北奥法律事務所

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裁判所による手続的虐待?の光景とマチ弁の愚痴(前)

裁判所と書いて「べんごしぎゃくたいじょ」或いは「こくみんぎゃくたいじょ」と読む、或いは、少なくとも、そのような顔も彼らが持っている、というのは、弁護士なら自明かと思います。

かくいう私も、半年以上前に某家裁に申し立てた事件で、裁判官(と調停委員?)から壮絶ないじめ被害?に延々と遭っており、一体いつになったら収束するのやら、という有様です。

詳細は差し控えますが、膨大な関係者がいる相続事件(内容自体、受任弁護士には大赤字にしかならないものの、ここで決着させないと困る人が非常に多くいるため、公的観点からも受任せざるをえない事案)で、協力を得られず、手紙・電話にも一切応答しない(ので、希望内容すら分からない)方が1名だけおり、その方との権利関係を決着させるため、やむなく遺産分割の申立を行いました。

で、従前の経過(や限られた費用で膨大な負担を余儀なくされていること)を説明し、そうした事案で先方に異議がなければすぐに決着させる手続である「調停に代わる審判」により、なるべく簡便に処理いただけないかと要請しました。

が、真逆の展開というか、裁判所からは、すでに了解済みの方々との関係も含め、無理難題や常識感覚からは不合理と感じる膨大な作業(明文や一般的な文献に記載のないものを含む)ばかり突きつけられ、「あんたがそれらをこなさないと、自分(裁判所)は何もしないよ(調停に代わる審判等はしない=相続登記など決着ができない)」と延々言われ続けています。

先日、ようやく先方の要求水準を満たすものを揃えたと思ったものの、あれこれケチがつき、また膨大な作業や多数の関係者への連絡が必要になり・・と辟易しているところで、まだ夜明けは一向に見えません。

相応の事情で当事者間に利害対立がある事案なら、諦めもつくというか、げんなりすることはないのですが、数十年前に死去した被相続人と何の関係もない方々ばかりの膨大な現相続人のうち、放置を続けているだけの、たった1人のせいで、どうしてこんなに延々と形式ばかりの作業を要求するのかと、期日のたびに嘔吐感を強いられながら、依頼者や解決に協力して下さる多数の方々の顔を思い浮かべて、どうにか踏みとどまっています。

この仕事をしていれば、裁判所に無理難題を突きつけられることは掃いて捨てるほど経験しますので、自分の力量不足と肚を括り対応し続けるほかないのですが、依頼者・関係者にも不合理な負担や長期化を延々強いることになり、申し訳なく思うばかりです。

せめて、家事事件手続法に欠席判決類似の「無気力当事者への簡便対処措置」の明文規定を定めていただければ、この種の話の改善につながるのではと思いますが、弁政連云々などが力になってくれるはずもなく、実務の片隅でぢっと手を見続けるほかないのでしょうね・・

この仕事をしていると、裁判ないし裁判所を蛇蝎の如く嫌悪・恐怖し不信感を表明する方にしばしばお目にかかりますが、その方々には、こうした光景や「それが嫌なら法律作ればぁ?まあ、できるかどうかは知らないけどね。アハハ・・」という底意地の悪い密林の毒蜘蛛のような、誰かの笑みが見えているのかもしれません。

(追記)
以上の話をfacebookに投稿したところ、ある司法書士の方からも「無気力当事者への簡便対処措置の規定が欲しい」とのコメントをいただきました。司法書士さんも相続関係で家裁と関わりを持つことが多いようですが、同じような苦労をなさっているのかもしれません。

子供達を想う唄はロシア軍の兵士に届くか

若い頃によく聴いたスティングの名曲「Russians」が現下の情勢のもと話題になっているそうです。

ユーチューブの公式サイト?は下記のとおりですが、和訳付きでCMなしに拝聴できる2段目のサイトなどの方が、実際は見やすいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=wHylQRVN2Qs
およげ!対訳くん: Russians スティング (Sting) (oyogetaiyakukun.blogspot.com)

