北奥法律事務所

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非嫡出子違憲判決を巡る2つの小話

9月に最高裁が長年の懸案であった非嫡出子の相続差別規定(民法900条4号但書前段)を違憲としたことは、皆さんご存知のことと思いますが、岩手でも、同じ争点の事件で違憲判決が出たとの報道がありました。

この件で小ネタを1つ発見したので、さらに思いついたもう一つの話と共に少し書いてみたいと思います。

1 2年前に、違憲判決の一歩手前で自ら判決を貰い損ねた人物

先ほど、判例雑誌を読んでいたところ、2年前に、同じ事件で違憲判決の一歩手前まで行ったのに、当事者が自ら特異な形で事件を終了させて、違憲判決を貰い損ねたように見えるという判例を見つけました。

「平成22年に同じ論点で最高裁に特別抗告していた非嫡出子X氏が、最高裁の係属中に、代理人弁護士に無断で相手方(嫡出子Y氏)と和解して代償金の支払を受けたので、最高裁が審理の続行の必要なしとして抗告を却下した例」です(最高裁平成23年3月9日決定判タ1345-126)。

判決を読むと、X氏は、早期解決を希望するとの理由で、抗告審を依頼していた自身の代理人弁護士を通さずに、自らY氏と接触し、2審までに認定されていた代償金(Y氏が目的不動産を相続する代わりにX氏に支払うべきとされた金員で相続分に基づき算定されるもの)を2割程度、増額した金額をY氏から受け取るのと引換に事件を終了する趣旨の合意をし、その支払を受けました。

が、どういうわけかX氏はその事実を代理人に一切説明せず(独断専行をしたのに後ろめたさがあったのか、その必要すら感じなかったのか、その辺は不明です)、その後も最高裁の審理が続き、最高裁は、X氏の代理人に、事件を大法廷で扱う旨の連絡をしました。

そして、代理人がX氏にそのことを伝えたところ、X氏が、実は、ということで、和解の話が最高裁に伝わりました。

で、通常なら、そのままX氏の側から訴えの取下がなされて裁判が終了となるはずなのですが、どういうわけか(後記参照)取下書が提出されなかったので、最高裁は、審理続行の必要なしとして抗告を却下し、終了となりました。

断言はできないものの、今回の判決結果や「大法廷に回付」という事実(最高裁の裁判官全員による重大な判断が予定されている)から、仮に、X氏がY氏と裁判外の和解をせずに判決に至っていれば、今回の判決よりも先に、X氏こそが、違憲判決を勝ち取った当事者として、社会の脚光を浴びた身になったかもしれません。

X氏が、違憲判決を勝ち取ること自体と経済的利益その他のどちらに重きを置いていたのか等は分かりませんが、経済的利益に関しては、違憲判決となっていれば、Y氏がX氏に支払うべき代償金は上記(2割増)を上回っていたはずで(単純に言えば、代償金は倍額になるはず)、その限りでは、X氏は「賭けに負けた」ような面はあると思います。

もちろん、非嫡出子相続差別規定は、最高裁が長年に亘って合憲判断を維持してきた(近年は、規定そのものを批判しつつも最高裁による違憲判断は避けたいとして、立法による解決を促していた)ため、平成22年の時点で、絶対に違憲=X氏が勝訴する見通しが立っていたわけではありません。

ですので、和解そのものは、勝敗リスクに関する一つの判断として、尊重されるべきだとは思います。

ただ、この件では、X氏は、自身が頼んでいる弁護士に無断でY氏と和解をしたとのことなので、判決等では全く触れていませんが、代理人との間が、何らかの形でこじれていると思われ、訴え取下書が最高裁に提出されなかったという話も、その延長線上にあると推測されます。

形式的に言えば、代理人に事件処理を依頼している当事者の方が、代理人に無断で相手方と協議して話をまとめてしまうというのは、代理人との委任契約に違反する疑いが強い事柄で、場合によっては代理人に対して賠償等の義務が生じかねないリスクを負っています。

ですので、よほどの事情がない限り、弁護士としては「よい子の皆さんは、絶対に真似しないで下さいね」と申すほかありません。

具体的な事情が分かりませんので、X氏の行動そのものに論評はしかねるものの、業界人から見れば、「長年の課題を勝ち取った栄誉ある地位」を手にし損ねた上に、代理人との間もこじれたのではないかと思われる後味の悪い結果になったという印象を受けてしまいます。

