北奥法律事務所

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その他

あの日から5年、そしてfacebookから垣間見る2つの社会

昨日(3月11日)は震災から5年目で、あのときと同じ金曜日でした。この年になると年月があっという間に過ぎてゆく感覚がありますが、今も、地震発生から翌日夕方の電気復旧までの時間については多くのことを覚えています。

あれから5年。私にとっても本当に色々なことがありました。

ただ、私に関しては、震災支援で何かを成し遂げたという類のものはほとんどなく、何をしたかと言われれば、5年間、月1、2回の頻度で丸1日かけて沿岸被災地の無料相談等に赴くなどの繰り返しだったというのが実情だと思います。

もちろん、そうした活動などを通じ、色々な問題意識を持つことはありましたが、残念ながら、私の力量不足のせいか、問題意識を多くの方に共有いただき物事の大きな改善を図るとか、それを通じて社会を切り開くとか、そうした大それた話に関わることは全くできていません。

むしろ、震災前の頃の方が、若さゆえの愚かさのせいか、そうした可能性が多少は自分にあるのではと素朴に(無謀に)信じていたのではないかとすら思っています。

正直なところ、震災そのものより、その前後で激変した我が国(や岩手)の町弁業界の環境変化の方に翻弄されてきたというのが率直な心情であり、そのことも、震災にシンボリックな負のイメージを抱いてしまうきっかけになっているのかもしれません。

私は、facebookで多くの方と「友達」になっていますが、震災の日に関しては、例年、県内の方と県外の方ではFBフィード上に表示される投稿にはっきりと違いが出ます。

端的に言えば、岩手の「友達」は今も多くの方が震災について触れますが、遠方の「友達」の方々は震災を話題にすることはほとんどなく普段どおりの投稿をしており、その点は震災から1年後の3月11日のときからはっきりとした傾向としてありました。

私の場合、フィード上に表示される投稿の比率が、盛岡で開業してから県内で知り合った地元(大半が盛岡)の方が6~7割、高校・大学や修習中などに知り合った県外の方が3~4割という感じなので、この日に限っては、まるで二種類の民族が国内に存在するかのように、そうした「投稿の違い」がはっきりと出ます。

東京や西日本などの方にとっては関心はかなり薄れているのだろうと残念に感じる面がないわけではありませんが、5年を経た今も県内の方々の投稿が震災一色になるという光景にも、それはそれで若干の違和感というか、必ずしも共感というか一体化できない「もやもや」した思いを感じる部分もあります。

もちろん、いわゆる復興の遅れも震災の風化も望ましいことではありませんし、沿岸被災地では今も急激な人口減少をはじめ様々な課題に直面していることも申すまでもなく、そうしたことに触れながら社会批判や関心喚起を訴えている投稿そのものを批判したいのではありません。

そうではなく、「facebookで投稿や情報発信をするのを好む人々」という層が、3月11日には、震災に触れずにはいられない岩手(被災県)の方々と、まるで震災そのものが無かったかのように普段どおりの日常を投稿している遠方の方々に二分化する光景を見せつけられると、ある種の無力感であるとか、社会の断絶といったものを感じざるを得ないような気がして、そのことに気が滅入る面があるからではないかと思っています。

私には、職業柄?反安倍政権などをFB上で公言する同業などのFB「友達」もいれば、逆に、右寄りの傾向を感じさせる「友達」の方もいますが、双方が対話や討論(ひいては調和や弁証法的止揚)をすることなく相互に一方的な主張に関する投稿(論者の投稿への「いいね」を含め)を繰り返している光景を垣間見ては、日々残念に感じています。

こうした例えは失礼かもしれませんが、岩手の人々と遠方の人々の震災を巡る投稿傾向の違いにも、思想信条や社会的立場を異にする人々が互いに交わることなくご自身の縄張りで自己主張している光景と、どことなく似たようなものを感じてしまう面があります。

ただ、そのようなことを述べていると「お前こそ、双方の人々とFB「友達」になっているのだから、震災絡みであれ、それ以外であれ、そうした人々をつなぐ役割を果たすことがお前の仕事ではないのか。それなのに愚痴ばかり言ってどうするのか」とお叱りを受けてしまいそうです。

まさにそのとおりで、3月11日という日は、被災者の方々とは違った意味で、私にとって、何かが止まり今も取り残されているような気持ちにさせられる、そんな無力感を強いられる日になっているのかもしれません。

もちろん、そうした後ろ向きな心情を抱いていることこそが、前に進んでいくためには最も克服しなければならないのだと、自分を叱咤しなければならないことは当然ではありますが。

本日、とあるご縁で「地域の小学6年生の卒業を祝う会」的な集まりに参加させていただいたのですが、大人が前を向いて笑顔で進んでいかなければ子供達が笑顔で育っていくことはできないだろうと、そうした思いを新たにしました。

快晴の安比に潜む妖怪「わすれん帽」に今も昔も取り憑かれた男

去年の秋に安比に行く機会があり、リフト前売券を1枚だけ買っていたのですが、行く余力がないまま本日に至ったので、通常コンディションで滑れるのは今日が最後だろうと、腹を括って行くことにしました。

昔に比べると雪質は良いとは言えませんが、数日前の大雪後の晴天ということもあり、概ね問題ないコンディションでした(深夜3時まで事務所で仕事したせいか、寝坊して昼近くに着いたのが悔やまれます)。

やはり、快晴の日に来ると、「安比に行かない岩手の冬なんて」とか「こんな日に安比に来ないなんて、あなたそれでも岩手人?」などと、どこかで聞いた言葉をもじりたくなってしまいます。