現在、多数のロシア軍が同族・身内というべきウクライナの子供達を殺戮している光景と、数十年前に作られた歌詞で繰り返し強調される「子供達への想い」の落差に目眩を感じずにはいられません。

かつて反ゴルバチョフ派の重鎮達がクーデターを起こしたとき、軍部の大半は民意の帰趨を見てこれに与せず、民意を味方に付けたエリツィンが勝利し、政治体制としてのソ連は幕引きとなりました。

今回の戦争も、ロシア軍の現地部隊などが「殺すのも殺されるのも嫌だ」と思って自ら軍事行動を止めることができれば、恐らく終了するのでしょう(現在の軍事侵攻の短期的な帰趨はともかく、長期的に見て属国化にウクライナ国民が甘んじるとは到底思えません)。

その際、プーチン政権やロシアの政治状況がどうなるのかは、今の私には予測できませんが。

日本は自ら武器をとってウクライナの自衛戦争に与することはできないのかもしれませんが、例えば、誰かがこの曲を軍人達やその家族に聴かせることができれば、露軍や露国人民の厭戦意識を高めることに役立つのかもしれません。

日本の歌謡界の方々が、スティングのようにロシアの曲をもとに新たな反戦ソングを作ってもよいと思いますし、日本なりのやり方で、戦争を終息させるための貢献を色々と模索していただければと思っています。

ウクライナ侵攻の先にある台湾と日本にも迫る戦争の影

1ヶ月ほど前から風雲急を告げる状態が続いていたウクライナ紛争が、いよいよロシア軍の全面侵攻など、最悪の展開の危惧を強く抱かせる形で進んでいます。

ロシアのプーチン大統領は「この地域の住民は自分達と同じ民族で、もともと一つの大きな国である。その中で、敵国側に同調する奴らが自分達に与する仲間を虐げている。だから、地域内の困った奴らを掣肘して仲間を護るのだ」という主張を一連の行動の根拠に据えているように見受けられます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220224/k10013498841000.html

東アジアにも、これとほとんど同じ論理で、政治体制・価値観を全く異にする隣接小国への軍事行動を望んでいる巨大国家があることは、申すまでもありません。

ですので、ウクライナ紛争がロシアの思惑どおりになることを一番期待しているのは中国でしょうし、そうなれば、そうでない場合と比べて「次は台湾」になる危険が強く高まることも、間違いないだろうと思います。

そして、その先には、第一列島線などに象徴される中国の軍事的拡張と日本との対決という展開もありうるのかもしれません。

或いは、かつての「中国から事実上独立した状態にあった香港」を台湾と一括りにできるのであれば、中国の方が、クリミアやウクライナ東端地域よりも先に「旧領回復と従属化」を現代で成し遂げた先輩にあたるのかもしれません。

この十数年、香港が高圧的に中国化させられた光景を、日本を含む「自由主義」諸国は、口先では非難を繰り返すものの、中国との対決も辞さない実効性ある措置は執らなかったと思います。その光景も、ロシアに影響を与えた面があるかもしれません(ウイグル問題も同様でしょうか)。

台湾侵攻が本当に現実化したときは、旧宗主国・隣接国であり長年に亘り強い友好感情・関係を築いた日本が何もしないというのは考えられず、集団的自衛権の名のもとで、米国と共に何らかの軍事的関与を模索するでしょうし、日本国民自身がそれを希望しそうな気がします。

他方、ウクライナの歴史や現状をみる限り、ロシアと全面戦争してまで同国を護りたいと考える国があるか、よく分かりません。ポーランドはかつてロシアに蹂躙された歴史を持っているので、ウクライナに強く同情的ではないかと思いますが、不思議なほど?一連の報道で何の存在感もありません(波宇両国の関係などは存じませんが、日本と同じく小国の悲哀で、次は我が身ゆえ刺激したくないのでしょうか?)。

この紛争が今後どうなるのか見通せる目は私にはありませんが、NATO勢力=欧米がウクライナの親欧米派を見捨てるような結末になったときは、中国は台湾侵攻でも同じ展開になると期待し準備を進め、日本側も上記(台湾を護れ)よりも萎縮する方向に物事が進みそうな気がします。

