業法務に特化した弁護士)とL側(町弁)とは、同じ職業ではないと言わざるをえないほど「働き方の違い(一種の階層分化)」が確立したと思いますが、現在、議論がなされつつある業界の構造激変に対応した弁護士会の改革問題(会のサービスを享受しない会員等の会費減額運動から組織再編等まで)を考える上では、上部組織としての日弁連はまだしも、下部組織については、都道府県単位での単位会(だけ)という括りが、いかにも不合理という感じがしています。
法曹の一体性を重視する立場の方からすれば、異論も大きいところだろうとは思いますが、少なくとも、思考実験としては、「G側の弁護士とL側の弁護士」に区分して弁護士会(業界団体)を再編した場合に、どのような業界団体像が考えられるか、ということも検討してみてよいのではないかと感じています。
また、その延長線上でふと思ったのですが、現在、大企業の世界では、社外取締役の推進という議論が盛んになされていると思いますが、私の勘違いでなければ、日弁連や各地弁護士会に、社外役員(弁護士以外に理事会等の重要な意思決定に外部の企業・団体の経営者等が参画し一定の影響を及ぼす立場の方)が設けられた(或いは、設けるべき)という話は聞いたことがありません。
不勉強なので、法規制等の問題があるのかもしれませんが、弁護士会に限らず、「業界団体の役員について、発言力のある外部関係者を投入し組織を活性化、変革する梃子にする」という視点は、もっと持ってよいのではと思います(少なくとも、社外取締役の給源として期待され営業している弁護士業界自身が、弁護士の独立なるものを理由に、自社に社外役員なんか入れません、というのでは、何の説得力もないと思いますし)。