違憲判決報道のときの当事者の記者会見は、私は新聞でしか拝見していませんが、そのコメントなどを思い返すと、天は、大きな判決を勝ち取る人についても、ある種の選別をしているのかもしれません。

2 非嫡出子差別違憲判決と自民党憲法草案

恥ずかしながら、憲法学と縁遠くなっていることもあり、上記違憲判決をまだ真面目に読んでいませんが、引用した上記記事にあるように、違憲判決の理由として、①家族の多様化、②国民の意識の変化、③諸外国の婚外子差別撤廃の流れなどが挙げられていたと記憶しています。

ただ、①と②は、どこまで統計を取ったのかよく分かりませんが、相手方(嫡出子側)が、報道へのコメントで自分達の方こそが国民の意識を代表しているはずだと述べていたように、なかなか認定の難しい事柄と思われますので、③の諸外国の動向が、違憲判断の大きな要素として重視されたのではないかとも思われます。

ところで、「諸外国の動向を重視する」というのは、最高裁のオリジナルな判断ではなく、日本国憲法に明確な根拠があります。

同業者の皆さんは当然ご存知のことですが、前文です。

そのことは、①諸外国=国際社会の動向を尊重する趣旨の規定は、憲法の本文にはほとんど(全く?)なく、前文だけにある(前文には、そのことが明確に謳われている)こと、②とりわけ、今回の違憲判決の直接の根拠である憲法14条には、「国際社会の動向=外国人の人権との均衡(平等)を斟酌する」などという定めは一切ないことから、裏付けられると思います。

前文は、私が司法試験受験生だった当時は、それ自体が裁判規範として表立って出てくるものではないとされており、真面目に勉強した記憶もありませんが、こうした形で憲法解釈に影響を及ぼす規定なのだと感じさせられる面があります。

で、何のためにこんな話を書いたかと言えば、昨年頃に自民党が提案した憲法改正案の前文を改めて読んでみたのですが、やはりというか、現行憲法の前文にあるような国際協調主義、言い換えれば国際社会の潮流を尊重していこういう趣旨の文言は見られません。

それ以外の人権規定の部分にも、平等原則を含む人権の解釈に国際社会の潮流を斟酌することを伺わせる趣旨の規定を見出すことができません。
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

最高裁は、裁判官が自分達の価値判断で勝手に物事を決めているのではなく、あくまで現在の日本国憲法の規定や趣旨などを考えて憲法適合性の判断をしていますので、仮に、現時点で自民党憲法が採用されていたとすれば、裁判官にとって、「国際社会の潮流」を憲法解釈(権力行使)の根拠にはできませんので、今回の違憲判決は恐らくは生じなかったのではないかと思われます。

私自身は、左右双方の立場(各論)に賛否をモザイク的に感じる蝙蝠型の人間なので、嫡出子側の心情にも同情する面を感じたり(事案の実情に応じて遺言その他の方法で解決するほかないのでしょうが)、自民党憲法草案にも、多くの同業者の方々ほど明快な反対姿勢を持つこともできず、「だから自民党案は駄目だ」などと、声高に主張するつもりはありません。

ただ、少なくとも、「自民憲法なら今回の違憲判決は生じなかった可能性が高い」という法論理的な帰結については、いずれの立場の方も認識しておいてよい(それを前提に、各人の価値判断=憲法観、政治観に基づき、当否を決めていけばよい)と思います。

また、最高裁は、過去の合憲判決の際に、議員定数不均衡問題と同様に、是正の必要性を述べつつも、立法による解決を期待し強権発動(違憲無効)するのを避けたいとのスタンスを表明しており、国民一般の目から見ても、さほど大きな反対論もなかった(自民党の一部の議員さんが強硬に反対しているという話は聞いたことがありますが)と思います。

それにもかかわらず、国会(官ではなく民の側)で改正を実現できなかったこと(或いは、その結論を出すための健全な議論を喚起できなかったこと)も、我が国の民主主義の実情ないし課題を示す象徴的な事柄として認識する必要があるのではないかと思います。

社会の片隅で細々と生き残りの努力に追われる生活を続ける身には、色々な意味で、代表者(政治家)に限らず、「民」を担う立場の方々に、官にお株(憲法の価値の実現や健全な対案などの努力)を奪われないよう、ご尽力をお願いしたいと思わずにはいられないところがあります。