ただ、好事魔多しといいますか、今日は驚くべき事態が発生してしまいました。帰宅して車の後部座席を見たところ、スキー板とストックを持ち帰るのを忘れてしまったのです。

愚かにも、自車にスキーを立てかけておきながら靴だけ履き替えてスキーを車内に入れるのを失念して出発するなどという、先日の最高裁判決が人ごととは思えない夢遊病級の失態をしてしまったようです。

幸い、スキー場に問い合わせたところ、ほどなく発見していただき、着払いで発送していただけることになりました。

ちなみに、このスキー板ですが、18年前に指導官(検察庁での修習生の監督役)だったO検事のご推薦により当時は大通商店街にあった石井スポーツにて購入したロシニョールの板で、ストックはO検事が「ストックを買い換えたから、古いやつを修習生の誰かが買わんか」と言われて購入したものでした。ちなみに、その際に「オマケにこれも付けてやる」とタダで頂戴した紫のフリース衣料を、今日もウェアの内側に着ていました。

修習生の頃は、中3(か高1)に購入したイケてないスキーウェアの上に、修習1年目の冬にインドネシア(ジャワ島のジョグジャカルタ)で購入した、寝具用と思われる「ちゃんちゃんこ」風のフード付き衣類を羽織って滑っており、誰からも「その格好はヤバいから止めろ」とストップが入らなかったので(実際、色合いなどは違和感ありませんでした)、何年も、そのスタイルで続けていました。

が、現在では家族から強硬なクレームが入り、今はやむなく普通のスキーウェアを買って着ています。

昔から、一般的にはスキー板や靴の寿命は5年程度と言われ、それ以上を過ぎるとプラスチックが割れると聞いていますが、今のところ、板にも靴にもヒビらしきものは見えません。まあ、2年前まで10年近くブランクがあったほか、修習後は年に3回程度しか行けてないことが、延命の理由かもしれませんが。

そんなわけで、いつ買い換えるべきかと悩みながら放置し続けてしまったのですが、こんな事件まで起きてしまったので、もう、滑走中に空中分解するくらいの事態が生じるまでは使い続けようかなと思っています。

そういえば、修習生のときも、買った直後の「メガネの曇り防止のためのファン付きゴーグル」を昼食後にザイラーレストランに忘れ、ゴンドラから滑り戻ったところ神隠しに遭っていた(しかも、電池を入れないとファンが回転せず曇り防止にならないことを修習生の誰かに食事中に指摘され、結局、曇り防止機能を一度も使うことなく昇天してしまった)という出来事があったことを思い出しました。

あの日も、安比の太陽がとても眩しかったような気もします・・

地方の町弁の身内が亡くなるとき~香典を巡る雑感~

先日、県内の某先生の親御さんが亡くなられたとの知らせが弁護士会からありました。その先生からは2年前の私の父の死去時に香典をいただいていたこともあり、ささやかながら香典をお届けしました。

ただ、私の場合、香典はすべて喪主である兄に渡したので「いただいたものをお返しする」という関係はあまり成り立っていません。さすがに兄に「私の関係で頂戴した香典は返せ」などと文句を言うわけにもいかず、ケチで貧乏な身の上には多少のトホホ感もないわけではありません。

反面、気楽な次男だからこんなことを言えるのだということも、私の実家のような「古い家」では、また真実なのでしょうが・・。

ちなみに、地方ではお身内が亡くなると岩手日報などに死亡広告を載せる方が多いと思いますが、岩手弁護士会の場合、会員(弁護士)についてそうしたものが載ると、問答無用(本人に確認なし)で、全会員にFAXが流れるようです(なお、ご本人が亡くなられた場合は、東北では6県の弁護士全員にFAX送信しています)。

少なくとも、私の父が亡くなったときは、兄の判断で私の名前も新聞の死亡広告に載せたため、私が知らぬ間に流れた弁護士会の通知を通じて、多くの同業の皆様から香典をいただいたのですが、上記の事情(喪主でなく香典をいただく立場ではない)から、私の名前は見なかったことにしていただきたかった(せめて、FAXの前にご一報いただきたかった)というのが正直なところではあります。

もちろん、弁護士会にロクに顔を出さない窓際会員の私にも多くの方々から香典をいただいたこと自体は、大変ありがたく、他の関係でいただいた皆様も含め、今も恐縮しているところではあるのですが・・

個人的には、直にお世話になったリアルな人間関係のある方が亡くなられた場合には、葬儀に出席するなどしなければとは思うのですが、お身内の方の葬儀等については、喪主の方との仕事上など特別な関わりがない限り、互いに気遣いをしなくともよいのでは(そうした文化は、昔はともかく現代では廃れていってよいのでは)と思っています。

さらに言えば、葬儀に多額の費用を投じたり香典などというお金のやりとりをすること自体が、文化として止めてもよいのでは(そんなことに金を使っても、今をときめく?葬儀業者の皆さんが喜ぶだけで、主役というべき遺族関係者にとっては面倒が増えるだけなのでは)というのが、曲がりなりにも葬儀というものを経験した「すれっからしの合理主義者」の率直な本音ではあります。

さらに余計なこと?を言えば、ご収入の多くないご年配の方で、冠婚葬祭の負担が多くて家計がおかしくなったという債務整理絡みのご相談を受けた記憶もあるように思います。

仕事柄、相続に関する紛争についてご相談を受けることは日常的にありますが、時には、葬儀費用を巡る紛争であるとか、葬儀の際に遺族などに口論が生じて紛糾したというお話を伺うこともあります。