逆に、軍事・非軍事を問わず、欧米がウクライナを見捨てずロシアと拮抗する対決状態が長期間続くのであれば、「次は台湾だ、台湾は日本の生命線だ、日本も台湾を護る実効性ある仕組みが必要だ」という議論が高まってくるのではと推測します。

反面、長期戦となれば、中国が本格的にロシアに肩入れするのでしょうから(疲弊した占領地域などへの経済支援でしょうか)、そうなると、いよいよ米欧(とオマケ?の日韓)vs中露の実質的な世界大戦の幕開けになってしまいそうな気もします。

バルカン半島で始まった第一次世界大戦が長い目で見れば大日本帝国倒壊の原因の一端をなしたように、小手先の憲法改正論議など吹っ飛ばされそうな大きなうねりの影が、日本にも忍び寄ってきていること自体は、否定し難いと思われます。

 

年頭のご挨拶と仕事始めの嬉しい出来事たち

遅まきながら、本年もよろしくお願いいたします。

例年、前年度の業務実績をブログに掲載していますが、昨年は延々と首が廻らない状態が続き、年末年始にようやく令和2年の業務実績を掲載する有様でした。

今年は、4日に起訴された方の保釈請求書をその日のうちに裁判所に提出したのですが、まだ休業期間中ということもあり、書面を出すだけだと思ってジーンズ姿で赴いたところ、有り難くないことに、とある事情で担当裁判官に呼び止められ、ジーンズ姿で面談する羽目になりました(服装への説教ではありません)。

地裁刑事部の方々から「キムタ○みたいっスね」などと気の利いたコメントが期待できるはずもなく、そそくさと退出しました。

結果、翌5日にはご本人の保釈が認められ、幸先のよいスタートとなりました。

また、6日には、今年はじめての来客の方から、顧問契約の申込みをいただきました。

県内の著名企業にお勤めの専門職の方で、少し前まで東京の他企業に勤務しており、曰く、最近の東京では、その業界の方々が個人で顧問弁護士を頼むことが多いのだそうで、他の事情も相俟って、利用を希望されたとのことでした。

当方も、企業(法人)や個人事業者ではなく、純然たる個人(企業勤務者)の方から顧問契約をいただくのは初めてですが、当方では「月額3300円(年額4万円弱)」の顧問契約(A型)を提供していることもあって、ご利用しやすかったのかもしれません。

10年以上前にA型を作ってから、何年もの間、僅かな方から問合せをいただいた程度でしたが、近年はお申し込みをいただく機会も増えてきており、「大企業や富裕層でなくとも顧問弁護士のサービスを受けることができる仕組み」として、認知度や利便性を高めることができればと思っています。

珍しく新年当初から有り難い出来事が続いていますが、今も未済起案の山と格闘しなければならないのが偽らざる現実であり、気を引き締めていきたいと思います。

ともあれ、お時間のある方は、業務実績に関する記事もご覧いただければ幸いです。

 

令和2年の取扱実績③生活上の問題(消費者・契約)、家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、令和2年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を、守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

亡父αから特定の土地を相続したAが、同土地を占拠するB(αから無償で借りた)に土地の明渡しを求めたところ、Bが「αから贈与された、仮に、贈与が認められなくとも、取得時効が成立する」と主張したため、訴訟を余儀なくされた案件を受任しています。

先般、1審で当方の主張を概ね認める判決がなされたものの、B氏が敷地内に建物を建築(隣接する自宅から越境建築)した部分に限り時効が認められ、現在、双方が控訴し審理が続いています。

他にも、Web上のやりとり(投稿)を理由とする名誉毀損や、男女の交際に絡む紛争など対人関係の紛争に関する対応(不当要求の拒否や関係清算など)、数十年前(祖父母などの世代)に自己が所有する土地に設定された担保権の抹消手続など様々な案件で対応の依頼を受け、無事に対処を完了しています。

他にも、多数の方々から、各種の消費者被害や近隣トラブル、労働事件などの生活上の様々なご相談を受けたり、簡易な交渉対応に応じています。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用、親権関連紛争、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など。否認事案を含む)については、昨年も多数のご相談・ご依頼を受けています。