公的機関の相談事業で生ずる利益相反の問題について

先日、盛岡市役所の無料相談を担当したのですが、10名の相談者(来訪者)の方のうち2名の方が、利益相反のため、ご相談をお断りせざるを得ないものでした。

利益相反とは、事件又は相談事項に関する相手方当事者から、その事件等の相談等を受けたことがあるため、弁護士業務の性質上、相談等をお断りせざるを得ないものを指し、これまでも何度か経験しています。

ただ、滅多に生じない話であるせいか、私の知る限り、行政機関であれ弁護士会であれ法テラスであれ、弁護士による相談事業を行っている団体等が相談希望者の方を受け付ける際、利益相反による相談謝絶を防ぐための措置を講じているという話は聞いた(見た)ことがありません。

せめて、主催者側で相談希望を受け付ける際に、相談者のお名前やご相談のテーマ(差し支えがあれば空欄という前提で)を確認して一覧表を作成し、前日の夕方までに、担当弁護士(事務所)宛てにFAXかメールで連絡していただければ、そうした事態を防ぐことが容易になると思います。
漏洩ミス云々を気にするのであればパスワード付のメールにする等の方法が可能ではないかと思います。

少なくとも、当事務所に相談希望のお電話をいただいた際には、極力、受付時にご相談の概要や相手方のお名前等もご説明いただき、上記のような当日の相談謝絶にならないよう留意したり、事前に予習が必要なテーマか確認するなどの対応をしています。
その程度のことは、町弁であば皆しているのではないかとは思いますが。

利益相反の問題があると、どうしても、瞬時に打ち切りにせざるを得ず、来場者にとっては何の落ち度もないのに門前払い扱いになってしまうので、とても申し訳ないという感じになってしまいます。
この場合、せめてものということで、翌週のご来場や法テラス、弁護士会などをご説明することにしています。

現在のところ、岩手では個人の方のご相談事項の大半に無料相談が可能になっていますので、市役所などの相談事業にはそのような弊害があることをご理解いただき、なるべく事務所でのご相談をご利用いただければと思っています。

旧サイトとの相違点とブログの役割等について

 改訂前の旧サイトと内容面では大差のない新サイトですが、若干の変更がありますので、ここで説明させていただきます。

 まず、旧サイトでは「弁護士活用法」という項目を作り、岩手で弁護士のサービスを利用される場合の幾つかの留意点を書いていたのですが、更新にあたり「長い文章は入れさせない」との事務局長のお達しで、新サイトには引き継ぐことができませんでした。

 そこで、おって、旧サイトの内容に若干の手直しをして、ブログ欄に投稿したいと考えています。
 「カテゴリー」で活用法などの表示をするつもりなので、その種の話題に関心のある方が後日にご覧いただくことも可能かと思います。

 次に、旧サイトでは、開設(平成17年)以来の日記(ブログ)をそのまま掲載していたのですが、現在のところ新サイトに引き継ぐことができていません。

 駄文の類も多いので必要なのかと言われそうですが、年末にその年の業務実績をまとめた投稿などをしていたので、それについては、関心のある方にとっては多少の価値はあろうかと思われ、サイト管理者(事務局長)にて、しばらく検討しているところです。

 また、旧サイトから現サイトへの移行期間(9~10月)に書き溜めた事柄について、facebookで投稿しているものが多いのですが、しばらくは、その幾つかをこちらでも投稿する予定です。

 今後は、長文のものは当ブログに投稿し、FBで引用する形にできればと思っており、コメントをいただく場合には、FBの方でいただければと思います。
 ブログと個人FBと事務所FBの役割分担については、どうすればよいのかまだ分かりかねており(事務所FBが、このまま開店休業になってしまいそうですが)、しばらくは試行錯誤が続くと思います。
 お見苦しい点は、ご容赦下さるようお願い申し上げます。

事務所Webサイトの全面改訂について

 先日から事務所のWebサイトを最新のホームページビルダーに変更して作成する作業を行っており、概ね作業が整いました。
 それまで、平成17年に作成したデータを手直しして使用していたので、8年ぶりの大改訂ということになります。

 といっても、器(ホームページビルダー)が新しくなっただけで、中身はさほど変更はありません。
相変わらず、プロの業者に委託せず、私が作成した文章を事務局長がレイアウトする素朴なスタイルで作成していますので、文章の古くなった部分を手直しする程度の作業に止めています。
 平成17年当時と大きく異なり、弁護士も見栄えのよいサイトを作成し熱心に集客努力をしなければ生き残れないとまで言われる時代になりましたが、当事務所の実情として、現在はこれが精一杯というところです。

