判例タイムズ1394号に掲載されている裁判官による論文です。
会社再編とは、狭義には会社の合併及び分割、株式交換・移転を指し、広義には事業譲渡・組織変更も含めて捉えられる法的営為の総称です。
論文では、これらを巡って生じる紛争の類型ごとに、その類型(論点)に関して生じた近時(平成20~24年)の裁判例を整理し紹介しています。
紛争類型(論点)としては、①再編の効力が争われる場合、②会社と株主との紛争、③会社と取引先・労働者との紛争、④役員責任紛争に分けて整理しており、特に、再編に反対する株主等の買取請求と価格算定に関する裁判例が、近時では最も多い判決があったとして、多数紹介されています。
東京時代は、会社の経営陣(オーナー兄弟)の確執により生じた、会社支配権の争奪戦的な面の強い多数の訴訟に関わらせていただいたこともありましたが、地元の有力企業の方々へのツテも無いに等しい田舎の町弁をしていると、この種の紛争にはすっかり縁遠くなってしまいます。
少し前に法人内部の地位確認紛争や役員の責任追及に関する訴訟に携わったこともあり、会社法へのご縁が全く無くなったわけではありませんが、もっと中小企業向けの法的問題に関わる仕事や勉強の機会を持てればと残念に思っています。
たまに、この種の論文をチラ見したり裁判例をデータベースにまとめたりして、若干は近時の議論をフォローするようにはしていますが、事件とまではいかなくとも、例えば、この種の企業法務に関するショートセミナー等のご依頼でもあれば、論点や事例の基礎的な説明ができる程度に勉強する機会になりますので、そうしたことに関心のある方がおられれば、一声いただければなぁと願っています。