本年も、親権(監護権)を巡り厳しく対立する事案を受任したほか、夫からDV行為を受けた女性が別居を敢行し夫に離婚を求めた案件を、別居前から相談を受け円滑な離婚を目指して支援するなどの対応にあたっています。

成年後見に関しても、財産管理や後見支援信託など基本的な対処を行う事案のほかに、後見審判後も自宅で独居を続ける方に関し、様々な問題に対処・苦慮しつつ、生活の継続を見守った事案もあります(現在は施設に入居されています)。

また、高齢のご夫婦に後見手続がなされた案件で、夫が死去し、お子さんがいないため、妻の後見人として夫のきょうだいと遺産分割協議を行うなど、様々な対処を行っています。

相続分野では、亡夫の相続に関し前妻の子との交渉などの依頼を受けた事案や、亡父の遺産分割に関し相手方の特別受益など様々な論点の検討を要した事案強硬な相続人との交渉を要した事案相続財産管理人の選任申立を要した事案などを担当しています。

また「県内の山間の集落に多数の不動産を遺して亡くなった方について、相続人である兄弟姉妹らが長期間、相続手続をしなかったため、相続人が数十名、権利の調整を要する物件(相続不動産)も多数に上り、墓地の扱いなど様々な論点が存する(放置されたまま、現在に至った)案件」の依頼を3年前に受任し、幾つかの論点に目処を付けつつ、現在も、多くの関係者と協議しながら残余の論点の解決のため対処に追われています。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、ますます増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方、遺言執行者などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政関係では、昨年までお伝えしていたサケ刺網訴訟は無事に当方(岩手県)の勝訴で終了しました。現在は、県内のある自治体の顧問をさせていただいており、庁内で問題となった様々なご相談や訴訟事件に対応するなどしています。

刑事弁護も、被疑者段階を含め、詐欺や傷害、業務妨害、道交法違反など昨年も幾つかの事件(少年審判を含む。大半は国選事件ですが私選の依頼はタイムチャージ形式で受任しています)を手掛けています。

その他の業務としては、県民生活センターが主催する消費者向け相談や県内の社会福祉協議会が行う住民向け相談事業など幾つかの相談事業を担当したほか、東北厚生局の訟務専門員として、保険診療の不正受給などに関する解決のお手伝いをしました。

令和2年の取扱実績②債務整理・倒産、交通事故等(賠償)

前回に引き続き、令和2年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を、守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(3) 債務整理と再建支援

10年以上前(リーマンショック期)と比べて、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は大幅に減り、新型コロナウイルス禍の中でも、この傾向は大きく変わっていません。

ただ、本年3月まで社会福祉協議会の相談担当をしていたせいか、「総債務額は大きな額ではない(100~200万円未満)ものの、僅かな収入しかない又は無収入のため自己破産をせざるを得ない方」からの受任は一定数ありました。他にも、「複数の銀行などに300~400万円程度の借入があり、他にも住宅ローンの返済中で、住宅を維持しつつ債務を圧縮するため、個人民事再生の手続を利用する方」の依頼があり、また、「諸事情により法的手続を希望せず、リスケジュールのため任意整理を希望する方」の依頼もあります。

近年は10年以上前に借りた債務を滞納していた方が最近になって請求を受け、消滅時効などにより解決を求める事案も幾つかあります。
 
昨年も、債務額などに照らして民事再生又は自己破産の手続をとるべき債務者の方が、インターネットで広告を展開する東京の弁護士などに安易に任意整理(リスケ)を依頼し数ヶ月ほど委任費用を支払ったものの、結局、支払継続が困難となり、後日に当事務所に相談し法的手続を依頼する(ので、当初から当職に依頼していれば負担せずに済んだ多額の委任費用を前代理人に支払うだけで数ヶ月を空費した)というケースを経験しています。

昨年、過払金の巨額横領が発覚した「東京ミネルヴァ法律事務所」問題のように、解決のための方法選択(依頼先の選定を含め)を誤ってしまうと、費用の無駄に限らず後日に様々な問題が生じますので、そうしたことも視野に入れて早期のご相談をご検討ください。
 