 サイトの改訂にあたり、一番苦労した点の一つが、冒頭(トップページ)のキャッチコピーでした。
これは、元になったホームページビルダーのサンプル画像で、そのような表示があり、実際、何らかの言葉を添えないと見栄えも良くないということで、あれこれ考えた末に、表示のとおりとさせていただきました。

 弁護士事務所のキャッチコピーで「ふるさと云々」などという言葉が用いられるのは見たことがないのですが、もともと「郷土のために働きたい」との気持ちで弁護士として生きる道に進みましたので、その点では素直に自分を表現した言葉になったと思っています。

 また、当事務所の目指す方向について色々と考える中で、次の文章も書いてみたのですが、サイト内に入れる適切な場所がなく、やむなく、更新のご挨拶に代えて、こちらに載せることにします。

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 宮沢賢治は「雨ニモマケズ」の詩で、次のように述べています。
 「北に喧嘩や訴訟があれば つまらないから止めろと言い」

 「世界全体が幸福にならない限り、個人の幸福はありえない」と語る賢治が、権利の保護や社会正義の実現手段としての訴訟(法的紛争解決制度)を否定しているとは考えられません。

 賢治の言葉は、喧嘩や訴訟=争いごと、悩みごとは、問題点を適切に整理し、渦中にある方の苦しみの根本にあるものを受け止めた上で、むき出しの力関係ではなく、正しいルールのもとで円満に解決すべきこと、ひいては、個々の紛争解決の地道な集積などを通じて、紛争(喧嘩や訴訟)で理不尽な仕打ちや不毛な消耗を強いられることのない社会を目指すべきことを述べたものだと考えます。

 弁護士が、この社会の中で、それらを実現する責務を負っていることは、申すまでもありません。

 当事務所は、深い歴史を持つ北東北の地が育んだ先人達の志を忘れることなく、法律の専門家という立場で、地域内に生じた問題を円満に解決するため、全力を尽くして参ります。

平成24年の業務実績の概要

平成24年の業務実績の概要をまとめました(事案等は抽象化しています)。
分類の仕方は、事務所HPの「取扱業務」欄のコンセプトに従っています。

 (1) 全体的な傾向

昨年に引き続き、個人や企業の倒産(債務整理)に関する受任が減少し、家庭問題に関連する受任が増加しています。交通事故も、弁護士費用保険の普及により、主として少額の損害を被った被害者の方からのご依頼が増えています。

 (2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

建設工事に関する売掛金請求訴訟(原告側)を1件行っているほか(発注者が誰であるかなどを巡り、当事者が厳しく対立しています)、下請取引に関し、継続的取引を予定していた発注者が開始後間もなく取引を停止したため、受注者が発注者に損害賠償を請求する訴訟を行っています(原告側)。

企業内部の紛争では、「企業を勤怠不良で懲戒解雇された従業員が、いわゆる合同労組に加入し解雇撤回等を求める団体交渉を企業に求めた事件」で、企業側代理人として交渉等の業務を行いました(和解により解決)。

 (3) 債務整理と再建支援

高利の金融業者に対する利息制限法に基づく過払金の請求や引直残高が生じる場合の和解交渉、多重債務の方の自己破産、個人再生などの受任事件は現在も一定数ありますが、数年前までに比べると大幅に減少しました(個人再生はやや増加傾向にあります)。


岩手県内の企業倒産件数が過去最低レベルと報道されているように、全県・全国的に極めて倒産件数が少ない状況が続いていますが、本年3月に金融円滑化法が終了となるため、その後に金融機関の回収が厳しくなり、増加に転ずるものと一般的には見られています。


受任数自体は多くはないものの、建設業者の破産申立で利害関係人に様々な配慮をしながら申立をしたり、医薬品の取扱業者の管財事件で薬品類の取扱を調査するなど、特殊な論点の対処を含む案件処理を行っています。


震災被災者のローン問題に関する救済制度(私的整理ガイドライン)にも携わっていますが、利用件数の伸び悩み等から当事務所では数件程度の従事に止まっています。


企業倒産分野では、若干の破産申立・管財案件のほか、破産によらない清算等の処理なども行っています。

 (4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

冒頭記載のとおり、交通事故の弁護士費用保険を通じて、被害者側での受任事件が増加しています。特に、物損のみで過失割合のみが争点となる事件を、保険利用で被害者に自己負担なくご利用いただく例が多いです。


人身被害では、事故の後遺症により事故まで従事していた職業を続けるのがほぼ不可能になった方について、通常の認定等級よりも高い割合の後遺症逸失利益を認めるべきと主張している事件を取り扱っています。