そうした場合には香典は喪主に帰属すると判断するのが裁判所の通例であるとか、葬儀費用に赤字が出れば喪主が自己負担せず相続財産から負担する方向で協議することが多いので、そうしたことも斟酌して協議するのが望ましいなどとお伝えすることにしていますが、そもそも、高額な金のやりとりがなければ、そうした問題も起きないのにと感じることも少なくありません。

私自身は長寿には関心はないものの、可能なら意識だけが幽体離脱するようなものも含めて人類の最期まで見届けたいという願望だけはあり、結論として、リアルな関係のある方がすべて亡くなられるまでしぶとく生きて、その代わり、死亡時は往時の私を知る人が誰もいないので、葬儀等は一切せず後始末を担当するどなたかが荼毘に付して終わり、というのが一番望ましいのではと思っています。

弁政連岩手支部と県内の議員さん方との懇談会

2月20日に弁護士政治連盟(弁政連)岩手支部と県内の議員さん方との懇談会があり、参加してきました。

弁政連とは、事実上、弁護士会が作った政治運動?的な組織であり、同種のものは弁護士に限らず各士業で作られているものですが、他士業が自分達の職域拡大のため熱心に活動しているのに比べ、弁政連はそうした活動に積極的ではなく地元の議員さんとたまに懇談をする程度の活動に止まっている例が多いようで、岩手もその典型という感じではあります。

今回は、まず、総会の時間を利用し弁政連の会員でもある階猛議員から現在の国政に関する報告と題して階議員が取り組んでいる幾つかの事柄(憲法改正や財政、特定秘密法など)について、同議員の見解表明を含む問題意識に関する説明がありました。

続いて、各党の国会議員や県議会議員の方々が15名ほど出席された形で懇談会が始まり、震災問題が最重要テーマとして取り上げられ、陸前高田で活動する在間文康弁護士が、再建支援金(住宅)、援護資金貸付、各種給付金、災害公営住宅、災害関連死、被災ローン、造成地の瑕疵など、様々な話題についてご自身が取り扱った相談・受任事件などに基づく詳細な報告を行い、それに対し議員の方々が質問や意見を述べるというやりとりがあり、これで予定時間の大半を使った形になりました。

私自身は、在間先生が赴任される以前は陸前高田に当時あった相談センターなどに月1回以上のペースで赴いていたのですが、当時は他の被災地も含め、最も相談を受けていたものが「義援金等の受領者(世帯の代表者)が家族に配布せず独り占めしている」という内部紛争的なものでした。

そのため、当時から、立法?問題として世帯主に給付する形式はやめるべきで、内部的にも分配ルール等を定めるべき(不当な独り占めは不当利得返還請求等もできるものと明言されるべき)と感じていましたが、どういうわけか当時も今もこの話を問題にする方が誰もおらず、その点は今も不思議に感じています。

ただ、懇談の中で議員さん側から「賃貸アパートの貸主として生計を立てている人は、借主が支援金を受給するのに、自分は何も貰えず建築ローンのみが残って立ちゆかなくなった」という発言がありましたが、これは私も震災直後に宮古市などに赴いた際に何度か聞いた記憶があり、懐かしく感じました。

その際は、「多くの人が問題意識を共有しているので、何らかの制度が定まるまで待ってみては」とお伝えしていたのですが、結局、私的整理ガイドライン(いわゆる被災ローン減免制度)による銀行債務の一部免除以外にはさしたる制度ができていないように思われ、その点は残念に感じています。

他に、法曹養成制度(主に修習生の困窮)について弁護士側から議員さんに改善への後押しを求める陳情的な説明がなされていましたが、そこで時間切れとなり、私が準備段階の会合で取り上げて欲しいとお願いしていた「包括外部監査人など、政治部門(行政・議会)への地域の弁護士の関与の機会の拡大」というテーマには触れていただけませんでした。

以前にも書きましたが、私は「大雪りばぁねっと事件」に関する一連の民事訴訟に関わっている唯一の「岩手の弁護士」で、要のポジションにある方の代理人をしていることもあって、事後処理絡みを中心に様々な「残念な事情」を把握しています。

それだけに、できれば、守秘義務の範囲内でそうした話も交えつつ未然防止に関する制度改善や地域の弁護士の活用などの必要性を説明することができればと思っていただけに、残念に思いました。

そもそも、私が弁政連に加入したのは、狭義の政治運動(反政府闘争の類や業界権益絡みなど)に関わりたいからではなく、町弁業界が新人弁護士激増の受け皿となる「活動領域の拡大」(ペイに長期戦が必要なものを含む広義の「仕事」の増大)ひいては、それを通じた「地域社会への法の支配(法の正義を中心とする日本国憲法の理念を生かした社会形成)の浸透」について地道な努力をする必要に迫られており、地元の政治関係者への支援要請はそれに対する真っ当な方策ですので、そうした営みに汗をかきたいという理由からでした。

ですので、震災絡みであれ他の事項であれ、地域の様々な社会課題を取り上げ、かつ、「望ましい解決のあり方」を提言するというだけでなく、その解決の過程に「地域の弁護士を、このような形で活用してほしい」との提言、陳情を含むのでなければ、弁政連がそれを行う意義は乏しく、私が関わる必要もないと感じています。