企業倒産(破産管財)に関しては、昨年は「企業の管財事件」の受任はなく、小規模な企業の代表者個人のみの破産申立事案の管財人を担当した程度でしたが、中には、企業の関係者に様々な問題があり、労働者健康福祉機構への未払賃金立替請求が正当な理由なく行われていると判断され、それに対する対応に苦慮するなどした案件もありました。

申立代理人としては、震災後、辛うじて経営を続けていた小売業の会社さんがウイルス禍により継続を断念し事後処理を依頼された案件があり、商品売却などの目処をつけた上で、会社及び代表者双方の申立を行っています(特殊な事情があり、最初は代表者のみの破産申立を行い、後日、裁判所の勧告により会社の破産申立も行いました)。

今後はウイルス禍の長期化により倒産増加が懸念されており、小規模飲食店の経営者の方から営業不振による事業閉鎖を前提とした相談を受けたことが複数あります。

また、昨年から「金融機関(銀行等)にのみ高額な債務を負っている企業及び代表者に関し、適切な方法で相応の弁済を行うことと引き替えに自己破産を回避し、破産のルール(99万円)を上回る資産を継続保持するための制度(経営者保証ガイドライン)」を活用して解決すべき事案の依頼を受けています。金融機関の内諾を得て昨年中に概ね順調に換価作業などを終え、現在、弁済計画を策定し、交渉の山場にさしかかっています。

新型コロナウイルス禍のため残念ながら経営継続が困難となった方の中には、この制度を利用して債務問題の解決を図っていただくのが望ましいケースが多くあります。あまり知られていない制度ですので、ご留意いただき、知人などで必要とする方がおられれば、伝えていただければ幸いです。

個人の方の破産管財でも、免責不許可事由の調査を要したケースや山林の換価が問題となった案件などを担当しています。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

昨年も、交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により、本来であれば数十万円からそれ以上を要する弁護士(当職)への委任費用について、自己負担なく利用されています。

受任の内容も、過失割合(事故態様を巡る事実関係と評価)が主たる争点となる事案物損の金額が争われる事案むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額算定が中心となる事案重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が必要となる事案など、幅広く取り扱っています。

過失割合が争点となった物損事故では、1審(簡裁)で納得できない判決を受けたため、控訴したところ、2審(地裁)で、1審を取り消し当方の主張も踏まえた新たな過失割合の勧告を得て、了解可能な和解で終了できた案件もありました。

事故直後など、加害者側の示談案提示前の時期から受任して後遺障害の認定申請なども含めた支援を行う例も増えており、「神経障害に関する後遺障害(14級9号)」をはじめ、幾つかの後遺障害につき、認定を受けるための調査や医療機関への照会などを行いました。

ともあれ、自動車保険などでは、必ず弁護士費用特約が付された任意保険にご加入ください(相談のみの特約に加入される方もおられるようですが、必ず委任費用を対象とした保険にご加入下さい)。近年、弁護士費用特約(保険)は、企業クレーム対応や労働事件、家事事件(離婚等紛争)などにも導入されており、活用をご検討ください。

 

令和2年の取扱実績①全体、中小企業法務

当事務所では年1回、前年の業務実績の概要を顧問先に送付した上で後日にブログで公表しています。顧問先には5月に送付しましたが、諸々の理由でブログへの掲載が遅れ、いつの間にか年末になってしまいました、

が、このまま越年するのもいかがなものかということで、今更ながら、昨年=令和2年の実績概要をお知らせします。本年=令和3年の実績概要は、来年の中頃?までお待ち下さい。

当事務所WEBサイトの「取扱業務」に基づいて分類し、3回に分けて掲載します。依頼先の選定などの参考としていただければ幸いです。

(1) 全体的な傾向など

当事務所は、①交通事故などの各種事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚や相続など家族・親族間の紛争や各種法律問題、③企業倒産や個人の債務整理、④企業の取引や内部紛争、⑤個人の方に関する各種の民事上の法律問題などに関する様々な紛争の解決や法的処理のご依頼に対応しており、昨年も、この5大分野が業務の柱となっています。

