今月の日弁連会員誌「自由と正義」の冒頭で、東京弁護士会の坪井節子先生が主催されている「子どもシェルター」の記事が載っていました。
「子どもシェルター」とは、親の虐待などでやむなく家出し、寝泊まりする場所に困窮する未成年者を保護する施設です。
私は未成年者保護に関する実務に明るくありませんので詳細は存じませんが、児童相談所の一時保護制度が、主に幼児などを保護対象としている?関係で、高年齢の未成年者(いわゆるティーンエイジャー)の保護が十分でなく、性的虐待などこの年代に特有の被害を受ける未成年者の保護に力点を置いた施設が必要ということで、設けられてきたようです。
そのため、記事では、東京のシェルター(カリヨン)で保護した未成年者が、平成16年の設立以来、15歳から19歳まで延べ300人になったという趣旨のことが書いてありませいた。
で、現在は、関東や札幌、京都や中国地方、福岡などに設置されているとも書いてあったのですが、残念ながら、東北地方ではまだ未設置のようです。盛岡でも設置を考えていただきたいところですが、最低でも、仙台にあれば、東北各地の困窮する未成年者を保護することができるのではと思われ、早急に設置を検討いただきたいところです。
記事によれば、シェルターには2ヶ月ほど滞在でき、その間、食事や適度の遊びなどはもちろん、医療やカウンセリングを受け、児童相談所や福祉事務所、非行絡みの事案では家裁や保護観察所などと連携し、親権者・学校・職場と交渉し関係調整を図り、家庭に戻ることが困難な事案では、自立援助ホームに転居するという流れをとっているのだそうです。
私自身、東京時代には、坪井先生や川村百合先生などが主催されている東京弁護士会の子ども向けの電話相談制度に登録するなどしており、これまでも、いわゆるティーンエイジャーの虐待問題が絡んだ事案に関与したこともありますので、篤志家の寄付にばかり頼るのではなく、そうした福祉制度を充実させる方向で、税金の使い道を考えていただきたいと思います。
ちょうど、「自由と正義」の同じ5月号に、児童買春・児童ポルノ禁止法の平成26年改正(児童ポルノの単純所持罪導入など)の概説が掲載されており、その中に、「心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化」が新設されたとのことですので、関係者におかれては、これを法的根拠として、子どもシェルターの設置などを働きかけていただきたいところだと思います。
追記 少しネットで検索したところ、仙台にも、少年院を出院した少年を受け入れる更生支援的な施設があるとのことです。こちらも意義のある活動ですが、ぜひ、子どもシェルターの設置等にもご尽力いただければと思います。
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