そうした意味では、今回の懇談会が、上記の包括外部監査人のような「地元弁護士の仕事を増やすための陳情」よりも、修習生の窮状云々の説明という「業界への予算を増やしてほしいとか、弁護士の数を減らすべきという主張に親和性のある陳情」を優先させたことは、その文脈に照らしても残念な感じがしてしまいます。

また、この種の会合には常のことではありますが、様々な方が多様な論点や問題意識につき意見を仰るものの、百家争鳴して話は全く進まずという感は否めず、その点も残念に感じました。

根本的には、上述のような「弁政連(岩手支部)とは何をする組織なのか」という定義付けの問題があるのですが、多くの団体や支持者などと関わりを持たなければならないという意味で、時間が限られているであろう議員さん方との懇談の機会を持つにあたっては、個別実務に関する問題意識を説明するだけでなく、その改善を具体的に実現するための法律や条例などの案(改正を含む)や現行規定の具体的な運用案のような形(それを議員さんがそのまま議会等に持って行き、立法活動や議会からの行政への要望という形で伝達できる)で提言し、実現過程の協議まで繋げるような工夫が必要ではと思いました。

もちろん、問題意識そのものが浸透していない論点では意識喚起の説明だけで精一杯にならざるを得ないでしょうが、震災絡みの論点の多くは問題意識そのものは異論なしという話も多いでしょうから、なるべく各論(改善案)の話を進めていただければと感じています。

ところで、弁政連(岩手支部)は「不偏不党」という政治運動と真っ向から矛盾するような?スローガンを掲げていることもあり、開催にあたっては県内の国会議員と県会議員の全員の方々に参加依頼をしており、出席予定者に関しては、概ね各党の方々が参加を表明されていたのですが、どういうわけか、自民党系の県議さん(予定者3名)が当日は全員欠席となり、高橋ひなこ議員は参加されていたもののすぐに所用?で退席されてしまったので、結果として、階議員をはじめとする民主系と主濱議員をはじめとする小沢氏ないし達増知事系、旧地域政党いわて系列(いわて県民クラブ。平野議員は欠席でした)、あとは共産党と公明党と無所属の県議さんのみという出席者構成になっていました。

私は弁政連の立ち上げのときから参加しており(力のない窓際会員ですが)、私の記憶でも、議員さんとの懇談会は例年とも民主系列など(国政野党)の方は割と多く参加されるのに対し、自民系列の方の参加はいつも少ないという印象が強く、弁政連側のポリシー(特定政党に偏する支持はしていない)という点に照らしても、残念に感じています。

階議員の本来の職業が弁護士(しかも岩手会所属)であることや、その関係で弁政連側も階議員(や系列の民主県議の方)と懇意にされている方が割と多いように見える(逆に、自民系の国会議員さんや県議さんと親しくしている方は私の知る限りではあまりおられない?)ことも、そうした背景にあるのかもしれません。

ただ、旧地域政党いわて系の方々も例年よく参加されているように感じますので(平野議員も今回はたまたま急用とのことでした)、その点はよく分かりません(単純に、自民系の県議さん達は地元の弁護士は相手にしていないということなのでしょうか?)。

40年も前の話で恐縮ですが、私の祖父は自民系列の県議(二戸選挙区)として1期を務めており、残念ながら2期目で落選して引退になったのですが、どこまで本当かよく分からないものの、福岡工業高校を誘致したのは祖父だとか政治に手を出したせいで家業が倒産寸前まで追い込まれたとか、子供の頃は、そうしたことで色々な話を聞いたことがあります(なので父は政治に関わることを強く嫌っていました)。

それだけに、私自身が選挙と関わることはないでしょうけど(人気投票には適性なさすぎですし)、地域のニュートラル(やや保守系のノンポリ無党派層)な法律実務家として、与野党を問わず地域の課題抽出や立法過程などに汗をかいて欲しいと求められれば、お役に立ちたいとの思いを募らせつつ、そうした機会に恵まれないまま鬱屈した日々を過ごしているというのが正直なところです。

今回の懇談会も引き続き議員さん方との懇親会があり、上記の観点から地元の県議さんで私を必要として下さる方にお会いすることができればと思っていたのですが、妻が外せない飲み会があるということで、残念ながら弁護士側では私だけが不参加となり、この種の話がある際の通例として夕食は近所のスーパーで家族の割引弁当を買いに行くというトホホな夜になりました。

兼業主夫の宿命なのか高校進学時の呪いなのか分かりませんが、弁護士会であれJCであれ議員さん方であれ、もっと盛岡や岩手の方々と距離を縮める機会があればと思いながら、どういうわけか私には引力よりも引き離そうとする力のほうが強く働いてくるような感じがあり、そういう星の下に生まれたのだろうかと時に悲哀を感じながらも、まずは自分にできることを地道に模索し続けたいと思います。

ともあれ、弁政連関係者の一人として、ご参加いただいた議員の皆様に御礼申し上げます。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題⑥質問事項その5(アセス、地球温暖化、行政連携など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の5回目(最終回)として、県に提出した質問事項のうち、ILCに関するものなどを掲載します。

第7 その他、環境法全般(公害紛争、アセス、教育ほか)について

◎ 国際リニアコライダー(ILC)とアセスメント等について

本県及び宮城県が誘致に向けて盛んに活動している国際リニアコライダー(ILC)を巡っては、地下が主とはいえ巨大な施設であり高度で未知の研究の実践を伴うことから、ILCが建設された場合の建設中や操業時、稼働終了後に地域の環境に何らかの深刻な負の影響が生じる虞もあるのではと危惧する声も見られますが、それに対する対処については、報道などでもほとんど取り上げられることがないように感じております。