ここ数年は①と②の受任が多くなっていますが、他にも企業の深刻な内部紛争や個人間の各種の民事訴訟など、様々な事件の解決やご相談の対応にも注力しています。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

企業取引に関する問題では、企業間の賃貸借に関する紛争や競業企業との対人トラブルに関して対処した事案のほか、従前から取引等のある企業間で不当とみられる金銭等の要求があり、要求を受けた側の依頼で、支払拒否や既払金返還請求などの対処を行っている案件があります。

これは、α社のA社長がβ社のB社長に勧めた商取引に関連し、豪腕経営者のBが、Aの勧めに応じる代わりにAに過当な要求を行い、立場の弱いAが念書に応じてしまったところ、後年にBから膨大な金額の請求を受けたため当職に支援を求めてきたものです。BがAに差し入れた念書は、内容の不当さもさることながら、法律上も多額の金銭請求が認められるべきではない(道義的念書に過ぎない)と感じられる案件です。

そこで、A側の依頼により、B側に対し支払拒否や正当な理由のない既払金の返還を求める訴訟を提起しましたが、Bも総力を挙げて対抗しており、厳しい対立の中、現在も予断を許さない状況で審理が続いています。
 
企業の内部紛争に関しては、「小規模な企業の経営者Bに頼まれ中途就職したAがBから企業承継(買取)を要請されて応じたものの、後日、Bに不正行為が発覚したとして、Bの法的責任を問う必要が生じた事件」を3年ほど手がけており、1審で概ね全面勝訴し、2審でもその判断が維持された勝訴的和解が成立しました。

この事案は、債権回収に様々なハードルがあったのですが、工夫や調査を重ねたところ、運良く「隠し財産」を発見し、無事に強制執行で判決に基づく全額を回収することができました。

また、特定の事業を営む自営業者の団体A(権利能力なき社団)が高齢従業員Bに対し様々な事情から定年時の再雇用拒否を行ったところ、Bが、Aの前代表者(団体の総会で退任した方)が退任前にBに定年後の雇用継続を約束したなどと主張し、地位確認等請求の訴訟を起こしてきた事案を受任しています。

この件は、Aが零細自営業者の集まりで労働法等のルールに通暁していないことや団体の事情からA側にも一定の不手際がみられたものの、様々な事情を立証し定年後再雇用の合意がなく、労働契約法19条の類推適用なども認められるべきでないと主張したところ、Bが自らの主張を撤回し、当方の主張どおりの勝訴的和解により終了できました。
 
また、以前に共同経営していた親族同士が数十年前に分離して互いに単独で企業を経営していたところ、近年になって重大な問題が発覚し、複雑な法的論点が生じて訴訟を余儀なくされ、過去の様々な経緯から、双方が激しく対立する事案を担当し、本年、第1審で無事に勝訴判決を受けました(先般、控訴審で当方の勝訴的和解がなされています)。

また、企業内部の事柄(法的事務処理)として「会社の大半の株式を保有する株主が、ごく僅かな比率の株主から強制的に株式を取得するための手続(会社法179条に基づく株式等売渡請求)」を受任し、本年、無事に手続を完了した案件があります。

 

閉伊!閉伊!閉伊!今こそ起こせよムーヴメント

三陸方面の記事を見ているうちに、突如、替え歌を思いついたので、思わず載せることとしました。

***

閉伊! 閉伊! 閉伊! 今こそ起こせよムーヴメント

がっつり津波を被りもしたけど
ミライ見てるから 被災地イメージ捨てるよ

自分が動き出さなきゃ 
何も変わらない街で
何かを叫んで歪みを壊せ!