その他、PTSDが争点となっている事故などを取り扱っています。

最近では、医療過誤や保育・介護事故などに関するご相談・ご依頼を受ける機会もありました。

 (5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

建築士が顧客(施主)に設計監理委託契約に基づく報酬請求をしたが、顧客側が、建築士の対応に問題があり、契約不成立などを主張し争った事案」で、顧客側代理人として当方有利の勝訴的な内容で和解したほか、個人間の貸金等の回収、不動産の賃貸借に関する紛争などを取り扱っています。


また、不動産の購入後に問題が発覚したため、買主の方が不動産業者等を訴えた事件で、不動産業者が加入する宅建協会の保証金を通じて、賠償金の支払を受ける手続も行いました(岩手では前例のないケースだったようです)。


その他、不動産売買に基づく占有者への明渡請求訴訟(占有者の占有権原等が争いとなっているもの)などを手掛けています。

 (6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚訴訟をはじめとする、不倫や暴力などを理由とする夫婦間の訴訟や配偶者の不倫相手に対する慰謝料請求の紛争及び不倫等に起因する男女間のトラブルや養育費などの問題(家事調停・審判事件)を多く扱っており、大半の事件では、当方の主張に沿う形での穏当な解決が得られています。


詳細は差し控えますが、慰謝料請求などに関し、事案の特殊性を強調するなどして、通常よりも有利な解決が得られたものも幾つかありました。


その他、遺産相続の処理、成年後見や相続財産管理人の申立、当職が後見人等となって事案処理を行う事件を扱っています。

 (7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

相続により亡父の滞納税金を承継した方が、自治体から違法な差押を受けたと主張し賠償等を求めた事件を担当しており、1審で勝訴したものの、2審で逆転敗訴し、現在、上告審の判断を待っているところです。逆に、県内の企業が入札対応を巡って自治体を訴えた事件で、自治体代理人として勝訴判決(棄却)を受けたものがあります。


刑事事件については、新人弁護士の激増等に伴い、多数の事件を扱っていた数年前に比べて件数が大幅に減りましたが、否認事件や少年事件(重大事件である一方、少年が共犯者の被害者的側面を強く有する事件でした)を含む若干の事件を手がけています。


その他の業務としては、昨年に引き続き、被災者支援の一環として、弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています(当職は、大船渡広域振興局などを担当)。

 (8) 備考

ところで、私は、他の法律事務所(弁護士)のHPやブログ等の閲覧が半ば趣味となっているのですが、未だに、「弁護士が、HPなどで、自身の主要取扱分野や過去の実績などに関し、守秘義務と両立する範囲で具体的な情報提供をする」という例は、ほとんど見かけることができません。

しかし、日記内で繰り返し書いていることですが、利用者の立場で見れば、「この弁護士は、他の弁護士と比べて、どのような仕事に経験が多いのか、特にどのようなアドバンテージ(優位性=依頼対象たる個別分野への能力等のほか、一般的な法的素養や研鑽の姿勢、人脈その他の業務に関連する付随要素、費用の詳細、自己との相性に関する要素なども含む)があるのか」について情報を見極めて、弁護士の選択(依頼の決定)をしたいはずであり、その点に関する情報開示の文化をもっと育てていく必要があるのではないかと感じています。

少なくとも、私が、医療であれ建築であれ何であれ、専門性の高い業務をどなたかに依頼したい場合には、上記のような情報を大いに欲するだろうと思います。

まあ、現実的には、そうした情報を得るのが難しいことなどもあり、多くの方と同じく、たまたま巡り会った方が信頼できる人であれば、とりあえずお願いしようということになりやすいとは思いますが…。

我が国には、弁護士に限らず、専門家商売(専門家への依頼)については紹介を重要視する文化、伝統が根強く、公開情報を見比べて利用者が主体的に専門家を選択していく文化は育っておらず、そのためのインフラも十分ではありません。

しかし、人間関係の希薄化だ無縁社会だ核家族だといった言葉をあれこれ挙げるまでもなく、紹介による適切な専門家へのアクセスについては色々と限界があり、少なくとも、「紹介」と「Web等による個別情報開示」の双方を車の両輪のように機能させていかなければならないのではと思っています。

私の上記のような試みについても、批判的に捉える同業の方は相当数おられるのでしょうが、そういったことも含め、弁護士という仕事のあり方などについて、この業界を巡る激動の時代の中で、生産的な方向で議論が深まってくれればと願っています。