この点、大規模な公共工事などについては、環境に及ぼす影響を事前に調査・公表し住民に意見表明の機会を提供する制度として、環境影響評価法に基づく環境アセスメント制度がありますが、ILCは同法の対象事業には含まれておらず、ILCの設置が決まった後に、設置主体たる国際機関がアセスメントを実施するとか、それに先立ち貴庁が環境の影響に関する何らかの事前調査を行うとの報道を見かけるに止まっています。

実施されるアセスメントが、環境影響評価法に定めるアセスメントと同等以上のものであるか、県のものは岩手県環境影響評価条例に基づくアセスメントを実施するのか、住民には参加・関与の機会が与えられているのか、そもそも(設置するか否かの判断の前ではなく)設置が決まった後にアセスメントを行うということ自体が適切と言えるのか(この点は同法についても同様で、しばしば批判される点と認識しています)、推進の立場を強く表明している貴庁が実施するアセスメントに実効性があるのかなど、幾つかの素朴な疑問を感じないこともありません。

アセスメントに限らず、ILCにつき県民なかんずく建設予定地の周辺住民の理解のもと生活環境上の不適切な影響ないしリスクの発生を防止し安全な設置や運営を確保するにあたり、貴庁において特に課題として取り組んでいることや現行の法規制に関し改善を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第8 地球温暖化問題について

○ 各種バイオマスエネルギーの普及などについて

地球温暖化問題が本格的に取り上げられるようになった十数年ほど前から、バイオマスエネルギーが注目され、近時も藻谷浩介氏の著書「里山資本主義」で国内外の取り組みが紹介されるなどしていますが、現在のところ代替エネルギーとしての利用等は僅かな比率に止まっているように思われ、昨年は木質ペレット製造等を営む県内の企業が破産を余儀なくされる事態も生じています。

広い山林を擁する本県における各種バイオマスエネルギーの普及などに関し法的な課題として貴庁が感じていることなどがありましたら、ご教示下さい。

○ 民生部門のCO2排出減の対策としての規制的手法について

地球温暖化問題については、これが盛んに取り上げられていた時期(震災前など)には、経済的手法(ガス発生抑制による事業者の受益など)のほか、規制的手法(店舗の深夜営業規制をはじめ何らかの電力利用規制をするもの)についても議論があったと思われます。

現在も民生家庭部門と民生業務部門で排出量の増加が顕著とのことですが(当県平成26年環境報告書8頁)、規制的手法の導入やそれに類する自主的取組みなどに関する県内世論の把握ないし貴庁のお考えについてご教示下さい。

第9 公害・環境問題などに関する当委員会ないし当会と県との協働などについて

◎ 公害・環境に関する県組織と弁護士会(当委員会)との連携について

県民生活の向上などを目的とした貴庁と当会との協働に関しては、例えば、岩手県民生活センターと当会消費者問題対策委員会、岩手県福祉総合相談センターと当会高齢者・障害者支援センター委員会などが連携して各種相談事業を行うなどの取り組みが代表例として指摘できると思われますが、公害・環境に関する分野(生活環境上の被害などを含む)については、これまでそのような取り組みは特段なされていなかったと思われます。

当該分野に関し、貴庁と当会が消費者分野や福祉分野のような何らかの連携・協働関係(例えば、公害・環境・生活被害に関する相談企画ないしその支援、規制基準などの照会対応・調査の協力など)を持つことができるか、仮に持ちうるとすれば、その窓口となる部署はどちらになるか(環境生活部か、岩手県環境保健研究センターか、各広域振興局か、それ以外か)、実施にあたり生じうる課題など、この点に関する貴庁のご意見をお聞かせ下さい。

◎ 県の審議会などへの委嘱について

現在、公害・環境分野に関する貴庁から当会会員への各種役職の委嘱については、公害審査会の委員として選任されている会員がおりますが、他には(当委員会としては)把握できておりません。

弁護士大増員政策の影響などから、本県で活動する弁護士の多くが公害・環境分野に限らず従前に弁護士の関与が乏しかったとされる様々な分野への従事を希望していますが、公害・環境分野における貴庁の業務ないし活動との関連で、弁護士の関与や就任などが望ましいと感じているものがあれば、お聞かせ下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題⑤質問事項その4(湿地・自然災害・ダム、化学物質など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の5回目として、県に提出した質問事項のうち水環境に関するものなどを掲載します。

第5 水環境・需給政策などについて

○ 湿地・湿原の保全について

現在、県内の幾つかの湿地・湿原が面積減少ないし消滅の問題を抱えていると言われており、近時の報道では、山田町の船越半島にある小谷鳥湿地の農場(圃場)造成による消滅(岩手日報平成26年4月9日論壇)、春子谷地湿原の土砂流入による面積半減(朝日新聞本年1月8日)などが指摘されています。

湿地・湿原については、生物多様性をはじめ生活環境の保全等の見地から多くの重要な機能を営むものとして、ラムサール条約をはじめ世界的に保全を重視する傾向が見られ、沖縄県の泡瀬干潟のように開発を巡って訴訟が生じる例もありますが、本件では全国的に著名な湿原などが見られないせいか、湿地の保全や利活用等について話題になることは少なく、上記のように僅かに残る小規模な湿地群も多くが消滅等の危機に瀕しているように思われます。

湿地保護・保全に関する貴庁の対策に関し特に紹介できるものや法的な検討を要する論点などがありましたら、ご教示下さい。

○ 豪雨被害などに関する原因や対策について(開発行為などの問題)