Wow WowWar WowWar tonight
Wow WowWar WowWar forever・・

***

昨年に宮古振興局の相談担当を終えた後、本年度は沿岸に仕事で赴く機会を全く得ておらず、また、何らかの関わりやお役に立つ機会を持つことができればと願っています。

ともあれ、空腹の方は、宮古の瓶ドン定食をどうぞ(写真は、昨年5月に宮古市内の飲食店でいただいた際のものです)。

   

岩手のご家庭・子供達が「二月の勝者」を視る意義と函館へのお誘い

東京の小学生の中学受験を描いた人気漫画「二月の勝者」がドラマ化され、先週から放送がはじまりました

1年前に、函館ラ・サール中学校に子息を通学させている保護者の方の依頼で、引用の記事をブログに載せたことがあります

岩手の大半のご家庭にとって、お受験は異世界なのかもしれませんが、敢えてそこに叩き込む素養がある(と思いたい)お子さんがいらっしゃる方は、こうした世界にチャレンジなさってもよいのではと思います。

岩手の場合、大学付属中などもありますが、男児に関しては、函館ラ・サール中学も選択肢として考えていただければ幸いです。

今年も、10月30日(土)に盛岡で説明会があるそうです。

数年前この学校に進学した後、本作で描かれる(であろう)何人かのお子さん達のように、入学前は夢ですらなかったであろう栄冠を目指して、今も努力を続けている少年を知っています。

それに続いてくれる子が、岩手からも、より多く誕生してくれればと願っています。

中小・零細企業の事業承継や事業譲渡と弁護士への相談等を巡る地方の実情

昨日の岩手日報で、県内企業の4社に3社が事業承継を経営課題ととらえているとの記事が出ていました。

先般も、ウイルス禍の関係で全国的に小規模事業者の事業譲渡等(M&A)が増えているとの記事を見かけています(今は削除されてしまったようです)。

私も、少し前、関与先の会社さんの事業譲渡に関する株主総会の特別決議のための総会招集などのお手伝いをしたことがあります(諸事情により、総会も当事務所で行いました)。

その事案はさておき、一般論としては、小規模企業の事業承継、M&Aなどでは譲渡側企業に何らかの法的課題が生じていることが多いので、

①購入側は一定の情報・資料が揃った時点で何らかの法的リスクがないか調査する、

②譲渡側も、事業以外の点(相続対策など)も含め、事業や経営者の現状・概要をまとめて、現時点で行っておくべき方策がないか調査する、

という形で、(高額報酬になるのであろう東京の専門の弁護士さんだけでなく)我々のようなフツーの弁護士にも相談等いただいてよいのではと思います。

我々は、事業自体の値段の査定をするのは難しいでしょうが(それは会計士さんなどの仕事)、リスク査定やそれを踏まえた対策などを提案或いは対処すること(価値の変動要因の指摘を含む)は、マチ弁の通常業務を通じて日常的にやっているはずですので。

M&A会社などから一定の調査資料の提供を受けられるなら、それを預かり精査すれば、基礎的なコメントは、すぐにできそうな気がします(事前準備が適切になされていれば、タイムチャージ費用もさほど高額にならないケースが多いでしょう)。

これに対し、とりわけ譲渡側で、それら資料が何もない(ご自身も資料等の準備もなさらず相談にいらした)という場合は、基礎的な聴取等だけで馬鹿にならない時間=経費を要することになりそうなので、準備・聴取用のマニュアル的なものがあればと思ったりもします。

5年以上前、県内の小規模事業者の方から

「自分の事業を譲渡したい、貴方は役に立ってくれるか」と相談され、

「事業に値段を付けたり買い手を探すなどの作業は私にはできないので、M&A会社に相談して下さい。ただ、それを通じて一定程度まで話が進み資料が揃えば、それらを拝見して内在する法的な問題の検討や事業評価のあり方も含め、役に立てることはあると思います」

と回答して終了したところ、結局、その後アクセスを受けることはなかったという経験をしたことはありますが(営業的には落第点ということになるのでしょうか)、そうした形で弁護士を活用する文化・慣行を育てていただければと思っています。

何年か前に、岩手県議さん達と弁政連岩手支部との懇談会でも、似たような話をした記憶があります。

が、その後、県議さんからは、誰一人、「詳しい話を聞かせて」「支援者の相談に乗ってくれ」などとと打診されることもなく、今日も、ほそぼそとマチ弁仕事に明け暮れているところです。