平成25年夏に県央部で大規模な豪雨災害が生じるなど、近時は他県を含め、内陸部でも水に関する自然災害が生じていますが、平成26年に広島市で生じた土砂災害のように、もともと災害リスクが高い土地に宅地開発がなされたこと自体に問題があったのではと感じる例も見受けられ、訴訟等に至る例も生じるのではないかと思われます。

豪雨災害に限らず、先の震災を含む自然災害による被害に関し、開発行為などがなされたことで被害が拡大したと見られる例や、そのことを通じて開発行為の規制(による既存の自然環境などの保全)の必要性を感じた例、現に今、その教訓を生かして取り組んでいる例などがありましたら、ご教示下さい。

○ ダム開発(脱ダム問題など)について

我が国ではダム開発を巡り数十年に亘り多くの反対運動などが生じ、近年では八ッ場ダム建設などを巡って事業の不要性や公金支出の違法性を主張する住民訴訟が生じたほか、一部の県知事や民主党政権が「脱ダム」を唱えて中止等に及ぶ例もありました。

他方、本県ではそうした動きはほとんど見られず、気仙川流域の津付ダムが平成26年に中止の発表がされたのを除き、胆沢ダムや現在も工事中の簗川ダムなど、大きな反対運動や訴訟等が生じることなく粛々と開発や建設が進んだ(進んでいる)ように見受けられます。

他県と本県とでそうした違いが生じた原因・背景のほか、ダムをはじめとする周辺の自然環境などに大きな影響を生じさせる大規模な公共事業に関する現在の法制度について特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第6 化学物質・食品安全などについて 

○ 科学技術の発展に伴う新種の公害・環境被害について

かつて社会問題として注目されたシックウハウス症候群やアスベスト問題、近年に注目されている電磁波問題(携帯基地局周辺の被害申出)、風力発電やエコキュートなどに関し言及されている低周波騒音、農薬及び遺伝子組み換え食品など、科学技術の進展に伴い新たに開発される、化学物質をはじめとする身体に有害な影響を及ぼしうる物質等の利用に関して、県内で顕著な被害申告などが寄せられる例がありましたら、貴庁等で行われている対処、対策なども含めてご教示下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題④質問事項その3(自然保護、景観など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の4回目として、県に提出した質問事項のうち、自然保護、景観に関するものなどを掲載します。

第3 自然保護(自然・生物保護、生態系、自然公園等、森林等の保全)について

○ シカ等の食害対策について

近時、五葉山や早池峰山などのシカ等の食害(農地や稀少植物の被害)が頻繁に報道され、狩猟従事者の減少や気候変化などが原因として指摘されているように見受けられます。野生生物保護と生態系や農林業被害の防止などの両立という観点から、現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

第4 大気・都市環境・生活環境・アメニティなどについて

○ 防潮堤建設による弊害(景観の毀損など)について

現在、本県沿岸被災地の各所で高さ十数メートル規模のコンクリート製防潮堤の建設が進んでいますが、防災等の実効性の存否や海岸が視界から外れることなどによる弊害(防災意識、漁業関係者の不都合、生態系などへの影響のほか地元民の海と共に生きる意識の減衰など)、景観問題などについて住民等の議論や関心が喚起され、政策形成等における住民参加のあり方や、急ピッチで建設が進んでいることの原因の一つとされる国の補助金支出のあり方なども問われているように思われます。

防潮堤の建設問題に関する環境生活部の関わりと、防潮堤の建設等に関して環境の保全(環境基本法)や良好な景観形成の促進(景観法)などの観点から現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

○ まち並みや農山漁村の景観等の保全について

近年、城下町・宿場町・門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存や復元などが注目され、現在は農山漁村の自然及び文化的景観を含め、地域の文化的アイデンティティへの貢献や外国人観光者・移住者なども視野に入れた地域固有の景観等の保全や利活用が求められていますが、他方で、地域内の著名建築物などが道路開発により失われたりマンション等に建て替わるなど、個々の地域内では保全よりも喪失に関する話題も珍しくなく、被災地の防潮堤も同様の問題を孕んでいるように思われます。

まち並みや農山漁村の景観等の保全或いはこれと私権とを調整する観点から、現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

○ 生活環境に関する新種の被害・紛争について

昨年は、大都市圏では住宅密集地に保育所を建設し近隣住民から騒音問題の苦情が出るなど、生活環境に関する紛争に関し、従前とは異なる新たな問題が取り上げられるようになってきたと思われます。

各種の生活環境(騒音、振動、悪臭、水質汚濁など水利用、土壌汚染など土地・地盤の利用ほか)に関し、ここ数年の貴庁の業務などを通じ、本県内で特に問題が生じていると感じる事項(分野・紛争類型)や現在の法制度などで特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

 

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題③質問事項その2(廃棄物関連など)

岩手弁護士会公害対策委員会と岩手県環境生活部との懇談会に関する投稿の3回目として、県に提出した廃棄物関連などの質問事項を掲載します。

第2 資源循環・リサイクル・廃棄物関連について

○ 新クリーンセンターについて

昨年、いわてクリーンセンターの後継となる県の関与に基づく産業廃棄物最終処分場の設置について、八幡平市平舘地区を候補地とすることが定まったとのことですが、操業開始までに必要となる作業や権利関係の調整などに関し、法的な観点から、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

○ 軽米町の産業廃棄物最終処分場問題について

軽米町で建設が計画され地元住民などの反対運動がなされている産業廃棄物最終処分場について、報道によれば、昨年末、事業者が貴庁に施設の設置許可の申請書を提出したととされています。

報道では、反対住民側は予定地が河川に隣接することなどを理由に設置又は維持管理に関する基準を満たさないと主張しているように見受けられますが、当該問題で貴庁が把握されている争点の概要などをご教示下さい。

○ 廃棄食品の転売問題と予防策について

先般、愛知県の産廃中間処理業者が大手カレーチェーン店から処理を受託した廃棄カツ類を処理せず他社に有価物と称して転売していたとされる事件が発覚していますが、本県内では同種事案を防ぐため実効性ある特別な取り組みがなされているのでしょうか。未然防止はもちろん、排出・生産抑制も含め、導入の必要があると考える制度などがありましたら、お聞かせ下さい。

この点に関し、日弁連では平成22年に本県で開催した人権擁護大会において、電子マニフェストを通じて廃棄物処理情報を追跡・把握するシステムの導入を提言していますが、そうした制度があれば、相当の期間内の最終処分業者への焼却灰の埋立委託の有無を委託主である排出事業者に報告する作業などを通じ、この種の偽装・横流し事件を防止できた可能性もあると思われます。併せてご意見をいただければ幸いです。

○ 処理未了の腐敗廃棄物を残して倒産する企業への対策について

平成26年に県内で家畜の死骸や動物性残渣などの処理を行っていた企業(東北油化㈱)が自己破産を申請し、事業所に残置されていた廃棄物の処理が問題となりました。報道によれば平成27年中に完了したとのことですが、仮に、処理費用を自ら賄うことができなかった場合、事業所の悪臭問題等の事情から行政代執行を余儀なくされる事態もあり得たのではないかと思われます(報道によれば、当初は、廃棄物処理の費用の捻出が可能かも危ぶまれていたように見受けられます)。

同種の問題の予防のほか処理業者の倒産による原状回復の公費転嫁の問題の対処として、現在、貴庁が取り組んでいることや制度或いは事業者側の実務の改善などを求めている点がありましたら、ご教示下さい。

○ 県境不法投棄事件の総括と跡地利用について

県境不法投棄事件については、廃棄物及び汚染土壌の撤去等については作業の大半を終えているとのことですが、産廃特措法に基づく特定支障除去事業の開始から現在まで、原状回復事業の遂行にあたり、法制度面で特に改善等を要すると感じた点がありましたら、ご教示下さい。

また、排出事業者への責任追及など同事件に関してこの10年強の間に貴庁が取り組まれてきたことで、現行法の不備ないし限界として特に改善を希望する点などがありましたら、お知らせ下さい。

また、不法投棄現場の跡地利活用については青森県では同県サイトや地元紙などで植樹祭などが紹介されているのに対し、当県では報道などで取り上げられることがほとんどないように思われます。この点に関し貴庁の方針や従前の取組みなどで、特筆すべき点がありましたらご教示下さい。

○ 震災(大津波)に伴う災害廃棄物の処理と広域移動について

東日本大震災津波により生じた災害廃棄物については、国の支援により仮設焼却炉が設置されたほか、一部の廃棄物が遠方に搬出される(広域処理)こともありました。他方、広域処理については、受入側の住民に原発被害に付随する非難のほか処理費用そのものも割高ではないかとか仮設焼却炉についても短期間で稼働を終了させることなどに税金の無駄ではないかと主張する意見もあったように思われます。

一連の作業などを通じ、貴庁において特に制度改善を要すると感じた点、仮に同種災害が生じた場合に異なった運用を要すると感じた点などがありましたら、ご教示下さい。

○ リサイクル分野などに関する近時の論点について

その他、廃棄物処理、発生抑制、リサイクルなどの分野に関する県内の事業者の活動などについて、特に問題があると感じている例などがありましたら、お聞かせ下さい。近年は、食品廃棄物や家畜排泄物などからバイオマス発電等を行う事業なども開始されていますが、環境分野の法令との関係で問題となる事例や現行法制に改善を要すると感じる点などがあるようでしたら、併せてお聞かせ下さい。

岩手県環境生活部との懇談会と県内の公害・環境分野の各種課題②質問事項その1(エネルギー、原発事故被害など)

前回に続き、今回から県庁との懇談会で使用した質問事項を掲載します(少し表現を修正しています)。

質問事項は、当委員会で今後の課題として取組みを検討・希望している事項の一覧を列挙したものですが、当日の懇談事項として特に優先させたものにつき、◎を付しています。

今回の目的は、県庁の特定の活動に疑問等を呈して議論を挑むことではなく、現在の様々な課題に関する県の取り組みを拝聴しつつ、現行の法制度の内容や運用に関する問題意識(改善を要する点やそのあり方)を質問するということに重きを置きましたので、問いの仕方もそうしたコンセプトに基づくものとなっています。

ですので、個々の質問内容については、食いつきが足りないというご批判もあるかもしれませんが、それはそれとして、県内で公害・環境などの分野に関心を持って取り組んでおられる方々に参考にしていただき、弁護士会との連携なども検討していただければ幸いです。

第1 エネルギー問題と原発事故被害(汚染廃棄物問題を含む)

◎ 自治体の原子力紛争解決センターに対する賠償請求

原発事故の被害について、貴庁及び県内自治体が原子力紛争解決センターにこれまで申し立てたADRについて、損害発生や因果関係の認定に関し、特に問題となった点(東京電力が強く争ったものの和解案で認められたものや貴庁が強く勝ち取りたかったものの退けられた点など)がありましたら、ご教示下さい。

◎ 岩手県内の民間被害などに関する実情と県の把握

原発事故の被害については、平成25年に原子力損害賠償紛争審査会から風評被害に関する第三次追補が公表された際、貴庁の主催などにより県内の事業者向けの風評被害の賠償請求に関する説明会も開催されたものの、その後は賠償請求の問題については貴庁らのADRを除き報道で取り上げられることがほとんどなく、被害及び賠償請求等に関する実情を掴みかねるところがあります。

当会内でも、当委員会や被害対策弁護団などが窓口となって無料相談事業や事件受任を行っていますが、件数としては大きなものとなっていません。

被害状況や賠償等の実情の把握に関する貴庁の取り組みや今後の課題などに関し特筆すべき点がありましたら、お聞かせ下さい。また、県内の民間被害(事業者・個人、県民・避難者などを問わず)の把握に関し、何らかの調査(アンケート等を含む)を行っている場合は、その結果などをご教示下さい。

○ 汚染廃棄物の処理や保管について

放射性物質に汚染された廃棄物の処理などに関する問題について。本県では8000Bq/kgを超える指定廃棄物の量は環境省サイトによれば475t(焼却灰が200t弱、その他275t)とされ、宮城県などと異なり最終処分場の設置も予定されていません。他方、焼却時に8000Bq/kgを超えると見込まれる汚染稲わら、牧草について、他の廃棄物と混合焼却して焼却灰を埋め立てているとの報道がありますが、混焼については有害物質の拡散であるとして焼却も含めて批判し、線量減衰まで焼却せず長期保管すべきとの意見もあると聞いています。

また、日弁連の平成27年の報告資料(人権擁護大会第三分科会の基調報告書156頁)によれば、宮城県では8000Bq/kg超の稲わらでも指定廃棄物の指定申請をせず県が厳重に管理するものがある一方、基礎自治体が国の委託で保管している指定廃棄物についてビニールハウス内で仕切り板等のない状態で置かれている例もあるとされています。他にも、埼玉県は指定申請をせず全て県が保管しているとの報道(日経新聞平成26年9月29日)もあります。

県内における指定廃棄物の処理(埋立)や混焼、焼却前の汚染廃棄物の保管などに関し、以上を踏まえ、貴庁の取り組みとして特筆すべき点や法的な課題として把握・認識されている点がありましたら、ご教示下さい。

○ 太陽光や風力による発電施設の設置や維持管理について

現在、県内各地で太陽光発電施設(メガソーラー)の建築が進むほか、風力についても県北や北上高地などで大規模な設置計画が構想されているとの報道を多く目にします。他方、これらについては、安全面の不安や運営企業が倒産等した場合の将来の撤去等の確保、景観・反射光・低周波音など周辺環境及び近隣住民との調和など様々な課題も述べられるようになってきたと思われます。

当方もまだ不勉強ですが、これらの構築物に関し廃棄物処理法のような詳細な設置及び維持管理の規制があるのか(設けなくてよいのか)など様々な課題が未整備ではないかと感じているところです(Webで検索する限りでは、一定面積を超える施設につき自治体への許可申請を要する条例があるとか、山梨県が設置に関するガイドラインを策定したなどの記事を見かけます)。

メガソーラーや風力発電施設の設置や維持などに関する法的な課題として、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

○ 地熱発電に関する施設の設置について

地熱発電については、盛岡市繋地区や雫石町(八幡平エリア)などで発電所の設置が検討されているとのことですが、周辺環境の保全ないし乱開発などに伴う被害の防止、温泉業者をはじめとする利害関係人との権利関係の調整など、法的な観点から、現在、貴庁が特に課題として把握又は認識されている点をご教示下さい。

盛岡で生きる二戸人~I’m an legal alien in Morioka~

さきほど偶然ネットで、二戸市が盛岡と東京でUIJターンの促進等の見地から交流会を行う企画があるというのを発見しました。盛岡では本日開催とのことですが、私は40歳を超えており参加資格がなく、残念です。
https://www.city.ninohe.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=4889

東京在住時に一度だけ東京二戸人会に誘っていただき参加したことがあるのですが、盛岡でもそうしたものがあればと思っています。

私の場合、中学卒業時に県外に出てしまった上、仲良しだった同級生仲間で盛岡に住んでいる人がほとんどいないこともあり、盛岡で10年以上生活していても、本業でもそれ以外でも、二戸出身の方や二戸在住の方に声をかけていただける機会がほとんどないという恥ずかしい有様です。

幸い、戻ってきて間もない頃に、二戸の方からご相談やご依頼等をいただいたことは何件かありますし、今も、稀に、相談者の方から「HPを見ましたけど二戸出身なんですってね。自分の家族もそうなんですよ」とのコメントをいただくことはありますが、もっと二戸出身或いは二戸在住の方と関わることができればと思いながらも、「忘れられた二戸人」の悲哀を託っているというのが正直なところです。

もちろん、声をかけていただけるのを待っているのでなく私自身が知り合いの有無に関係なく色々な場所に顔を出して声を上げていかなければならないのでしょうし、そろそろ兼業主夫業にも一つの目処が付きそうな感じもありますので、いつまでも引っ込み思案のままでいるわけにもいかないだろうと、自分に言い聞かせようと思っています。

これまでも、「盛岡という異邦(仇敵の都)の地で生きる二戸人」としての自分のあり方、役割や責任を考えながら生きてきたつもりですが、十分に実践できているというにはほど遠く、人生の折り返し地点を過ぎたこともあり、できることを少しずつでも増やしていきたいと思っています。